ウクライナ東部分離の動き。間違いなく背後にロシアありだ。ロシアは、これから西側の制裁で国際収支が相当悪化し苦境になるだろう。それでもプーチンは、ここで旧ソ連的な一定の地域への支配を確保しておかないと政権が持たないと強く思う、「確信犯」の道を選んだ。だから、これから、「21世紀の新冷戦時代」になると考えた方がいい。その事の日本への意味は何か?
(1)ロシアはこれから日本には北方領土を餌に欧米との分断を仕掛けて来るだろう。だからそれに乗ってはいけない。(元々、北方領土はクリミア同様ソ連が強奪したものだ。それを返してもらうのに、日本がお願いしたりすると、この局面では原理原則を歪める。)
(2)一方、習近平中国政権は、日本を「歴史の中の悪者」、そして安倍でその「悪者日本」が復活という構図を、異常な執拗さで世界中にプロパガンダし、尖閣諸島を始めとする他国領土を強奪してもそれが既成事実化するための国際世論形成に精を出してやまない。ロシアのウクライナ強奪への日本の態度が甘いと、中国から一発で付け込まれる。こういうのは日本が下手クソな局面だが、ここはウクライナ問題でしっかり欧米に着いていくことだ。
ということで、これからの世界は、ロシアのプーチン、中国の習という二人の執念に満ちた強烈独裁者に多いに注意せねばならない。そもそも世界史を見れば分かるが、ロシアも中国も、力での領土拡張体質だ。また、20世紀以降の米国中心の世界秩序に対する反発と劣等感のブレンドを共有する。そして、今、プーチンはクリミヤ・ウクライナにおける「歴史の過ちの是正」を掲げ、習は「日本=歴史の中の最大の犯罪者」論を世界中にまき散らす。両方とも国内の「歴史のうっ憤晴らしたい勢力」への受けを計算しつつ、結局は自らの他国領土強奪に対して「歴史」を材料にした強引な正当化を図ろうとしているだけである。兎に角、日本は欧米と基本的にしっかり同盟して、プーチンと習の陰謀に負けないようにする正念場である。 Nat