♪♪ NATの独り言 (心・ジャズ)

生きていく上で信じてること。大好きなジャズのこと等

2010年09月

なぜ金ジョンウンだけカタカナなのか?

 北朝鮮の金正日の後継者の名前だが、最近まで「金正雲」だったのが、今回の発表での新聞など報道では全て「ジョンウン」とカタカナになっている。なぜそうなのか新聞では書いてないのが気になったので、ちょっと調べてみた。要するに、北朝鮮では既に国の方針で漢字は廃し、全てをハングル文字だけに統一しているので、特にハングル時代に生まれた若い人の名前には対応する漢字が存在しないということのようだ。

 少し歴史をひもどくと、ハングル文字は15世紀の朝鮮李王朝で制定した朝鮮民族・朝鮮語のための独自文字であるが、結局従来の漢字中心の時代が大戦まで続く。戦後、韓国では1948年に法律が出来、また北朝鮮では1949年に国家の方針で、一応漢字は公用には廃止しハングルを中心にしていく方針になった。従来の中国の従属国、そして1910年以降の日本の属国であった時代から脱却するということで、民族意識が高揚。ハングル主義になったという背景だ。しかし、南・北とも最初は一応漢字も使用OKであったが、1970年頃からよりハングル中心運動が起こり、その結果いま南では若干の漢字が残るがハングル中心。そして北では100%ハングルになった。 そこで韓国では国民の戸籍簿で漢字名のある人はそれが一応残っているし、日本に働きに来る時は、韓国の戸籍謄本も必要なので、いきおいハングル・音読みでの名前だけでなく、漢字名も明らかになる。だから、巨人の李承は「イ・スンヨブ」という音読みもあるが、「李承」という漢字名もきちんとある。ところが韓国でも、若い人は戸籍に名前を登録する際にも音読み(ハングル)でしか記入しない例もあり、その場合は対応する漢字はイメージとしてはあっても、正式には対応する漢字はないことになる。北朝鮮にいくと、全てがそういう状態であるという。

 だから、特に北朝鮮の名前には基本的に対応する漢字はない。ハングル名だけだ。しかし、北朝鮮でも年配の人の名前は、当初対応する漢字名もあったので、ハングル名表示だけでなく漢字表示も可能なケースが多い。そこで、日本の報道機関では、中国の方で北朝鮮の名前をどういう漢字で表記しているかを見て、それを拝借しているらしい。しかし、金ジョンウンの場合は、そもそも対応する漢字が分らないらしい。日本で「正雲」と書かれていたのは間違いで、敢えて書くとすると「正銀」であって、中国の新聞ではそう書いているらしい。てなことで、日本の新聞は前に「正雲」と間違えて書いてしまっていたのを、今回「正銀」に直すほどには、その直接的根拠もないということで、カタカナで「ジョンウン」にすることにしたようだ。しかし、そういうことなら、この際一気に、全ての韓国名(中国名も?)はカタカナ表記だけに統一した方が、実際の名前に近いということになると思う。「金正銀」と書かれると「キン・セイギン」という誤った音で覚えてしまうからだ。外人と国際情勢を話す時、いつも中国や韓国の名前を英語風に言えなくて苦労する。そろそろ日本の報道の習慣を改めるべき時ではないか。

 ところで、ついでに分ったことがある。日本語は平仮名、カタカナだけにすると、同音異義語の言葉が多くてわかりにくくなる。しかし、朝鮮語はそもそも日本語よりも音素が多くて、同音異義語は少ないという。更にハングルはそのような微妙に違う音を全て書き分けることの出来るように、文字が母音要素と子音要素を組み合わせて多数の文字を作り出せる方式になっているらしい。しかも、漢字の一文字に相当するハングルも一文字で、ハングルにしたからといって、平仮名のように、やたらと長い文章になるわけでもない。こういう背景で、完全ハングル化しても、日本語から漢字をなくするような不都合さは全然ないらしい。これが韓国・北朝鮮から漢字が(ほぼ)消えた背景だという。ただし、漢字を忘れた文化が、結果的に文化の貧困を生んでないかという声もあるようだ。 「金ジョンウン」のカタカナ表記から、以上のことが分った。面白いね。世の中は。       Nat


●10月1日追記: 北朝鮮が「ジョンウン」の漢字は「正恩」と発表したようだ。「正銀」でもなかったみたいだ。結局、漢字の表記も正式にあったのか、あるいは、正式には戸籍上も漢字はないが、中国や日本で報道する際に、間違った変な漢字を使われると困るので、漢字で書くなら「正恩」と決めたということか。これで日本の報道は「正恩(ジョンウン)」という表記になるのだろうか?日経新聞はこれから「正恩」と書くと表明した。 Nat
●10月2日追記: やはり、既に北朝鮮では漢字は完全廃止しているので元々は漢字名はなかったが、今回、中国や日本での漢字表記を意識して漢字名を決めたらしい(日経新聞による)。しかも「恩」という漢字が、祖父・父の権威を継ぐという趣旨にふさわしいからその字にしたらしい。これで大分、理解がすっきりした。
   Nat 

 

 

 

 

尖閣諸島の衝突ビデオ映像はなぜ公開されない? その3

その後、毎日「追記」を書いていたら、長くなったので、「その3」に
切り出します。

●追記1: 21日、北澤防衛大臣が「ビデオは海上保安庁が刑事事件の証拠として使うので公開できない」」といったとの報道がある。証拠として使う場合でも、公開は可能なはずだ。海上保安庁の所管である国交省が指示すれば出来る。なのに、そうしないというのは、やはり日本人的な「ことを荒立てない」というセンスのためか。それで却って事態が悪化しつつある。残念である。 Nat

●追記2: 22日になって、中国側が、日本の巡視船が中国の漁船を取り囲んでぶつかったという発表をした。だから早くビデオを公開するべきだった。刑事事件の証拠であるから公表せず裁判で初めて出すというのは裁判で有罪に持ち込むためには有効だろうが、今、日本に必要なのは今後の裁判で有罪を勝ち取ることではなく、中国、世界が日本は罪もない漁船に不法な行為をしたという主張に、毅然とした筋を通すことだ。なんというおろかな日本政府であろうか。 Nat

●追記3: 24日、最も恐れていたことが最悪の形で起こった。日本政府が中国船長の釈放を決めたのだ。そして、仙石官房長官は、日本中央政府はそれに特に関与せず、沖縄地検が沖縄地検の判断でそうしたと発表している。一方、沖縄地検は「国際関係を考えてそうした」と発表している。そもそも沖縄地検には国防・外交を判断する権限はない。
- これで、中国からすると、日本は不当にも船長を拘束したが、ちょっと脅かしたら、非を認めて釈放した・・と主張するだろう。
- またこれで、中国側は、日本は尖閣諸島問題で中国が何をしても、結局何も抵抗しないと踏んで、もっと強硬に我が物にする行為をするだろう。例えば中国海軍による実効支配行為など。米国のクリントン国務長官は前原大臣の問いに答えて、一応尖閣諸島は日米安保の対象と認めたが、いざとなると中国との関係を考慮し、なかなか強い対抗手段に出てきてくれるか分からない。だから、中国の同諸島への進出はエスカレートするだろう。 今回の釈放で、いよいよ日本は何も出来なくなった。
- しかも、世界に対しては、尖閣諸島には「領土問題」があるんだ!という印象を残した。中国の完全勝利である。
- ”仙石内閣”(注:菅内閣は実質仙石内閣である)は、もし本当に沖縄地検に国家の安全保障の判断を任せたとしたら、中央政府としての統治責任を放棄したことを宣言したに等しい。他方、もし沖縄地検に働きかけておいて働きかけていないと言っているなら、嘘つきになる。また、中央政府として正々堂々と国際的に筋を通すことを、今後ともしない内閣ということになる。
-中国で拘束された藤田の社員4人の釈放を交換条件として確保した形跡は今のところない。だから4人は釈放されないままになるかも知れない。もしかして、尖閣諸島の漁船拿捕の謝罪を釈放の条件にするかも知れない。中国はこういうことでは日本より何枚も上手だから。
-そして、中国船長を起訴するために、留保していた証拠のビデオは結局、証拠にも使われず、公開もされずに終わる。結局、日本が不当な行為をして、中国に非難されて、慌てて非を認めたという構図だけが残ることになる。
- 最後に、こういう展開は、最初に海上保安庁が漁船を拿捕し逮捕した時から読めていたことだ。いまごろ中国の反発に驚いて釈放するなら最初から逮捕しなければ良い。とにかく最低である。

●追記4: 25日午後。上記の追記3で恐れていたとおり、ついに中国が「日本の謝罪と賠償」を求め出した。フジタの4人が、謝罪との交換でしか解放されないことを危惧する。レアアースの輸出禁止も同様だ。日本の検察は、フジタの4人の逮捕で慌てて、船長の釈放を決めたという。何と言う子どものような判断か。もしフジタの4人の釈放を気にするなら、船長との同時釈放の取引をせねば意味ない。相手の誠意を信じて、一方的に船長だけ釈放すると、相手はいよいよ付けこんでくる。日本人は相手に土下座すると、相手もさすがに土下座の頭を踏みつけたりはしないと思う。しかし、国際的には、「ちょうどいい」として、頭を踏みつける奴の方が多いのである。 また、日本政府は、中国を刺激するまいとして「日本の領土と主権が侵犯された」とは言わず「国内法に沿い粛々と・・」という無意味なことしか言わなかった。そして冷静を装った。一方、中国は大声で「中国の領土と主権が侵犯された」と憤りをもって世界に叫んでいる。日本は怒ってない。怒っているのは被害者中国である・・というのが、世界の構図になりつつある。どうしようもない日本政府だ。 

●追記5(10月2日): どうも国会議員にだけ限定的にビデオを見せ、国民には隠し通す腹のようだ。政府がそうする「正当な」理由があるとすると(1)国民がいたずらに刺激され、船長釈放への反発が強まる、(2)折角収まるかも知れない中国側をまた刺激して、フジタの最後の一人の解放も遅れるかも知れない・・以上だろう。(1)は国民を馬鹿にするものだ。(2)は船長を一方的に釈放した時からそういうリスクが残ることは計算に入っていたはずだ。    Nat


尖閣諸島の衝突ビデオ映像はなぜ公開されない? その2

  尖閣諸島は、歴史上の例外的時期はあるが、実質的に無人島である。役に立たない無人島ならば、それ自体が領有権問題になりにくい。それなのに尖閣諸島が日本、中国、台湾の間でもめるのは、言うまでもなく1968年に周辺海域に膨大な石油資源があることが発見されたからである。 

 資源問題を別にして、無人島の領有権がどう決まるかを考えてみよう。まず気がつくのは、国際的な領有権の登記制度はないということだ。我々の国内の土地の場合、法務局に登記することで我々の土地所有権が国内法的に確保される。それと類似の、領土の国際的な登記制度はまだ人類にはない。そうなると、国際法的にはどうなるかというと、無主地(いわゆる無人島)の場合は「早いもの勝ち」ルールになっている。つまり、どこかの国が先に領有権を宣言する(それを「先占」とか言うらしいが)と、そこの領土になる。領有権の宣言を国連にでも登記する制度があれば、宣言の後先の順序が明らかになり揉めにくいが、国際法の制度上は、前述のとおり単に「早い者勝ち」というだけだ。

 尖閣諸島は、古くから中国や台湾の文献に「釣魚台」として名前が出てくる。琉球(後に日本に併合)の人もこの島を知っていたようだから、どちらが先に発見したかでは、よく分からないが、初発見者は中国人である可能性は十分ある。しかし国際法上は初発見が誰かは関係ない。領有権を先に主張・宣言した国のものになる。そこで、日本は1895年1月に調査の結果、他国が領有権を先に主張・宣言していないことを確認した上で、国際法上の「先占」をすべく、領有権を閣議決定。日本国の標杭を立てて、領有権宣言を行ったのである。その後、太平洋戦争の敗戦で一旦尖閣諸島は沖縄同様、米国の施政下に移行するが、沖縄返還で日本に施政権が復帰する。 

 この間、中国は特に尖閣諸島の日本領有に異議を唱えて来なかった。そもそも余り価値のないと思われた無人島だ。しかも、1894年の日清戦争で中国(清)は敗北して以降、国際的に終始弱い立場にあったので、強烈な自己主張をする立場にもなかった。ところが、

 1969年の石油資源発見で状況は一変する。1971年に中国は領有権を主張し始めるのだ。中国の主張の根拠は、「明の頃から台湾(=中国)の漁民が辺りで漁労をしていて、そもそも既に無主地ではなかった。また日本の1895年の領有宣言は日清戦争の構図の中で不当に行ったもので無効。」ということらしい。しかし、なにごとにも日本政府に反対する日本共産党ですら日本の領有を主張しているくらいだ。やはり国際法的には日本の領有の先行宣言が有効であると思われる。

  であればある程、領有は当然として、日本の領海内で中国船が体当たりしたビデオを早く公開。正々堂々と筋を通すべきであろう。   Nat



 

尖閣諸島の衝突ビデオ映像はなぜ公開されない? その1

 97日に尖閣諸島で中国の漁船が日本の巡視船に体当たり・衝突した事件で、中国側世論で反日の声が高まっている。中国側では中国の漁船が体当たりしたとは報道されていないためだろうが、中国世論はもっぱら日本が尖閣諸島の領有を主張し、罪もない中国人船長を逮捕したことを不当としているみたいだ。今般、前原大臣が衝突のビデオ映像では体当たりが明らかであると言っているが、政府が公開したのは、製作したCG画像であって、実際の衝突の映像ではない。なぜ実際の映像を公開しないのであろうか? 


 なぜ公開しないのかについては、衝突の直後に一度だけ「下手に公開して中国側を刺激するのは良くない」との日本政府の考えが報道されていた。その後の外務省発表を見ても「日本の法律に沿って粛々と対応する」と判で押したような説明を繰り返すのみである。先方の体当たりという国際法上の犯罪行為がビデオでも明白なのなら、なぜ今からでも公開しないのか? 考えられる理由の一つは、ビデオの内容が微妙で分析に時間を要したことである。しかし、もう12日も経過。前原大臣もビデオで体当たりは明らかと言っているのなら、分析は一応完了しているのではないか。なのに公開しないとすると、もしかして本当に微妙な画像である可能性がある。公開しないことで、中国側に「恐らく公開すると不利なほどの微妙な接触で、ここはつっぱり通せそうなものに違いない。まただからこそ、日本もCG画像をでっち上げているのだ!」と思われてもしょうがない。


 しかし、事故直後に言っていた「下手に中国を刺激する」という判断が今でも公開をしない主たる理由である可能性もある。そのような理由につき、報道で何も触れないのも不思議だが。私が思うに、もし本当にビデオ映像で体当たりが露骨に記録されているなら、正々堂々とそれを公開し、YouTubeなどで世界中に発信される方が、こと対中国戦術としては正しい。それを示されると、中国側では引き続き強がりを言っていても、世論を含めて内心「体当たり問題は分が悪そう。だから、領有権問題に絞って非難した方が得策みたいだ。」という方向に転ずるはずだ。公開しないことで、「罪もない漁船を不法に逮捕した」という位置づけが固まってしまう。何という稚拙な外交であろうか。日本人のセンスは、お人好しであっても、百戦練磨の中国に対しては全く通用しない。


 ところで、領有権問題そのものではどうなのであろうか? それを、その2で。 Nat



オニヒトデは滅びてもいいのか?

  前にも書いたが、日本でも石垣島のサンゴを食い荒らすオニヒトデが最近異常に増えて、サンゴが食い荒らされるという。そこで、大勢のダイバーを雇って、オニヒトデを片っ端から捕まえて殺しているらしい。 

 オニヒトデを殺すことに関しては、それが却ってオニヒトデを勢いづけるという反対意見もある。つまり、ほっておくと、オニヒトデが過剰になり、一旦はサンゴを食い尽くして、オニヒトデは食べ物がなくなり全部死滅する。そして暫くすると、サンゴが再生する。ところが、下手にオニヒトデを間引くと、オニヒトデも程良い個数になり生き延びる。そしてサンゴも「一旦全滅」とまでは行かない。中途半端な状態が長く続いて、結局サンゴの再生を遅らせるという意見だ。 

 しかし、私はそもそも根本的に、人間が自分の嫌いな生物だけを狙い撃ちにして殺してもいいのだろうか?という疑問を感じる。サンゴは見てもキレイだし、石垣島の観光にも欠かせない。ところが、オニヒトデは見るからにイヤラシイ。そして、人間の好きなサンゴを食い荒らす。だから人間は、オニヒトデは殺し、サンゴは保護する。そんな、人間の好き嫌い、人間にとって好都合か不都合かの基準で、自然の生物を勝手に殺しまくったり、変に保護してもいいのだろうか? この点に私は深い疑問を感じる。 

 前にも書いたが、サンゴは人間なんかの登場するはるかに前の2億年前くらいから、ずっと海の中で暮らしてきている。海水温度の自然な上下で、ある時はある地域から消え、そして戻り、2億年の中では消えたり増えたりして今に至っている。オニヒトデだって、増えたり減ったりしている。一説によると、地上の土の中の成分が雨の加減で多く海中に流れ込むと異常発生したりするらしい。しかし、自然の中で、サンゴも増えたり減ったり、オニヒトデも増えたり減ったりするのが、自然のプロセスだ。それを、人為的にオニヒトデは滅ぼし、サンゴは増やすというようなことでいいのだろうか? 

 コウノトリの場合は、まだ天敵を滅ぼそうとするところまではいたっていない。しかしサンゴの場合は、オニヒトデを目の敵にして何十万匹のオニヒトデ殺戮を繰り返している。オニヒトデがこの世から消滅したら、その人たちは大喜びするのであろうか? オニヒトデも貴重な生物の一つの種であろう。ゴキブリだってそうだ。そういう多種、多様な生物が皆自然に生きられるようにというのが、生物多様性条約の趣旨であろう。何も、人間に都合のいい生物だけを増やそう、不都合な生物は撲滅しようということではない筈だ。 

 人間の都合だけで、自然を破壊したり変えようとすると、どこかで思わぬ「しっぺがえし」に会うような気がする。あなたはどう思いますか? Nat

記事検索
月別アーカイブ
プロフィール

NAT

タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ