ボサノバは1960年ごろ、ブラジルのピアニストAntonio Carlos Jobimと、ギタリスト・歌手のJoan Gilbertらが作り上げた新しい音楽だ。Jobimはジャズ、或いは現代音楽のラベルやドビッシーなんかに影響受けた人だ。そしてGilbertもブラジルの民族音楽をやりつつもジャズの影響を受けている。ということから、和音の作り方にはジャズの和音が多いに流れ込んでいる。少し専門的な話になるが、ドミソの上にラとか上のレを調味料として重ねるいわゆる「テンション」音の多用、マイナーセブンスから4度上のセブンスに移るいわゆる「4度進行」、これらは両方ジャズからの直輸入。そして、ジャズでも出てくるが、「デミニッシ」という和音を経過和音として非常に多く使うことに特徴がある。しかし、実は、ジャズよりもボサノバの方が、より自由に新鮮な和音の動きを使っている。はっきり言って、和音に関しては、古典的なモダンジャズよりボサノバの方がカッコいい。