平成維新せねばヤバイという日本国の最大の問題は、まず「国費分配の機能不全」であると前回書いた。次の最大の問題は「大制度改革の能力喪失」である。
今、大問題の年金制度・健康/介護保険制度問題。国が若かった頃に作った制度は、老齢化で最早有効期限が切れた。しかし、抜本的改革の議論はまだ緒についたばかりだ。また、教育、農業、公共サービス、港湾輸送サービス、医療、介護などなど多くの分野で、旧来の規制が最早大きなマイナスになっている。しかし、規制緩和の歩みは、海外から呆れられるくらい遅い。政府は、微調整的な制度手直しと、弊害への対症療法しかやらない。それが、日本という国を、どんどん衰退させつつある。
何故、政府は大きな制度改革が出来ないのか。それは、政治家・政党サイドと、官僚サイドの双方に、そうしたくない理由があるからだ。先ず政治家・政党。そもそも国会議員は前回書いたとおり、専ら自分の選挙区か応援団体のローカルな利害を代表するのに汲々としている。ローカルな利害のことで議員に圧力を掛けるのは、例えば郵便局長などの旧体制護持勢力だ。一方、改革の恩恵を受けるのは、だいたい政治的に組織化されていない消費者や一般市民である。だから議員が改革を目指すわけがない。もし、国を憂う一部の議員がいたとしても、少なくともこれまでの政党内では、一個人でしかなく、個人では力ある政策立案は無理だ。最近、民主党のマニフェスト運動がきっかけになって、漸く政党が国家政策に取り組む兆しが出てきた。しかしそれ以外では、いまだに政党は個々の利権エージャント議員の寄り集まりである。かくして政党は、国家的見地からの政策提案を本気でしない。(政策検討委員会とか研究会とかいう名称の会が色々あって、皆さん忙しく出席しておられるが、いずれも官僚のお膳立ての“委員会”であったり、大学の先生を中心にサロンをやっているだけで、ここで書くまでもない。)だから、大制度改革の旗振り役が全く不在のまま推移してきている。
一方の官僚はどうか。日本の中央官僚は比較的頭がいいので、いま本当は国が何をすべきかを大体知っている。一方、彼らも人間だから、自分たち自身のことも考える。彼らが一番やらないのは、自らの役割や組織を要らなくするような改革だ。例えば、今、悪名高くなった社会保険庁。もし、老齢者への生活費支給が、従来の年金方式ではなく、税金からの国費負担になるとどうか。社会保険庁の多くの機能は不要となる。そのような改革を、従来の年金制度を司る社会保険庁の幹部なり、厚労省の役人が提案するわけがあろうか。自分は犠牲になっても、国や国民の為になる改革提案するような役人まではいない。
このように、本来政治家・政党がするべき大改革の旗振り役も不在、そういう中で元来大改革に消極的な保身型の官僚たちが大改革を自らやるわけもない。結局、今の日本は、幕末の、腐敗し何もしなかった徳川幕府の状態と似た状況と思われる。そのような徳川体制を一気に革新した明治維新では、大いに旗振りをし政策立案をした政治家、そして、それを有能に実践した、新しい明治官僚機構があった。平成維新を起こすためには、何が必要なのであろうか。次回、この点につき、ない知恵を絞る。 Nat
今、大問題の年金制度・健康/介護保険制度問題。国が若かった頃に作った制度は、老齢化で最早有効期限が切れた。しかし、抜本的改革の議論はまだ緒についたばかりだ。また、教育、農業、公共サービス、港湾輸送サービス、医療、介護などなど多くの分野で、旧来の規制が最早大きなマイナスになっている。しかし、規制緩和の歩みは、海外から呆れられるくらい遅い。政府は、微調整的な制度手直しと、弊害への対症療法しかやらない。それが、日本という国を、どんどん衰退させつつある。
何故、政府は大きな制度改革が出来ないのか。それは、政治家・政党サイドと、官僚サイドの双方に、そうしたくない理由があるからだ。先ず政治家・政党。そもそも国会議員は前回書いたとおり、専ら自分の選挙区か応援団体のローカルな利害を代表するのに汲々としている。ローカルな利害のことで議員に圧力を掛けるのは、例えば郵便局長などの旧体制護持勢力だ。一方、改革の恩恵を受けるのは、だいたい政治的に組織化されていない消費者や一般市民である。だから議員が改革を目指すわけがない。もし、国を憂う一部の議員がいたとしても、少なくともこれまでの政党内では、一個人でしかなく、個人では力ある政策立案は無理だ。最近、民主党のマニフェスト運動がきっかけになって、漸く政党が国家政策に取り組む兆しが出てきた。しかしそれ以外では、いまだに政党は個々の利権エージャント議員の寄り集まりである。かくして政党は、国家的見地からの政策提案を本気でしない。(政策検討委員会とか研究会とかいう名称の会が色々あって、皆さん忙しく出席しておられるが、いずれも官僚のお膳立ての“委員会”であったり、大学の先生を中心にサロンをやっているだけで、ここで書くまでもない。)だから、大制度改革の旗振り役が全く不在のまま推移してきている。
一方の官僚はどうか。日本の中央官僚は比較的頭がいいので、いま本当は国が何をすべきかを大体知っている。一方、彼らも人間だから、自分たち自身のことも考える。彼らが一番やらないのは、自らの役割や組織を要らなくするような改革だ。例えば、今、悪名高くなった社会保険庁。もし、老齢者への生活費支給が、従来の年金方式ではなく、税金からの国費負担になるとどうか。社会保険庁の多くの機能は不要となる。そのような改革を、従来の年金制度を司る社会保険庁の幹部なり、厚労省の役人が提案するわけがあろうか。自分は犠牲になっても、国や国民の為になる改革提案するような役人まではいない。
このように、本来政治家・政党がするべき大改革の旗振り役も不在、そういう中で元来大改革に消極的な保身型の官僚たちが大改革を自らやるわけもない。結局、今の日本は、幕末の、腐敗し何もしなかった徳川幕府の状態と似た状況と思われる。そのような徳川体制を一気に革新した明治維新では、大いに旗振りをし政策立案をした政治家、そして、それを有能に実践した、新しい明治官僚機構があった。平成維新を起こすためには、何が必要なのであろうか。次回、この点につき、ない知恵を絞る。 Nat