♪♪ NATの独り言 (心・ジャズ)

生きていく上で信じてること。大好きなジャズのこと等

2014年01月

ジャズ等の「前に食うリズム」(シンコペーション)のお話

 ジャズ、ロック、ポップス、ラテン音楽では、メロディーを、拍子の頭より少し早めに、前に食うように、弾いたり歌ったりする手法が多用される。例えば歌詞が |Why do you leave me ?| だとして、頭のWhyを小節の頭できちっと「ホワイ」と歌うのではなく、「ホワ」を小節の頭より半拍ほど前から始める。その結果、ホワ|イ do you -- |みたいな感じになる。バックの伴奏は小節の頭から入るので、「ホワ」が皆よりもちょっと前に攻めて発音され、その分「Why」という言葉が浮き出てアクセントをもって響くのである。 これを、きちんと音符で書くと、♪|♩ となって、この二つの音符を「タイ記号」で繋ぐことになる。 

 となると、一応、音楽理論的にはシンコペーション(切分音)(あるいはAnticipation)とか言われる手法になる。上記のような半拍♪を前にずらして♩に繋げるシンコペーション(“シンコ”)は、クラシックでも良くある。しかし、クラシックのシンコと、ジャズ等のシンコでは意味が違う。クラシックのシンコは、全ての音が拍の頭にアクセントが来るのでは単調なので、時々ずらして、その妙味を楽しむものだ。しかし、ジャズ等のシンコは、もしメロディーを記録した譜面上は拍の頭で入るように書いてあっても、演奏者・歌手の自然な「ノリ」で少し前に食って入るものだ。しかも、それが至る処に多用される。演奏・歌っている人は、半拍前に食っていると意識してもいないケースも多かろう。要は拍通りにせず、前に攻めることで、音楽にエネルギー、つまり「ノリ」を吹き込むものだ。 

 このようなシンコは何時ごろ人類の音楽に登場するのだろう。どうも起源はアフリカの音楽リズムにあるらしい。15世紀、コロンバスのカリブ海・アメリカ発見で、スペイン人はカリブ諸島を占領するが、疫病をもたらして原住民が滅ぶ。そこで、アフリカから労働力として奴隷を導入。アフリカ奴隷の独特の「ノリ」リズムの音楽とスペイン音楽が融合し、カリブ海のラテン音楽になっていくが、ここに西洋音楽にシンコのノリが入った起源があるようだ。それが欧州に逆輸入されていく。一説によるとバッハの演奏は、8分音符が16分音符の分だけ前に食ったジャズのシンコ同様のノリをもっていたとも言われる。それが、書いた譜面になると、16分音符のシンコとしては記録されないので、8分音符が時計の刻みのようにきちんと並んだ形となり、後世の人は、それを機械的に弾くだけになったともいう。バッハは本当はもっとジャズ的だった筈ということだ。 

 さて、そうやってシンコが多用されるジャズ、ロックが、更にシンコだらけのボサノバが出来る。シンコがなければ、これらの音楽はノリのないツマラナイものになる。そして、Jポップスにもシンコが流れ込んでいる。ところがだ、私としては、ジャズや他の米系ポピュラ-音楽のシンコに対して、Jポップスの歌のシンコはやや不自然に感じる。それは言葉の違いが原因と思う。英語は「子音+母音」の発音で、例えば前述のWhyの発音で、Whの部分が相当しつこく入る。口をとがらせ「W」、そして、「h」の音が尖った唇から息が「フ~~」と噴出される。そうやって、漸く「ア」の音につながる。元々、「Wh—a—i」 なのである。それをシンコして歌っても、極く自然に Wha—i   |になる。ところがだ、日本語は「子音+母音」の「子音」と「母音」が殆ど分離されておらず、一瞬にして両方発音される。例として「だから」という歌詞の「だ」の部分をシンコして歌うとすると、「だ|あから」になってしまう。これがJポップスの若者の歌詞の発音で多く出て来る。私には、これが、イヤらしい日本語に聞こえる。ということで、そもそも歌詞をシンコしてサマになるのは、母音の前の子音段階が長いヨーロッパ系言語であったのだと思う。それをノリだけマネして歌詞の言葉は日本語では、合わないということだろう。美しい日本語を活かして歌うとなると、歌謡曲のように、きちんと頭で入る歌い方になる。音楽と言葉は切っても切れない関係という例だ。 

 かくかように、シンコは面白い。クラシック音楽の演奏を訓練してきた人にジャズ風の自然なシンコをやってもらおうとしても難しい。「自然にシンコして下さい」ではお困りであろうゆえ、譜面の上で半拍前から書くのだが、結局、半拍前から弾き始めたいという体の中のエネルギーが自然にない演奏者に、半拍前から弾きだしてもらっても、ノリが出ないのだ。シンコするからノるでのはなく、ノるからシンコする。ということだと思う。 どうでしょう。ちょっとは面白いですか。    Nat

●なお、JAZZにおけるシンコの意味が今ひとつ分かりにくいかもと思い、以下のサイトにシンコの見本の録音をアップしてみました。曲はStomping at the Savoyという古いダンス曲ですが、録音の最初のものはシンコなしで全ての音を拍の通りに弾いたものです。二番目の録音では、基本的にフレーズの頭の音は全てを四分音符の拍より少し早めに食って弾いております。(正確に言うとEndingの前の主なるメロディーの最後から二つ目の音だけは拍通り。)
https://skydrive.live.com/?cid=2060caee80c1da71#cid=2060CAEE80C1DA71&id=2060CAEE80C1DA71%211261 このサイトをクリックして中にあるMP3のファイルをDLして聞いてみてください。違いが分かりますでしょうか。私の自宅での私のピアノとメトロノームでの演奏の即席録音ですので、音が悪くて分かりにくいかも知れませんが。
Nat 

安重根記念館 -- 問題の本質は??

 韓国の安重根記念館が中国ハルピンにオープン。1909年にハルピン駅で伊藤博文を暗殺した安重根を反日シンボルの義士として称える記念館だ。早速、菅官房長官は「日本の初代首相を暗殺し死刑になったテロリストを礼賛する韓国、それを支援する中国は許されない」と抗議した。 

 この根深い対立は日韓併合に遡る。韓国は1905年の日韓条約を経て1910年に日本に併合された。韓国人が皆それに抵抗する中で日本は腕力で組み伏せたのか? 丁度、沖縄の宜野湾市で米軍基地移転受け入れについて、苦渋の選択にしろ、今回市民の意見が二分したように、当時の韓国では世論が二分していた。国力が弱いので日本の傘下に入る方が得策と判断する勢力も強く、少なくとも苦渋の選択として結局日韓併合を受け入れた。諸外国も異論を唱えなかった。 

 ということから、日本側では「客観的歴史」としては合法的な併合と認識。だから、それに異を唱え日本の代表者を暗殺した安重根はテロリストということになる。しかし、現代の韓国では、日韓併合を違法・無効・屈辱とする立場を採っているので、安重根は英雄になる。日本人にも、東京裁判は違法・無効・屈辱という人もいて、その人からするとA級戦犯は犠牲者ということになる。 

 歴史認識は事実認定ではなく、結局「どう思いたいか」という話だ。日韓の歴史認識は恐らくあと50年は対立したままになるだろう。 

 ちなみに安重根はクリスチャン(カトリック)であった。とすると、キリスト信仰があれば、直ぐ解決される対立でもないことが分かる。しかし、それでも私たちは祈りつつ、互いに真摯に生きるしかない。そう思う。    Nat

A級戦犯は既に名誉回復だから、靖国参拝も問題ない??

 ブログやFBを見ていると、「東京裁判の戦犯は、その後の名誉回復国会決議で逐次釈放もされ、名誉回復しているから、A級戦犯はもはや犯罪人でない。だから靖国参拝も問題ではない」と言った論調を良く見かける。 

 この手の論者の典型は、まず安倍晋三で20056年頃からそう主張している。また民主党でも自民党的な野田氏も国会質疑で、A級戦犯として受刑した重光葵と賀屋興宣がその後釈放され名誉回復していることから、同様に死刑執行された東条らA級戦犯も名誉回復しているのではと問うている。 

 名誉回復決議は、1952年~55年に4次にわたり、戦後の時間経過もあり、服役中の戦犯もそろそろ・・という気運となり、サンフランシスコ条約上の戦勝国側の同意も得て、刑の減免と、国内的な名誉回復(恩給の便宜等)を図ったものだ。当時、日本の人口7000万人の所、4000万人の署名を集めた国民運動に基づくから、日本人の心の中で「戦勝国から一方的に裁判されたが、そろそろ赦免だろう」との強い思いがあったことは事実だろう。 

 それでは、この一連の国会決議で、東京裁判の判決が取り消され、また、判決を日本国家として正式に受諾したサンフランシスコ講和条約(11条)が既に無効になっているのかというと、冷静に言って、それは違うと言わざるを得ない。一言で言うと、(1)国会決議は刑の継続執行から減免することを決めたもので、判決そのものを取り消すものではなく、また、連合国側も生存中の戦犯の刑執行減免に応じただけである、また(2)問題の東条ら既に死刑になったA級戦犯は刑の減免の議論の対象になり得ず、A級戦犯としての判決も死刑されたという事実は何も変わっていない。これは、2006106日の参議院での福島みずほ議員への答弁書(皮肉にも名義は当時総理大臣の安倍晋三)で『A級戦争犯罪人として極東国際軍事裁判所において有罪判決を受けた者のうち赦免された者はいないが、減刑された者は十名・・・。なお、この法律に基づく「赦免」及び「刑の軽減」が判決の効力に及ぼす影響について定めた法令等は存在しない。』としており、東京裁判の判決の有効性を変える法令はないと明言しているのである。 

 以上の通り、まず国際法、国際関係上、195255年の戦犯名誉回復決議によって、東条ら処刑され靖国に祀られたA級戦犯が赦免されたことは一切ない。国内法的にも、当時生存していたA級の重光葵と賀屋興宣が釈放されたりしたが、東京裁判判決やサンフランシスコ条約を覆す法律は一切ない。それが故に、中国が安倍の靖国参拝に付け込み日本を国際的に孤立させ、落とし入れようとする根拠が、今でも法的に、かつ国際関係論的に十分存在することになるのだ。一方、国民感情的には、60年前の4000人の署名からも明らかなように、戦勝国による一方的な東京裁判判決への不満もある。(但し、何度も言っている通り、実はそれにより天皇の免責と、国としての連合国への賠償責任を放免してもらった取引であり、その大きなメリットを享受してきたことを認識していない国民が多いが。)だから、靖国参拝も国内的には「何が悪い」との意見も根強い。しかしそれを続け、エスカレートすると、日本は、悪意に満ちた中国に愈々はめられていくことになるリスクが高い。ここは正確な事実認識に基づく、冷静な大局観が求められるだろう。    Nat

 

 

  

 

 

「意識とは何か」-探究は続く

 「意識とは何か?」とか書くから「溝口のブログやFBは小難しい」と言われる。しかし「意識」こそは、人類最大の謎であると思う。

 少し前に、そのことでここに以下の3回シリーズのブログを書いた。超暇か超好奇心の高い人は見てみて。http://iamnat.dreamlog.jp/archives/51830419.html 

「意識」は「脳の仕組み」と言ってそれで割り切りの人も多かろう。確かに起きている時の意識は脳神経の働きに支えられている。そして、睡眠か麻酔で脳神経の働きを一時的に休止させると意識は消えるから、「意識=脳の働き」とも思える。だとすると、死んだら脳も終わりだから意識も消える筈となる。

 しかし、前世の記憶等という「自分の脳以前からの意識」があるという数多くの報告がある。更に、ネットで検索すると分かるが、「睡眠中に幽体(意識)が体を離脱する体験」をしている多くの報告もある。「そういうのは全部、眉唾」と割り切ればそれで終わり。しかし、私は是非、科学に頑張ってもらって、眉唾と決め込まずに、その領域のことも明らかにして欲しい。そうでないと、私の一生の問い「意識とは何か」は解けない。    Nat

靖国問題で国際孤立云々はそうなのか?違うのか?

 以下の産経新聞特派員古森氏のWEB記事『「靖国参拝で日本が孤立」は歪曲報道だ - むしろ日本を擁護する東南アジア諸国』が、高いアクセスを得ている。が、これはポイントを突いていないと思う。古森氏は単に、激烈反応しているのは中国と韓国だけで、東南アジア各国は概ね冷静という表面的な事実を述べているだけだ。

 私は言う:(1)ビルマ・フィリピン・インドネシア・ベトナム・シンガポールは日本から賠償・準賠償を得てそれで一応ケリがついている。(タイは、語弊はあるが、元々迷惑度や反日性が低かった)。一方(2)中国は国民党政府と共産党政府に分裂していたので、東京裁判判決(A級戦犯の刑でケリ)に基づく連合国と日本のサンフランシスコ講和条約に入れてもらえず、自ら賠償放棄の米英とは違い、不満がうっ積した。78年の日中条約で賠償の代わりに巨額の経済援助を引き出したものの、それにつき国内では広く説明していないので、国民の反日は根深い、(3)韓国は日本領だったので、賠償は一切もらえず不満が著しくうっ積したが、65年に朴大統領が日韓基本条約を秘密裏に結び巨額の資金供与を得た。しかし、国民は知らされなかったので強い怨念が今も残る。

 手早く言うと、それが経緯だ。だから、当然、中国・韓国は強く反発する。しかも今や中国は武力で東シナ海を支配しようとしている。そして私が懸念しているのが、そういう中国が、次第に自分の主張(「日本が歴史を歪めて今挑発的軍国主義に」)に対して、巧妙に欧米・アジアを巻き込もうとしているのに、安倍自民党の靖国参拝が恰好の材料となっている点である。古森氏はそういう突っ込みが浅いように思う。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39618

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