今、アメリカが日本にTPP参加を迫っているという話が報道を賑わしている。アメリカの経済が深刻な問題を抱え、オバマ政権も必死だ。TPPで日本・アジア市場を取り込まないと先がないとの危機感であろう。Wall Streetで始まったデモも根強く続いている。
とにかく、アメリカの失業率は高い。日本の失業率4.7%、若年失業率9.4%。アメリカの失業率9.1%、若年失業率17.7%だ。日本は実は企業内に実質失業者を抱えているから・・とか、統計の手法の差などなども言われるが、日本は世界の先進国の中で失業率は低く、アメリカは9%(1500万人)もの失業者を抱える経済重病の国であることは間違いなかろう。
そして、Wall Streetのデモのテーマである「一部の金持ちによる富の独占」で見ても、国民の所得のうちトップ1%が占める割合では日本は6%、米国は20%で、言うまでもなく米国では一部の金持ちの富の独占は大きい。
多くの庶民がそこそこの給料をもらい、そこそこの生活を出来るためには、やはり農業漁業などの1次産業、工業・建設業などの2次産業、金融・サービスなどの3次産業がバランスよくあることが必要であろうと思うが、特にアメリカではこの二次産業の衰退が大きい。アメリカの就労人口の部門別比率は1次産業が0.5%、2次が16%、3次が83%である。日本は1次が4%、2次が27%、3次が69%だ。明らかに、アメリカは2次産業が弱体化し、国中が3次産業になっている。国中が消費的であるということだ。2次には建設を含むが、それを除いた製造・工業の衰退は数字がないが、更に激しい筈だ。国中で外国から輸入した物品を消費していることになる。慢性的経常収支赤字になるわけだ。そして、この2次産業の衰退が、アメリカの1500万人の失業者の背景でもあろう。
歴史的には、まず日本・韓国の製品に負け、更には中国・アジアの低賃金に負けて、製造業を放棄した。その結果、1500万人の失業者がいる。そこで、ちょっと妄想だが、この1500万人の労働力を活かして、アメリカに新しい製造業を復興できないものであろうか? アメリカの最低賃金は時給7.5ドルほど。中国都市部では2ドルほどだから、まだ差はある。しかし、その差も縮まっていくだろう。アメリカに、日本資本が日本の製造技術をベースにアメリカ国内市場をターゲットにした新しい製造業を起こせないだろうか? 比較的低賃金で就労してくれる労働者母集団が1500万人もいるのだから。太平洋を越えて中国から輸入するよりアメリカで製造し、市場に機敏に供給する新しい製品供給するほうが余程合理的である分野もあるはずだ。私は最近のアメリカ事情に専門的に通じているわけではないので、これは、やはり単なる思い付き・妄想かしれないが、いける分野があるという気がする。どうだろう? Nat