またトランプの話・・
● 安倍首相は、皆が「止めておけば」というのを、懇願して、漸く2月10日にトランプに会ってもらえることになった。
● 今日の電話で、安倍首相はトランプの今のリーダーシップを先ずは褒め称えたようだ。そして安倍首相は、2月10日には、如何にTPPが大事かを、長々と語るに違いない。その結果、トランプに「こいつは、オレの今の政治的狙いを全く分かってない、もう完全に、どアホではないか?」と呆れられるのが見えていて、日本の国益上最悪である。
● トランプのような人に、今、対峙する場合、シンプルながら、トランプの痛い所に一発で突き刺さることを言い放って、席を立って帰ってくるくらいでないとダメと思う。それで初めて「おっ、日本も案外気骨はあるな」と、一目くらいは置かれるかも知れぬ。
● 米国車の日本での非関税障壁での販売不振問題では、「ドイツ車は結構売れてる。米国の大味な車では永遠に無理。」と言い切ればいい。TPPは「日本は進めたいが、貴台が嫌なら今は一切言うまい。しかし、TPPでやろうとしていた、中国に対する非軍事包囲網は、替わりにどうするつもりか!?」と突きつければいい。
● 所詮、トランプは恐竜だ。恐る恐るすり寄っても、餌食になるだけだ。大きく開いた口の中に、日本の花火でもぶち込んで帰ってくるくらいの気概がないとダメだろう。私は、そう思う。 Nat
2017年01月
1.<1月25日> オレ様大統領のトランプのアクション。
● 彼は温暖化問題は「完全に、でっち上げ」と強く信じているので、環境保護局の公式HPからの関連ページの全面削除命令。分かりやすい!
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私だって、炭酸ガスは、地球が地球の自然のサイクルで少し温暖化した結果、海水中に溶けている炭酸ガスが大気中に放出され、結果として炭酸ガス濃度も上昇、という具合に、原因と結果が逆である可能性につき、いまだに強く疑っている。つまり、私も、人類の温暖化阻止運動そのものが、科学的に茶番である可能性は、結構高いとも思っている。しかし、もう世界政治的に、温暖化食い止めの為に、人類の出す炭酸ガスを抑制することが、科学的な検証を離れて、規定路線になってしまっている今、トランプのように、それに真向から立ち向かう人は、普通の政治家というか、普通の人間ではあり得ない。そう考えると、このオッサンはすごい。
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私は、このオッサンは、結局、ただの不動産屋が、テレビのエンタメのトークの才能で大統領になってしまっただけという想定で、米国にも世界にも結果的に大変な迷惑な人にしかならないという仮説で考えている。
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しかし、大統領になっちゃったからには、「超自分らしく」、自分流のエンタメ路線を派手にアクションしようとするのは、この人としては、当然のことで、自分に「超」忠実に生きているのだろう。そういう意味では、大変オモシロい。どうせ、途中で失脚などになる可能性は高いが、失脚までは、せめて、このアクションのように、エンタメ的にオモシロいことをしてくれれば、少しは世の娯楽にはなる。ということから、次に出す、大統領令や命令の報道が、ある意味で待ち遠しい。
2.<1月26日> 昨日も書いた通り、オレ様大統領トランプが、立て続けに大統領令を出しているが、昨日の温暖化問題の政府HPからの全面削除の命令に続き、今日は何が出るのかしら?と思っていたら、新聞によると、いよいよ例の「メキシコとの間の壁を建設せよ」という命令を出したらしい。
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勿論、温暖化問題の削除も、政府の関係者などが、そのまま100%言うこと聞かないかも知れないとか、更にメキシコの壁は、議会が費用を承認しない限り出来ないので「口先」だけの命令になることくらい、トランプだって分かって、その上で吠えて見せているものと思われる。
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だったら、今出している大統領令は、もっぱら、テレビのエンタメ番組でワーワーと吠えていたのと同様、自分の支持者の白人高齢労働者たちへの、エンタメ演技と思えばいいのであろう。
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どうせ、本人も分かっている通り、出来るものは出来る、出来ないものは出来ないということで、吠える姿を見せるだけのエンタメ・シリーズなんだったら、私も、この局面では、いちいち真剣に懸念したりせず、純粋エンタメとして笑いながら見ることにした。
★26日20時追記: 以上のように書いていたのだが、夕刊見たら、「水責め拷問禁止の解除」の大統領令を出す予定とも書いてある。う~~む、それもエンタメと笑うべきか? 悩ましい。
3.<1月26日> オレ様大統領のトランプの大統領令は彼の「エンタメ演技」として、当面、笑って見守るとしても、全く笑えないのは、やはり、トランプ大統領の核ミサイル発射権限だろう。
「核のフットボール」と呼ばれる黒いバッグがあるが、その中に、大統領による核ミサイル命令指示を出すのに必要なものが一式入っている。大統領が世界のどこに行こうが、おつきが必ずこの黒いバッグを持って大統領に付きそう。トランプが中国等の発言に激怒して、激情のままに、このバッグの中身を使うことは全く可能で、法的に回りの誰もそれを阻止できない。これは笑いごとではない。
4.<1月27日> アーミテージ氏(元米国国務副長官)のトランプ評「トランプはビジネスマンでない、不動産の取引屋に過ぎない」は中々秀逸と思った。(26日の日経報道参照。)
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つまり、ビジネスでは長い関係になることもあり、相手の立場も考えてWIN・WINを模索する。一方、不動産では一回切りの売買が基本で、相手を恫喝してでも自分に都合のいい取引をその都度、案件ごとに勝ち取ればいいという趣旨だ。
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まさに、これだと思った処、アーミテージのトランプ評は、結構ネット上の評論家たちも、まさに本質を喝破したものと評しているみたいだ。
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メキシコも中国もトヨタもNY州(移民問題)も、皆、トランプからすると恫喝し、取引の成果を得る対象ということか。世界の政治、貿易経済、安保は、確かに不動産取引よりも、複雑な関係論の中でWIN・WINを求めるビジネスの方に余程近い。トランプの恫喝での個別取引主義は、その途上で破たんする可能性が高い。と、今の処、私は考える。
5.<1月27日> 安倍首相が必死にトランプに会おうとしているのを、回りが「やめたら」と言ってる今の日本。
●それはそうでしょう。トランプは、中国や日本からの不正な輸出が米国の労働者の職を奪っている!と主張、そういう「悪」を滅ぼすと吠えて大統領になったんだから。そして、今、盛んに、大声で自分のサポーターに対して、吠えてみせてるこの時に、安倍首相が会って得るものはゼロ。というか、むしろ、飛んで火に入る夏の虫として利用され、子犬のような安倍が、恐竜トランプに噛み付かれて餌食になっている構図を、又ぞろ「エンタメ演出」されるだけだろう。
●
英国メイ首相とトランプは戦略的に互いに駆け引きを試みているが、日本は所詮、この局面では何も出来ない。どうせトランプの相手にされないのだから、今はじっくり戦局を見極めるべきだろう。
6.<1月27日> 更に、トランプの悲劇。
★★★
彼は多国間の集団的スキームが、大嫌い。
●
国連、NATO、日米韓安保、TPP、NAFTA、WTO、全部、嫌い。そういえば不動産取引は全部一対一。だから集団取引では米国の強さが埋没すると思いこみ、そういう世界の多国間集団スキームは全部リセットしたら、強い米国が復活すると思っている。
●しかし、戦後、米国は一貫して、「世界・他国の為」、「同盟国の為」、「欧州の為」のふりをして、多国間アレンジを率先、実はそれを通じて米国の超エゴを発揮してきたのである。確かに、今、世界の中での米国の力が少し落ちてきている。しかし、この米国得意の、偽善的ですらある「集団スキームを通じての米国の大国エゴ発揮」を捨ててしまっては、米国が世界の中の「一つの国」に後退してしまうだけだ。替わりに、ロシア、中国、イラン、イスラエル、北朝鮮などが跋扈するワヤワヤの世界になるだけだ。
●
米国は非常にエゴなお殿様ではあるが、そういうお殿様の忠実な僕でやってきた日本としては、米国に世界の集団スキームから撤収されては、エライことである。そして、その米国自身が、トランプの意に反して、結局、集団スキーム活用しての強みを全部捨て去り、自滅していく道を今スタートしたのである。
★★★
メキシコとの壁。話としてはオモシロい。
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メキシコからの輸入額は年間3000億ドル。これに関税なり、法人税レベルの輸入税なりを20%掛けたら、600億ドル。壁作る費用は170~250億ドルとかいう数字が出ているから、計算上、メキシコからの輸入への20%課税で賄える。
●
しかし、20%もの課税すると、輸入が成立しなくなり、輸入激減。課税も成り立たない。無理にやると、米国民に多大なツケが回る。そもそも、どういう課税でも、Super 301条での対抗課税の比ではなく、WTOで大問題になる。そこで本気でトランプがWTO離脱を叫んでも、その段階で、議会との全面戦争になろう。
●
ということで、ここからは暫く、ワヤワヤ大混乱の世になる。
(※そういう中で、安倍がトランプに「TPP、やりましょうよ!」って言うのは、茶番を通り越して、悲劇ですらある。) Nat
「オレ様
大統領」のトランプの「困ったもんだシリーズ」の更なる続き。
TPP永久離脱などの大統領令が出され、トランプの「オレ様ゲーム」が、いよいよ始まった。「米国を再び強くする」とのスローガンであるが、結果的には、これから、逆に「米国はドンドン弱くなっていく」リスクが高いと思う。
ロシアのやりたい放題を放任。トランプがその対価として何を求めて取引しようとしているのか? それが彼のロシアでの猥褻行為記録の握りつぶしなのかは不明だが、何故かロシアを強くさせるアクションを始めている。米国は相対的に弱くなる。
また、対中国も、中国の南沙諸島基地などにも噛みついてみせてはいるが、結局、トランプは「経済・貿易を最大重視」だから、貿易問題の取引の結果、結局、南沙諸島での中国覇権拡大も黙認してしまう可能性が結構ある。一貫した国際的安保・軍事政策は崩壊、個別取引の結果の、全くちぐはぐな安保・軍事体制になる。(周りの閣僚がそこまで愚かなことをさせない可能性もあるが、本気でちぐはぐな事をする可能性は想定しておく必要がある。)
これらの結果、米国の、世界における軍事的・地政学的プレゼンスは果てしなく小さくなり、国内に閉じこもることになる。ロシアのプーチンに続き、そういう状態を渇望していた中国の習政権の高笑いが聞こえることになろう。
また、NATO との同盟、日韓豪との同盟も変質し、結果的に、これまで同盟を通じて発揮されていた「米国の強さ」が喪失される。
その代わり、米経済だけはドンドン強くなるならまだしも、90年代の経済・ビジネス・貿易状態に時代錯誤的に戻ろうというのだから、至る所で、米国の経済・ビジネス・貿易には矛盾が噴出して、収拾不能状態に向かうリスクが高い。
その上、反トランプ勢力の国民諸グループの反感・憎悪マグマは余計に高まることはあっても、収まることはないとも思われる。
その結果、どこかでトランプ政権は行き詰まり、米国は出直し、やり直しになるが、1月20日に書いた通り、「ポスト・トランプ」はもっと大変なことになる恐れがある。もう二大政党前提の大統領選挙制度が破綻しつつある中で、トランプ以上に「何、この人?」と思うような人しか大統領にならない可能性がある。
米国の終わりの始まり、世界の大混乱の始まりが今かも知れない。皆さんは、そこまでは思わないですか? Nat
「オレ様
大統領」のトランプの「困ったもんだシリーズ」の続き。今度は日本に関係ある話。
アメリカの貿易収支は、確かに彼が「目の敵」にする中国、メキシコ、日本との間では赤字であるし、国全体でも長きにわたり、貿易収支はずっと赤字である。トランプは、貿易赤字を企業の赤字経営と同じように捉えて、「これらの国の不当な対米輸出による米国の巨額損失、それをオレが修復する」と主張してきている。しかし、先進国は(EU内の輸出が巨大なドイツを例外として)、皆、貿易収支は大きな赤字が標準だ。
途上国で製造した方がよほど安くできる製品・部品・原材料は、もう割り切っておおいに輸入してそれを享受する。輸入の支払いに充てる外貨は、もっぱら、サービス貿易の収入、海外からの配当・利息収入、更には、海外からその国への投資で入るお金を回す、というのが先進国のモデルだ。つまり、「高度レベルのビジネス」で稼ぐお金で、「途上国からの安い物資」を大量に買うという楽しみ、これが先進国モデルであり、米国もそれでやってきたのである。いわば、お金もちは、自分の庭の芝刈りは、自分でしない、それと同じことだ。トランプだって、自分で芝刈りするまい。
国全体としては、これで良い。トランプは、単細胞的な理解で、「貿易赤字」=「国の損失」と初歩的誤認しているのかも知れない。しかし、彼の正しいのは、「かかる先進国モデルでは、昔風の製造業に従事していた労働者が失業し困窮する。もっぱら、いい目に会うのは、外貨を稼げる高度のサービス業(IT/金融)や、海外からの配当を稼ぎ、投資を呼び込めるハイテック産業の株主・従業員でしかない」と認識していることだ。それを大声で指摘したのが、トランプであり、サンダーズだった。
しかし、トランプが間違っていて、サンダーズの方がむしろ正しかったのは、その問題の解決策だ。衰退分野の旧式労働者の苦境問題の解決策は、社会福祉Safetyネットでの救済と、転業促進の教育訓練しかない。それを、トランプは、昨日も書いた喩えだが、「川を掘るブルドーザーを禁止し、多数の肉体労働者でスコップで川を掘らせて雇用を無理に捏造する」ことで対処しようとしている。
米国など先進国では、今後、AI(人工知能)でいよいよ、旧式労働者は職を失う。昔、牛や馬で畑を耕していた時代から、機械耕作になった時、恐らく余った牛や馬は殺されたに違いない。しかし、旧式労働者がどんどん余剰になっても、殺してはいけない。社会福祉と教育訓練で、明日に繋げないといけない。収入がなくなって健康保険料が払えなくなり無保険になると、オバマケア的な制度でカバーしてあげないといけない。それが人類の道筋である。しかも、そういう事情は、AIで、愈々加速する。
トランプの施策は、彼はそう思ってなくても、実質完全に「時代逆行」的に、先ほどの譬えで言うと、機械耕作から牛や馬による耕作に戻すことで対処しようということに等しい。これは、表現する言葉を失うほどの愚かな策である。必ず行き詰まる。その時、旧式労働者も裏切られ、米国全体が取返しのつかない損失を被る。煽りを食う世界もだ。
本音で議論している人の中には、就任式での暗殺はさておき、4年の途中での弾劾・失脚を望みつつ現実には居座ってしまうことも想定、大きな声で言えないが70才のあの不健康体が途中で持たなくなることに秘かに期待する向きもないではない。米国も世界も、大変な局面に入っている。と、私は思う。 Nat
いよいよトランプ大統領の就任。改めて、私の所感を書いておく。
トランプは、アメリカ国民の中で最も取り残された人たち、ラストベルトと言われる鉄鋼・石炭・自動車等の労働者層に、実に巧妙にアプローチし、彼らの「最後の一縷の望み」を受けて選挙を制した。そして、明日からトランプ政権が発足するが、実際に実施される経済政策は、Goldman SachsとExxonの幹部と元軍人の閣僚が決める大企業発想の政策を基本とする。ラストベルト対策はトランプ自身が口走った、完全に対症療法に過ぎない若干の見せかけ上のジュスチャーがなされるだけに終わるだろう。
鉄鋼はもはや先進国のビジネスじゃないし、石炭は米国でもシェールガスに負けて滅びるだけだし、自動車は先進国では自動化で労働者をもはや必要としない。トランプの対症療法は、むしろ米国民を苦しめるだけというのは、トランプの閣僚は百も承知だろう。
だから、ラストベルトでトランプに最後の望みを託した労働者が、期待を裏切られ、憤りの群れになるのは、ほぼ確実だろう。
となると、私の最大の関心は、そうやってトランプが失脚するのは四年後か、もっと早いか? そして、トランプの後のアメリカで誰がどうリーダーになり、どういう国に向かうのか? である。もはやトランプタイプの政治家ではダメ。もちろん、昔のヒラリータイプもダメ。ではサンダーズタイプ? 全く読めない。米国のこれまでの政治システムが機能不全に陥るのは、本当には次期大統領からではなかろうか。その時こそ、世界が本当に困惑する時だろう。
トランプが就任もしてないのに、早くも「ポストトランプ」を論じるのは、気が早いと思われるだろうが、その「心」を一言追記:
今回、痛感されたのは、米国の大統領を国民が選ぶという制度が基本にある中で、それと実質的に二大政党制が併存してきたこれまでの米国の政治制度が、今回、実質崩壊したという点だ。
共和党、民主党が非難し合いつつも、時々交代する、そういう米国の政治制度が行き詰まり、結構多数の「吹き溜まり」の米国民が発生していた。それを、実質、共和党でも何の政党でもない不動産屋のトランプが登場。
一気に不満分子を魅了して大統領になる。
しかし、大問題は、4年も待たない間に、それが超幻滅に終わるということだ。トランプ失脚の後の米国。二大政党ベースの昔のような大統領選挙には、恐らくもう戻れまい。かと言って、政党を離れて、本当に国民がいいと思う、本当のスーパースターの登場は難しい。
そうすると、国の核になる大統領が、「消去法」的に、今回のトランプ以上に「何で、あいつが?!」という人になる可能性が高まるということだ。選挙制度がもう根本的にヤバイ。そして、世界が、米国の「えっ?この人?」という大統領にもっと攪乱される。
私の水晶玉で見えるのは、そういう世界だ。 これ、違うかも知れないが、どうでしょう??? Nat