福島第一原発の抑え込みが難航してきている。もう、米国スリーマイル島の事故のレベルを越え、ソ連チェルノブイリの事故のレベルに向かいつつあるとも思われる。
米国のスリーマイルアイランドの事故は1979年に起こった。操作上のちょっとした問題が、人間の対処ミスも誘発し、燃料棒の溶融にまで至らせしめ、若干の放射性物質の漏出も生んだものだ。一方、ソ連のチェルノブイリ事故は、1986年に発生。操業中止中の原子炉で実験をしていて制御不能になり、水蒸気爆発と思われる大爆発で、広島原爆の400倍の量といわれる推定10トンの放射性物質が一気に大気に噴出し、拡散した悲惨な大事故である。
福島原発問題は、多くの評論家同様、私も3日前くらいまでは、何とか冷却に持ち込めるのではないかと期待していた。しかし、ここに来て急速に状況が悪化していると思われる。作業員の被爆で皆が気づいた放射線物質高濃度の排水の問題で、給水継続による冷却が急に難しくなった。今から考えると、大量の水を掛けているのだから、下には汚染された水が溜まるのは当たり前なのに、今ごろ驚いているから怖い。そして、原発の周辺の土、海水の異常に高い放射能レベル。更に、きわめつけが、ついにプルトニウムが検出されたことだ。つまり、炉心の燃料が溶け出して、しかも最後のゴールキーパーのはすだった圧力容器がもう破損していることを示唆している。燃料が溶融しているのに、排水の問題等で冷却が進まない。つまり、更に燃料溶融が進み兼ねないということだ。原子炉の中が結局どうなっているか、本当に分かってない。一部の計器が回復しても、どこまで燃料がとろけているか等は分からない。だから最初からこのブログで心配している通り、燃料の大量の溶融、それが底部に溜まり、チェルノブイリで起こったような一時の再臨界にならないまでも、チェルノブイリ同様の水蒸気爆発に至る。そしてチェルノブイリ同様に大量の核物質の粉が大気に噴出、飛散という最悪のシナリオの確率が高まってきてしまった。これまでの、燃料からじわーっと気体として外ににじみ出たヨウ素とかセシウムが漏出しているのと、もう次元が全然違う。広島、長崎の死の灰のようなもの、それそのものが大気中に大噴出するのである。まさに、チェルノブイリ。あの時はソ連政府が発表しなかったので、住民が退避せず、周辺の3000人が即死したとの情報もある。
福島原発が上記のようなチェルノブイリ状態になる確率はどれくらいか? 誰も分からないが、直感的に100分の1というよりも、10分の1の方に近いのはでないか。ああ怖い。
そして、大気に噴出した場合、どのあたりまで飛散してくるのだろう? 勿論、その時の風速と風向きによる。チェルノブイリの時で周辺から風下の100kmくらいは高濃度の放射能に直接曝された。しかし、200kmくらいでも結構深刻な汚染があったようだ。福島原発から東京は220km、横浜で260km。いざ爆発、噴出となると、恐らく、東京や横浜にも避難勧告が出るに違いない。今から逃げるのも早すぎるが、逃げるときに何を持って、どこに逃げるといった頭の体操くらいは真剣にしておく段階に来てしまっているように思う。ホントに。
Nat