8月6日の広島の日。安倍首相は平和へのあいさつをした。しかし安倍首相のことを「日本が再び戦争の出来る国にしようとしている」と見ている国民は多い。いわゆる「交戦権」。日本の現状はどうか。
憲法9条は明確に交戦権も禁止している。つまり他国に日本を武力攻撃されても武力応酬は一切出来ないという、実はすごい内容だ。やられるがままになる。これは思想的にも非常にクリアだが、国家政策としては非現実なのだろう。だから、武力攻撃事態法という法律の方で、「(武力攻撃を受けた場合その排除のための)武力の行使は、事態に応じ合理的に必要と判断される限度においてなされなければならない。」と定め、要するに最小限の武力行使を合法化した。
しかし、自衛の為であろうが、最低限でも武力行使すると、実質的には「交戦」になってしまうことが多い。よって、安倍首相の集団的自衛権の前から、既に我が国は「自衛のための戦争は出来る国」になっているのである。つまり、憲法9条は交戦権を完全否定しているのに、自衛隊法や武力攻撃事態法では部分容認してしまっている。この曖昧矛盾構造で良しとしてきている我が国の現状は、そもそも異様であるとも言えよう。
安倍首相としては、既に法令で認めている自衛のための交戦権を、少し幅を広げましょうと言っているだけのつもりかも知れない。しかし、そもそも憲法と法令の関係が曖昧矛盾なのだから、国民の反応もまちまちとなり、且つ、不安に満ちたものとなってしまう。右翼から見ても左翼から見ても、日本の現状は危うい。 Nat