♪♪ NATの独り言 (心・ジャズ)
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2008年02月01日
22:32
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平成維新と明治維新 その5
平成維新待ったなし、と思わせる日本国の大問題。1.に「国費分配の機能不全」、2.に「制度の大改廃の能力欠如」と書いてきた。3.もある。それは「外交・防衛戦略の欠落」だ。数兆円の予算のつく道路などと違い、外交は殆ど利権にも票にもならない。だから政治家はやりたがらない。防衛は、米軍のグアムへの移転のような3兆円プロジェクトには、自民党の大臣や議員が種々群がっているようだが、日本の安全保障をどうするか、平和をどう目指すかなどというテーマは、お金にも票にもならないので、本気でやる政治家はごく少数だろう。はっきり言って、これが日本の現状だ。早く平成維新に持っていかないとヤバイ。
日本を上記の3大問題に陥らせた根本原因は、国会議員が地元か特定グループ(医師会等)の利益代表になり果てていることと、官僚が自己保身の為に制度や組織の廃止をさせないからだと述べてきた。これをどこから打ち砕くか?
まず、いわゆる「地方分権」、これを本格的に実現することだろう。日本は明治維新で藩を廃止し、一気に近代化する為に中央集権制にした。しかしそれ以来、もうそれが弊害になっても地方分権に戻せずに、なんと140年間も中央集権でやってきてしまったのだ。ソ連や共産党中国ではあるまいし、異常としかいいようがない。この中央集権制では、中央官庁が地方の道路や新幹線の計画を支配するから、国会議員は国の政策より、地元への利益誘導に汲々とする。その結果、地方は毎年、道路などの公共事業費を麻薬としてもらい続け、本当の活性化が出来ないまま落ち込んできている。地方分権で、地方が自分の税収を持ち、地元の公共事業は自分で決めるように変える。これで、国の予算にたかる為に東京に出てきていた各地の道路族・農林族議員は、国会議員になる意味を失い、地元に集中するようになる。一方、国会議員は国全体の政策を追求したい人が中心になる。米国やドイツは元々これだ。何としても、本気で地方分権を実現することが平成維新の第一歩だ。
尤も、道州制はダメだ。少し小さめの「国」と霞ヶ関が複数出来るだけだし、国、道州、地方の3層構造になるのは最悪だ。県が形式的に廃止されても、当分の間、実質的に県単位の利権・勢力グループは必ず残ると思うからだ。だから、県並みの単位で分権すべきだろう。また、地方には人材がいないから分権は無理だと言うが、霞ヶ関で実質地方行政をしていた大量の官僚が不要になるので、彼らがそれぞれの出身地などの県庁に移籍すればいい。その上で、地方のホンモノの活性化を地方でやって欲しい。
これで国会議員が道路族や郵政族に成り果てるのは防げる。但し、厚労族のような、地域よりも医師会といった全国組織の利益を代表する議員が存在する問題は、地方分権だけでは解決しない。しかし、何兆円の公共事業の蜜が全国の多数の議員を動かすのに比べれば、医師会支援議員は人数も少ないし、医師会の影響力そのものも衰退してきている。小泉首相の時に、道路問題は実質何も出来なかったが、医療費改革は出来たことからも分かる。また、防衛族も結構巨額な防衛予算に群がるので国を過つが、それは、今回の守屋事件で大分やりにくくなることを期待する。そもそも族議員の中核は道路・農林族だ。彼らが正常化して中央政界からいなくなると、他の族議員も勢いがそがれよう。ということで、何はともあれ、地方分権で、本来国のレベルの政治家であるべき国会議員が、地方の無駄な道路・空港・港湾・林道・新幹線に奔走するという、今の危機的状態を打破したい。Nat
2008年01月30日
22:36
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平成維新と明治維新 その4
平成維新せねばヤバイという日本国の最大の問題は、まず「国費分配の機能不全」であると前回書いた。次の最大の問題は「大制度改革の能力喪失」である。
今、大問題の年金制度・健康/介護保険制度問題。国が若かった頃に作った制度は、老齢化で最早有効期限が切れた。しかし、抜本的改革の議論はまだ緒についたばかりだ。また、教育、農業、公共サービス、港湾輸送サービス、医療、介護などなど多くの分野で、旧来の規制が最早大きなマイナスになっている。しかし、規制緩和の歩みは、海外から呆れられるくらい遅い。政府は、微調整的な制度手直しと、弊害への対症療法しかやらない。それが、日本という国を、どんどん衰退させつつある。
何故、政府は大きな制度改革が出来ないのか。それは、政治家・政党サイドと、官僚サイドの双方に、そうしたくない理由があるからだ。先ず政治家・政党。そもそも国会議員は前回書いたとおり、専ら自分の選挙区か応援団体のローカルな利害を代表するのに汲々としている。ローカルな利害のことで議員に圧力を掛けるのは、例えば郵便局長などの旧体制護持勢力だ。一方、改革の恩恵を受けるのは、だいたい政治的に組織化されていない消費者や一般市民である。だから議員が改革を目指すわけがない。もし、国を憂う一部の議員がいたとしても、少なくともこれまでの政党内では、一個人でしかなく、個人では力ある政策立案は無理だ。最近、民主党のマニフェスト運動がきっかけになって、漸く政党が国家政策に取り組む兆しが出てきた。しかしそれ以外では、いまだに政党は個々の利権エージャント議員の寄り集まりである。かくして政党は、国家的見地からの政策提案を本気でしない。(政策検討委員会とか研究会とかいう名称の会が色々あって、皆さん忙しく出席しておられるが、いずれも官僚のお膳立ての“委員会”であったり、大学の先生を中心にサロンをやっているだけで、ここで書くまでもない。)だから、大制度改革の旗振り役が全く不在のまま推移してきている。
一方の官僚はどうか。日本の中央官僚は比較的頭がいいので、いま本当は国が何をすべきかを大体知っている。一方、彼らも人間だから、自分たち自身のことも考える。彼らが一番やらないのは、自らの役割や組織を要らなくするような改革だ。例えば、今、悪名高くなった社会保険庁。もし、老齢者への生活費支給が、従来の年金方式ではなく、税金からの国費負担になるとどうか。社会保険庁の多くの機能は不要となる。そのような改革を、従来の年金制度を司る社会保険庁の幹部なり、厚労省の役人が提案するわけがあろうか。自分は犠牲になっても、国や国民の為になる改革提案するような役人まではいない。
このように、本来政治家・政党がするべき大改革の旗振り役も不在、そういう中で元来大改革に消極的な保身型の官僚たちが大改革を自らやるわけもない。結局、今の日本は、幕末の、腐敗し何もしなかった徳川幕府の状態と似た状況と思われる。そのような徳川体制を一気に革新した明治維新では、大いに旗振りをし政策立案をした政治家、そして、それを有能に実践した、新しい明治官僚機構があった。平成維新を起こすためには、何が必要なのであろうか。次回、この点につき、ない知恵を絞る。
Nat
2008年01月29日
23:22
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平成維新と明治維新 その3
平成維新と言うが、私は、何を維新する必要あると言っているのか。まずこの点を明らかにして置かないと、何の話か分かりにくいだろう。日本の抱えている大問題は何か?
先ず、国のお金(税金)の分配の仕組みが完全に機能障害に陥っていることを挙げねばなるまい。言うまでもなく、日本は明治維新で藩を廃止して以来、中央国家に権力も税金も集める仕組みにした。明治時代の富国強兵、上からの近代化ではこれが有効であった。戦後も復興もこれで良かった。しかしその後もこれがずっと続いている。中央集権制度が機能する為には、中央政府に、よほど問題意識と政策力に富んだ分配能力がなければならない。しかし現実には、これが完全に機能障害に陥っているのである。現在の日本の、国際的にも類のない程の財政破綻、国の「異常借金」は、皆で寄ってたかって、野放図に国の財布を食い物にしてきたからだ。良くこれで平気だなと思う。国民全員で、サラ金で借りたお金で遊んでいるようなものだ。これは誇張ではない。
どうしてこうなってしまったのか?それには、政治家と、中央官僚機構の両方に理由がある。まず政治家だが、政治家の大半は、今の選挙制度では、結局、地元の応援で選出されてくる。どうしても、国のことを考える代表選手ではなく、地元の利権のエージャントになる。一方、中央官僚機構は、地方の各論の問題までも支配する体制でやってきた。今の制度では、例えばどこかの県のはじっこの道路の建設も、中央官庁が決め、予算を付けることになるのである。そうなるとどうなるか? 議員は、地方の利権の為に、国家のお金を出来るだけ引っ張ってくるのが仕事になる。中央官庁は、そのような議員からの要請に対し、自分のさじ加減で決める権限が、官僚の醍醐味となる。このパターンに最も該当するのが、国交省・農林省の道路などの公共事業、そして、それを地元に引っ張るエージャント役の国交族・農林族の議員たちだ。彼ら議員の多くは自民党だが、自民党は選挙用の「入れもの」に過ぎず、本質は、個々の族議員の利権誘導であり、それに呼応する官僚だ。勿論、前回述べたように、族議員の大臣などが、阿吽の呼吸を越えて、強引に人事介入などでやり過ぎると、官僚は猛反発する。飽くまでも「阿吽の呼吸」の範囲で“ただれ合う”のでなければならない。
そしてこれは、道路や新幹線などへの利益誘導だけではない。大分弱くなったが、医師会の利益誘導エージャントの「厚労族」。そして、国家予算の最大の割合が使われる社会保険(今般の問題の年金など)だが、これもお金がジャブジャブあるので、一部の議員の大好きな分野だ。あとは、最近話題の防衛庁。
日本の一般会計を今47兆円くらいとして、これを省別に見ると、厚労省20兆円、国交省7兆円、文科省6兆円、防衛庁5兆円、農水省3兆円と続く。これが利権省庁の最たるもの。このうち、公共事業費でみると、国交省はほぼ全額がそれで7兆円、あとは農水省の1兆円。これを、議員が寄ってたかって、自分の地元や、医師会など自分のサポーター業界などのために引っ張るのだ。高度成長で税収が伸びている間は、それでも何とかごまかしが効いた。でも、もうそれもダメだ。
ところが驚くことに、これに全体的な観点から「待った」をかける政治・政府の仕組みはないのである。代議士先生の属する政党は、勿論そんなことはしない。所詮、選挙センターでしかないから。そして、官庁でも、内閣府などが官庁の最上部にあって采配を振るうなどということもない。敢えて言えば、昔の大蔵省、今の財務省が、「ないものはない」とつっぱねる役をするが、それも、断るだけでは彼らの権限発揮にならないので、半分以上はお芝居の域を出ず、結局「借金」(国債や地方自治体債)に逃げるのである。
日本は、こうやって、国の財布を、皆でたかりまくる国としてやってきた。そして、今、財政は破綻、そして、国の政策上、本当に必要なことに予算が回らない危機的状況に立ち至っている。しかし、大問題は、この「財政たかり」だけはない。もっとある。では次回に。 Nat
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