★憲法9条の改正問題。
● これまで私は、安倍案の「2項(戦力不保持・交戦権非行使)」を維持したまま、「自衛隊はOKとの3項」を加筆することに徹底反対してきた。
● しかし、ここにきて、自民党内で、2項は維持、その上で3項で、「自衛隊OK」ではなく「自衛権の行使は妨げない」にする案が有力になり、石破氏もこれを容認する動きが出てきた。これで、国会では、恐らく、この改正案が通るだろう。そして、この案なら、国民投票でも反対は少なく、可決される公算が高まってきたのではと思う。
● という局面だから、私は敢えて問う。論理的な面だけ見ると、この案には相当の合理性がある。だから国民の多くは、これなら「そだね」と思うだろう。しかし:
(1)3項がなくても、そもそも国連憲章51条で加盟国の自衛権は明確に認められている。
(2)しかも国連憲章51条では、「個別的または集団的自衛権」として、「集団的自衛権」も認めている。しかし、我が国は、憲法9条1項2項で自衛権にも強い制約がかかっているとの解釈で、「集団的自衛権は憲法上難しい」という立場をとってきた。(近年の新安保法で、それが崩れてきているとの懸念が生じている訳である。)
● 斯かる現状の中で、敢えて、敢えて、3項を追記する自民党の狙いは何か?ー が鋭く問われていると思う。
1.3項なしの現在は、自衛隊による我が国の専守防衛に多いに支障・不安があるのか? 自衛隊による国防に不安があるとすれば、3項がないからではなく、一回も実戦で弾を打ったことがないことだろう。
2.それでも3項を追加する目的は何か? 集団的自衛権にジワジワと広げることか? どうしても3項を入れたいなら、「個別的自衛権の発動を妨げない」に出来るのか? それは自民党は絶対考えないだろう。(まだそういう問いを野党もしていないが。)まずこの点が危険である。
3.「集団的」も入れるか以外にも、「自衛権」にはどこまで「先制的武力攻撃での自衛権発動」(相手が未だ攻撃してないのに先回りして自衛攻撃すること)が許容されるか?ちという重要問題もある。
●こういう問題を考えると、軽々に3条で「自衛権の行使を妨げない」と加筆することは、思わぬ方向への「野放図な拡大」のリスクを生むのである。そういうリスクには、3条がないことが歯止めであったのだ。
● なのに、自民党はなぜ敢えて3条を加えるのか? ー ここに安倍・自民党の、集団的自衛権を拡げ、実質的に2項の縛りを「理念」化し、そこから自由になりたいという危険な思惑がある事を見なければならないと思う。
●3項が「自衛権OK」だけなら「そだね」と思いつつある国民は、ここが考え処と思ってほしい。 Nat