★今朝の日経 『失業率が2.8%で3%割れ、完全雇用、企業が賃金など雇用条件で競い合って人を奪い合ってもおかしくない』と述べている。更に、職種によってばらつきがあることまでは書いているが、なぜ、実際には賃金上げで競って人を奪い合うまでにはなっていないのか、という最も本質的なことは述べてない。
● 例えば建設現場労働者や飲食店等の接客業の求人倍率の「4倍」という数字は載せている。何度も書くが、求人倍率はハローワークという時代遅れの場に登録されている求人の人数とハローワークで応募して採用された人の割合で、その絶対値にはもう殆ど意味ない。実際の採用はネット・スマフォ等の他の手段でされているからだ。唯一意味が少しあるとすると、求人倍率の増減傾向くらいだろう。建設現場も飲食店も、実際に必要な人数の4分の1しか採用出来てない訳でなく、人集めの苦労はあるが、結果的にはアジア人等で埋めているのだ。
● そこで、雇う側として、賃金をそうそう上げる必要もないし、1割上げたら追加で採用できるかというと、人が来ないのは賃金が安いからでなく、職場が嫌だからであるので、賃上げで大した追加採用は出来ない。その一方、もし上げる場合、今の賃金水準でも喜んで働いてくれている現在雇われている人の賃金まで上げないといけないので、そんなことを簡単にする訳がない。
● 一方、製造技術者とか会計実務者とかの求人倍率は0.6~0.7 等とも書いている。これまた絶対値はハローワークだけの数字で意味ないが、需給はそうひっ迫している訳でもないことを示す。そういう中で、安倍首相の願うように、企業が正規従業員に3%のベースアップなんか出すわけない。
● だから、日経の「完全雇用」云々報道にも拘わらず、賃金は上がらない。だからこそ、安倍首相は、最低賃金950円とかを1300円とかに一斉法定値上げするしかないと私は言い続けている。飲食店の全店一斉禁煙措置と同じで、全員一斉値上げするなら、横一斉だから、経営破たん等の問題はミニマムに抑えられる。
● ということで、日経は「完全雇用」とかつまらぬ報道するより、そういう経済の実態を述べるべきだ。 Nat