◆ 再選結果に関連、私も当初、SNSのフィルタ-バブル現象など、SNS独特の過激意見を高める構造などにも注目はしたが、その後、多くの評論家が、手の平を返したように「大手マスコミが検証なしに齊藤パワハラ説に偏向した報道をしていた!!」と、一斉にマスコミ批判をしている。
・・・しかし、非常におかしいと思うのは、選挙結果は別に「マスコミが検証なしの報道をしていたこと」の証左になっていない。そして「検証なしの報道」を批判する評論家が、自分自身が「マスコミの報道のデタラメ性」を検証せずに、勢いだけで言っている。マスコミも勢いだけなら、評論家も勢いだけで言う。
・・・そこで、再選されるだけの行政評価があったのはいいだろう。
・・・しかし、上記の通り、再選は、パワハラ問題、人の亡くなった文書問題を含めての彼個人の専横的アクション問題の、シロクロの判定にはならないのだ。県民は行政の良し悪しの判定を優先し、パワハラ問題は別問題扱いしているのである。そして、もし県民の多数がパワハラ問題を不問にしてでも知事に戻って欲しいと判断したとしても、それは、パワハラ問題が事実どうだったのかには、直接関係ないのだ。
【2】 そして、その後、「SNSこそは自由意見の場である」みたいなテスラのマスク氏みたいな主張、「マスコミは “正しい” 報道が出来なかったことを反省すべき」みたいな意見が飛び交っている。
・・・これは非常におかしい。パワハラ問題のシロクロは、まだ調査が進んでおらず、シロクロが出ていないのに、マスコミが「クロ」印象をバラまいたと批判する人は、斎藤氏のパワハラ問題はシロだったと決め込んでいることになる。何か根拠あるのか? と聞きたい。
・・・そして、斎藤氏を糾弾した二つの勢力、県議会議員と、県職員、彼等・彼女らは、マスコミから聞いて齊藤氏の問題を知った・思い込んだ訳ではない。マスコミが彼等・彼女らの言うことを、確かに検証不足だったろうが、聞いて流したのだ。
(1) 議員ら: 彼等・彼女らは、斎藤氏の言動を直接体験し限度を超えていると判断、その上、長らく強い政治的対立があったので、全会一致で不信任決議したのだ。
(2)県庁職員: 県職員は100条委員会のアンケート結果を委員会が公表している通り、県職員の約42%が「パワハラを見聞きした」と回答している。対象者は兵庫県庁の職員約9700人で、そのうち140人が「実際に目撃した」、さらに800人以上が「目撃した人から聞いた」と回答しているのだ。彼等・彼女らも、マスコミからいい加減な話を聞いて、そう思い込んだのではない。自分か自分の周りの人の斎藤氏から受けた体験でそう回答したのだ。もしかして、職員の多くは偏っていたかもしれないが、それだけの人がそういうなら、少なくとも「火のないところには・・」で、事実関係の調査を要する。
◆ そして、斎藤知事の第二期行政は始まったが、斎藤氏のパワハラ疑惑、特に告発文書問題での公益通報者保護法違反疑惑については、なんら晴れておらず、100条委員会の調査はまだこれからである。
・・・今、急にマスコミ批判に転じている人は、調査はまだ全く何ら判定を出していない点を忘れたのであろうか。
・・・・それは、100条委員会の進展を待つ必要がある。しかし、100条委会は構成員が議員であり、選挙の結果、何か斎藤氏に歯向かう議員は次の選挙で落とされるとのムードが高まっていることから、早くも日和見に走る議員も結構出てきている。だから、100条委員会の調査も当てにはならない。であれば、疑惑は疑惑のままになる恐れもある。
・・・斎藤氏の行政の良しあし、SNSとマスコミとどちらのほうが正しいかとの現時点では不毛な議論、それとは無関係に、疑惑は疑惑として、まだあるのだ。この点を見失わないで欲しいと思う。 Nat