菅政権は今狂ったように、財政と社会保障の一体改革とTPPにまい進しようとしている。今回は、財政と社会保障の一体改革について言う。12月末の本ブログ「日本はこのままでは危ない」で書いたとおり、財政と社会保障の一体改革は勿論最重要な国家課題である。しかし、問題は、菅政権が何を一体改革の基本前提としているかである。
選挙で選ばれた時の民主党の一体改革の基本前提は、国の仕組みを根本から変えることであったはずだ。マニフェストで、政府のお金の使いかたを決める仕組み(つまり国家予算の仕組み)を、官僚任せではなく「国民の生活第一の政治」で作りかえること、地域主導に変えることを謳っていた。
日本のGDPに占める政府支出は30%ちょっとで別に大きくはない。しかし、国民は政府支出が国民の生活のために余り有効に機能していないと感じていたはずだ。一般政府支出(公共事業を除いた支出)90兆円のうち、広い意味での人件費は60兆円くらいだという。民主党政権は一時公務員の給与の2割カットを口にしたこともあるが、それはやめたらしい。しかし、公務員の給与カットもさることながら、人件費総額60兆円の公務員が国民生活第一のために、あるいは各地域のためになることをしているのか、それとも結局自己保身的な仕事ばかりをしている面が大きくないか? 国民は、この点に懸念を持っていたのだ。だから、事業仕分けショーには歓声も上げた。
しかし私が本当に期待したのは、事業仕分けショーではなく、まず国家予算の根本的組み換えだ。小沢さんはそれを大きく主張していた。つまり、まず国家予算を、国民生活第一の重点施策に先ず配分する。それは教育活性化予算でもいいし、国民の所得を確保するための産業活性化予算も入ってもいいし、子ども手当てなどでもいい。トップダウンで思い切って配分する。その上で予算の残りを通常の運営経費として各省庁に分配する。歳入総額が限られているのだから、もし均衡財政を前提にするなら、重点施策に配分した残りは相当小さくなる。しかし、それでやれと言われた省庁はそれでやるしかないので、根本的に仕事のやりかたを変えることになるだろう。そんなことをしたら、省庁が弱者にしわ寄せする形で、仕事のやり方変えないかという不安はあるが、その為、まず国民生活第一の政索予算は先に配分されている。だから、省庁がカットするのは、政索的には重要度の低い分野になるというのが、少なくとも理屈の上では期待されることだ。もう中央政府では見ていられないと思う事項があれば、地方に権限委譲もしよう。そうする中で、政府従業者の人数削減も出てくるだろうが、それはサービス産業の改革・活性化を受け皿として、民間シフトに持っていくことになろう。
このような、予算の仕組みを核とする国家の仕組みを根本から組み替える、明治以来の大改革をする。そのことにより、それこそ「日本は蘇り」、また財政も改善する。少なくとも私はこれを期待して民主党を選んだ。小沢さんなら出来るかも知れないと思ったからだ。
しかし、菅民主党の予算編成は、自民党政権と全く同じか、各省庁一律カットなどど、自民党政権以下の積み上げ予算。全くトップダウンでもなく、国の仕組みの作り変えでもない。驚くのは「国民の生活が第一」というスローガンも、鳩山・小沢的だとして、下ろしてしまったことだ。完全に自民党と同じく、従来路線の延長線で部分修正を図る官僚政治に戻ってしまった。
そのようなあきれたやりかたの上で、消費税増税を主張するのだから、もう財務官僚そのものだ。このままでは、日本は完全に終わる。この際、国民は何が出来るのだろう? Nat