★ところで、希望の党の施策の中に「企業の内部留保への課税」なるものが入ったのにお気づきだろうか。
● 内部留保課税というと、「内部留保」というものに対する世の無理解・誤解から、世の中に様々なナンセンスがはびこるテーマなのだが、希望の党の中でも分かっている人は少ないのではないか。
(1)まず、今朝の テレ朝の報道番組でも、本件の解説で「内部留保=企業の貯金」等という超恥ずかしい誤解で解説していた。内部留保は配当後の利益の累積値である。そこから、例えば新鋭工場などへの再投資を積極的にすると、内部留保が全部、事業用資産の形になり、手元現金はゼロに近いという状況もあり得る。だから「内部留保=企業の貯金」は完全な誤解。そういう企業の内部留保に課税しても、投資に積極的な企業ほど苦しむ。(注:「現金-借入れ」/ 内部留保という比率を計算、それが50%以上の企業にのみ課税とかの工夫するならまだしも。)
(2)内部留保課税はここ2-3年、一部で提唱されては消えてきている問題の多い策だが、その狙いは通常、企業が内部に現金を蓄え、社員に給料を払うのをケチる、設備投資をケチるというのを、無理やりに税金で矯正できないかという発想である。希望の党の中で、これを思いついて掲げた人の狙いが給料なのか設備投資なのか分からんが、恐らく殆ど何も分からんままに、受け売りで書いただけだろう。
(3)内部留保課税は、法人所得に一旦法人税課税し、配当しなかった分にも累積ベースで二重課税する変なものだが、まず、それをしても、一義的には、促進され得るのは配当だけである。給料を多めに払わす為だけなら、給与を増やすと法人税も少な目に済むから、内部留保税などやらんでも同じ。あるいは奇策だが給与の損金処理率を1.3倍とかにするといい。また、設備投資促進は、内部留保税では一切促進効果ない。
● ということで、希望の党は、俄か仕立てだから、選挙は、政策なんか下手に掲げず、小池さんのスマイルイメージだけで勝負すればと思っていたら、「排除」発言でイメージは壊滅的に棄損。その上、言うに事欠いて「内部留保課税」が政策とは、私も唖然。そして、もう一つの具体的施策を見ると、何と例のまたぞろ問題多い「ベーシックインカム」。ダブルに唖然。もう、ほんとに知らないよ。 Nat