1227日、ハワイで、美しい美しい表現を駆使し「二度と戦争の惨禍を繰り返さぬ決意」と「和解」を説いた安倍首相。

 この演説に対して、皮肉なコメントはするまい。幾ら「政治家の美しい表現」であっても、平和を志向する「形」を採っているのだから。

 しかし、真珠湾攻撃における根強い「真相」説、即ち「ルーズベルトは日本の攻撃を知っていた。」のことを思いつつ、今回の安倍首相、オバマ大統領の写真を見ると、政治家はどの時代にも狡猾なものかと思ってしまう。

 「真相」説とはこうだ:米国ルーズベルト大統領は欧州戦線に米国も参戦する機会を模索しており、その突破口の一つとして対日開戦を画策していた。それが故、日本に最後通牒を突き付け、日本を挑発、挑発に乗せられた日本海軍が真珠湾に接近するのも全て電報を傍受し知っていた上で、わざと真珠湾を攻撃させた。また、その為、米国の空母は予め全て真珠湾から持ち出していた。日本の宣戦布告の配達が遅れて米国民を奮い立たせる「卑怯なだまし討ち」の形となったのは、ルーズベルトにとり予想外の大喜び・・という話。

 本当の「真相」は私には分からない。しかし、上記の話には相当の「蓋然性」はあると思っている。政治はダマし合い、バカし合いでもある。握手し微笑みながら、机の下で相手を蹴飛ばすものでもある。そのような人類が、本当に平和に達するのは、あとどれくらいの年月を要するのだろう?

★翌日追記: 首相周辺が「これで全て終わった」と言っているらしい。嫌な言い方になるが、要するに「これでいつまでも過去の戦争のことでごちゃごちゃ言われるのはもう終わり」ということだろう。問題は、「過去が終わり」なら、これからどういう未来を指向するかだろう。また皮肉な言い方になるが、これで安倍首相としては「過去のような惨禍を生む戦争はやらないが、一人前の国としてプライドをもてるような ”いい戦争” はやれるようになった」ということかもしれない。我々国民にとっては、これで「終わり」ではなく、これからが「始まり」であろう。

★更に追記:
 
安倍首相の真珠湾訪問が「終わらせた」という日米戦争の過去の憎しみ。それを改めて理解するため、75年前の真珠湾攻撃翌日にルーズベルト(R)大統領が議会で行った「日本の卑怯な攻撃非難と開戦宣言」演説を読んでみた。英語のままで分かる人には読んでみてほしい。(演説全文)

 昨日私がここに書いた「R大統領は実は日本の攻撃を事前に知っていたというか、むしろ挑発して誘発させ、米国の参戦の口実にした」という説は有力であり、それも踏まえてこれを読むと、いかにR大統領が、日本を悪魔的な卑怯な国として、議会と国民を対日憤りの渦に巻き込み戦争に突入させたかが良く分かる。

 演説では「米国はまだ平和を模索していたのに、日本は一方的に攻撃開始」、と言い、最後に、「the unprovoked and dastardly attack by Japan」(一方的かつ卑劣な日本の攻撃)に対して戦おうではないか! で演説は終わる。

 日本が卑劣だったか、R大統領が更に狡猾に戦争へ誘導したかは別にしても、こうやって始まった対日憎悪 -「Remember Pearl Harbor」と日米戦争に、今回の真珠湾訪問で大きな区切りがついたことには、歴史的意義はあろう。しかし、問題は、ここから日米関係はどうなる(べき)かだ。  Nat