・・・またまた、プルトニウム核燃料の虚構の話し!

原子力規制委員会が本日(2018731日)、日本の保有プルトニウムをこれ以上増やすなとの国際的圧力に応えるため、今後、六ケ所村に出来る再処理工場で作られるプル燃料は、既存の原発で燃やせる量、いわゆるプルサーマルで使える量に限るという方針を決定した。

これ実はスゴイ。現実には原発は通常のウラン燃料での再稼働だけでもこれだけ揉めるのに、実態は兎も角、住民不安が強くて反対運動が必ず起きるプルサーマルなんてものは、出来ても、年に一つか二つの発電所でだろう。年に発電所あたり0.3トンのプル燃が燃やされるとすると、年合計でわずか0.6トン。一方の六ケ所村の再処理工場のプル燃生産規模は8トン。ということで、再処理工場は完成する前から「完成しても、殆ど生産するな」と言われているようなものだ。
勿論、規制委員会は、建前上、日本中の原発を再稼働させ、日本中でプルサーマルをする、そうしたら、再処理工場もフル稼働させられ、生産される8トンのプル燃も全部燃やせるのだ!!と言うしかない。しかし恐らく、委員の内心では結構「無理っぽい」という本音もある一方、世界からは圧力高まり、大変苦しい方針発表をしたものであろう。
斯く斯様に、日本のエネ政策、原子力政策は、虚構の塊のまま、毎日が過ぎていくのである。         Nat

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プルトニウムの話の続き。普通の方には、小難しい話でしょうから、パスっぽいでしょうが、案外、我が国の将来にとり大きな問題と思いますよ。だから、もう一言。

今朝(201881日)の日経社説が昨日の続きで、規制委員会の昨日の方針が実効性のないものにならないよう、政府と電力各社が、プルサーマル(再稼働する既存原発でプル燃料を燃やすこと)が進められるため、プルサーマルに対する国民の理解を得る努力をするべきと書いている。 ということは、日経はプルサーマルに対する住民の不安・懸念は、説明すると理解が得られる性質のものと想定していることになる。
プルサーマルへの懸念は、そもそもプルがウランより放射線が強烈云々とか、プルが多めに入っている核燃料は不安定になり易いとかいう理由もあるが、それは反対の人もそれだけでは絶対反対の理由にはならないことを知っているのだ。
日経は、プルサーマル反対全国市民の会などが経産省に出している公開質問状を見たことあるのだろうか。彼らの反対の理由は、ひとえに、プルサーマル用の核燃料(MOX燃料)の使用済みのものの処分につき、政府も電力会社も全く白紙にしたまま放置しているという点に尽きる。これは政府等の公式資料でもはっきりと「走りながら適宜検討する」としか書いておらず、プルサーマル説得にとっての最大の難点であると私も思う。
通常のウラン核燃の使用済みのものは、六ケ所村の再処理工場を動かして、燃えるウラン・プルを分離、高レベル廃棄物にして長期保管する方式が一応確定している。尤も、そこで出てくるプルの再利用がプルサーマルになるので、プルサーマルが進まないと、使用済みウラン燃料の処分も進まないという問題が今出てきている。その場合、再処理なしの直接投棄という、より難しい処理になる。米国はもうこれに向かっているが、日本はまだ再処理路線を建前としている。
しかし、プル入りのMOX燃料の使用済みのものについては、本当に日本政府も電力会社もまだ何ら具体策を持っていない。「燃やしたものをどう処理するか決めてないが、取り敢えず燃やすだけ燃やしましょう」と言っているのである。だから反対派は、使用済みMOX燃料をそのままその原発の近くに長期あるいは永久保管することになるのでは?と懸念して反対、政府等からはそれに対する明確な回答がまだないまま今日に至っている。・・と私は理解している。違いますか。
とすると、日経は簡単に「国民の理解」等と書くが、国民の理解の前に、政府・業界が使用済みMOX燃料の処理問題に真剣に向き合うべきであろう。しかし、今のところ、政府・業界は極めて無責任状態になっていると思う。      Nat