♪♪ NATの独り言 (心・ジャズ)

生きていく上で信じてること。大好きなジャズのこと等

2018年02月

憲法9条3項:「自衛権OK」ーこれ一見尤もに聞こえる??

★憲法9条の改正問題。

● これまで私は、安倍案の「2項(戦力不保持・交戦権非行使)」を維持したまま、「自衛隊はOKとの3項」を加筆することに徹底反対してきた。

● しかし、ここにきて、自民党内で、2項は維持、その上で3項で、「自衛隊OK」ではなく「自衛権の行使は妨げない」にする案が有力になり、石破氏もこれを容認する動きが出てきた。これで、国会では、恐らく、この改正案が通るだろう。そして、この案なら、国民投票でも反対は少なく、可決される公算が高まってきたのではと思う。
 
● という局面だから、私は敢えて問う。論理的な面だけ見ると、この案には相当の合理性がある。だから国民の多くは、これなら「そだね」と思うだろう。しかし:
(1)3項がなくても、そもそも国連憲章51条で加盟国の自衛権は明確に認められている。
(2)しかも国連憲章51条では、「個別的または集団的自衛権」として、「集団的自衛権」も認めている。しかし、我が国は、憲法9条1項2項で自衛権にも強い制約がかかっているとの解釈で、「集団的自衛権は憲法上難しい」という立場をとってきた。(近年の新安保法で、それが崩れてきているとの懸念が生じている訳である。)

● 斯かる現状の中で、敢えて、敢えて、3項を追記する自民党の狙いは何か?ー が鋭く問われていると思う。
1.3項なしの現在は、自衛隊による我が国の専守防衛に多いに支障・不安があるのか? 自衛隊による国防に不安があるとすれば、3項がないからではなく、一回も実戦で弾を打ったことがないことだろう。
2.それでも3項を追加する目的は何か? 集団的自衛権にジワジワと広げることか? どうしても3項を入れたいなら、「個別的自衛権の発動を妨げない」に出来るのか? それは自民党は絶対考えないだろう。(まだそういう問いを野党もしていないが。)まずこの点が危険である。
3.「集団的」も入れるか以外にも、「自衛権」にはどこまで「先制的武力攻撃での自衛権発動」(相手が未だ攻撃してないのに先回りして自衛攻撃すること)が許容されるか?ちという重要問題もある。

●こういう問題を考えると、軽々に3条で「自衛権の行使を妨げない」と加筆することは、思わぬ方向への「野放図な拡大」のリスクを生むのである。そういうリスクには、3条がないことが歯止めであったのだ。

● なのに、自民党はなぜ敢えて3条を加えるのか? ー ここに安倍・自民党の、集団的自衛権を拡げ、実質的に2項の縛りを「理念」化し、そこから自由になりたいという危険な思惑がある事を見なければならないと思う。

●3項が「自衛権OK」だけなら「そだね」と思いつつある国民は、ここが考え処と思ってほしい。                             Nat

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安倍政権の姑息な「働き方改革法案」

安倍政権の「働き方改革法案」が難航中。厚労省のお粗末が足を引っ張るのには安倍首相も業を煮やしているだろうが、安倍政権自身に理念も信念もないことが本質的な敗因のように思う。

安倍政権は成長戦略と受け狙いの両方で、当初から「働き方の改革」のアドバルーンを上げてきた。人口減少時代にあって女性の働き易さを向上するといった話だ。その頃から、私は「歯が浮く」気分ではあったが、法案の具体化のこの局面になると、一層、理念・信念が遠のき、要するに以下のように、ただただ「受け狙い」と「支持団体との取引」に堕してしまっているように見える。

(1)電通の過労死事件などで、過労対策を打ちださないと国民受けできない世相の中で、兎に角、時間外労働の規制は法案に入れた。

(2)しかしそういう規制だけでは、自民党の応援団の中小商工系団体が難色を示すので、一見、企業経営の近代化にも見える①「高度プロフェッショナル制度」(労働時間を売るのでないプロ対応)の導入と、②「裁量労働制の対象拡大」(実際の労働時間に拘わらず見做し労働時間で報酬を決める、そういう職種の拡大)の二つを入れて、残業時間規制に難色を示す中小商工と取引しようとした。つまり、中小商工は、もとから、実際の長時間労働にも拘わらず少な目の労働時間と見做すことで人件費の抑制を図ってきたが、それを、安倍法案のプロ制度導入と裁量労働制拡大で、より正々堂々とやれるという訳だ。

● 斯かる姑息な法案だから、当然野党は噛みついてくる。そこを、安倍政権は厚労省のお粗末データで野党を押し切ろうとするから墓穴を掘った。

● 日本が今、実現すべき働き方改革は以下だ。

(1)安倍法案の3つ目の軸である「非正規」を「正規」に近づけることではなく、戦後の終身雇用制が今や行き詰まり、会社と「正規」の関係が動脈硬化になっているのを打破することだ。「正規」の人の中にはポジション守るためとか、残業代稼ぐ等にのみダラダラと残業する人も多い。それでいて本当に必須な場合でも会社側は解雇不能。そしてその分、シワ寄せを受けているのが非正規なのだ。即ち、日本経済の根本問題は「非正規」にあるのではなく、「正規」の方にあるのだ。この改革なしに、小手先で残業規制とか、非正規との格差問題をいじっても「対症療法」にしかならない。

(2)そして、あと二つ:①最低賃金の大幅引き上げ(それで非正規等の生活を守る)、②解雇規制緩和の見返り、失業ネットワークの充実と再雇用・転業の為の訓練制度の充実。以上だ。

● そういう本当に大事なことは、安倍自民も、また労組配慮の民主などの野党も取り組まない。彼らが取り組むのは、姑息な対症療法法案と、それへの難癖反対運動だけだ。・・・日本は、ここでも迷走中だ。    Nat

福島原発の汚染水問題ー先送りしてたら、永遠の先送りに

★今朝の日経に「福島1:汚染処理水ー迫る決断の時」なる記事が出ていた。保管タンクの置き場がそろそろなくなるのだが、全く決断も判断もないまま今に至っている。そこで、時々日経など報道機関が思い出したように「迫る決断の時」等と言うのだが、政府も東電も何もしないままである。

● 汚染水は、ALPSという通常の核物質を除去する装置で処理してきているが、三重水素(トリチウム;T)だけが除去出来ないので、「トリチウム水」(「T水」)と言われるものになって増え続け、貯蔵され続けているものだ。
● Tの出す放射線は極めて微弱であり、希釈されたTは、そもそも全国の稼働中の原発で、これまでも今も海洋水中に放出してきている。という位だから、そもそもT水は実質安全であるという意見が主流だが、「実は未だ不明の点もあるが・・」などの安全性論は、この記事の本旨には関係ないので、読者の皆さんも、その筋のコメントはご遠慮願えれば有難い。
● という具合に、 T水処理の本質的大問題は、科学には無関係に、風評も含めた住民不安などの「政治的問題」である。米国のTMI事故でも、少量のT水が出たが、放出への住民不安から、河川放出を諦め、大気放出処理をした。
● 日本政府の対応を調べると、2013年9月、12月に対策本部が「汚染水問題基本方針」を策定しているが、それ以降、殆ど進歩していない。T水については、その時点で思い切って海洋放出を即決定する道もあったろうが、完全に「判断の先送り」をした。その理由は書いてないが、(1)圧倒的に住民への政治配慮。そして、恐らくもう一つは、(2)地下水止水対策も今後の課題であったので、「どれ位のT水が発生するのか分からん」という先送りの言い訳があったから、「問題の先送り」で逃げたのだろう。
● 形式的には「T水は、T/Fで処理法検討する」とされた。それで出来たT/Fは、海洋放出以外に、地下・地層への処分、大気への放出法があることを整理し、最後には2016年6月に各方法の比較表を作って終わっている。
● 政府の原発事故の対策本部も、最後には17年8月に会議しているが、T水問題は、皆、嫌なので、会議でも全く議題にもされていない。
● そこでもう置き場がなくなる、お尻に火がついてきたが、だからと言って、今さら「やっぱり安全だから、海洋放出しましょう。元からそうしていたら良かった・・」は、政治的には選択肢たり得ない。かと言って、大気放出もこれだけの大量になると技術的にも難しい。
● よって、無理に置き場を拡げつつ、保管タンクを5年おき位に新品に取り換えながら、国民が呆れるか、忘れるくらいの長期間、ただただ保管し続けて置くしかなかろう。(Tの半減期は12年だが、風評、政治問題と半減期は関係ない。一旦、こういう政治問題になると、ほぼ永遠の問題になる。)

つまり「ちょっと先送り」したつもりが、「永遠の先送り」になってしまうという話。・・・これがT水問題の本質だろう。   Nat

名護市選挙の結果ー我々は何を思うべきか?

★沖縄名護市の市長選挙。4日の選挙で自公維推薦の渡具知氏が勝利してから5日経った。

● 渡具知氏の勝利の要因は、既に4日にここに書いた通り、誰が見ても明らか:
(1)そもそも沖縄の人にも「基地反対疲れ;”どうせ出来てしまう”との諦め感」があった中、「基地はなるようにしかならない。そろそろ生活・経済を」との渡具知氏の呼びかけは当然多くの人を惹きつけた。
(2)そして渡具知氏陣営は、今回は公明党も含め、自公の組織を上げた運動、そして必勝のプロの選挙戦略・戦術。一方の稲嶺氏陣営は超ナイーブの「基地絶対阻止」だけ。
だから、戦う前から勝負あったのだろう。

● これで、沖縄基地問題は勝負あり。翁長知事を筆頭とする「辺野古移転絶対阻止、基地撤去」はもう後退していくのみだろう。

● という今だから、その分もっと、我々日本国民は、沖縄の人たちの「心」を理解する必要があると思う。今回の選挙でも、基地問題を出口調査で聞かれると避けて逃げ去る人が多く、また、当日の投票のプレシャーを避けるため、44%もの人が避けるように期前投票、その多くが基地問題のことはもう聞かれたくないという人が多かったという。

● 沖縄の人は、ずっと基地と共に生きてきたというか、ネット右翼が「基地のたかり」と揶揄するように、基地で生きてきた面も強い。それでも尚、普天間の移転先が県外でなく辺野古であるという事実には、本当は絶対阻止くらい言いたい。しかし基地依存経済という現実もある。沖縄県民が反対しても、本土と米国で決めてしまい、所詮、押し切られる。 ーーー 沖縄の人々には、そういう悲しい諦めがあるのである。今回、渡具知氏に投票した多くの名護市民の投票の裏に、そういう悲しい思いがしみ込んでいるのである。

● 本土の自民政権は、早速、名護市にお金を上げると反応している。しかし、沖縄の人の「悲しい諦め」は、そうやってずっとお金で懐柔されてきたことに対する屈折した思いでもある。

● 安倍首相は、2日にいみじくも言い放った。「基地が本土に移設出来ないのは、本土の政治的了解が得られないから」。

● 私は一時、仕事で随分沖縄に出入りし、歴史を改めて知った。平和的な琉球民族は、薩摩に征服され、太平洋戦争では本土の盾となり米軍の犠牲になり、戦後、米国支配下・基地化、本土返還後も、日本の米軍基地の7割以上を集中して引き受けている。そして確かに自ら卑屈にもなる通り、経済の基地依存度も高い。

● だから、今回の選挙のように「悲しい諦め感」で生きるしかない人たちである。本土の為政者は、ただただお金でそれに応えるのみならず、沖縄県民が「我々の悲しい諦めを理解してくれたのか!」と分かる施策をしてほしい。私はそう願う。       Nat

安倍首相の憲法9条「3項加筆」案の危険性

★安倍首相の「憲法92項を維持したまま、3項に自衛隊はOKと入れる」案。それに対し、様々な意見が呈されている。

・ 前に書いた通り、そもそも憲法とは何であるべきか?とか、国連憲章等国際法と憲法の関係上は云々とか、難しい議論もあるが、もっとシンプルに安倍案に対し、一国民として反応しておきたい。

2項で「戦力不保持、交戦権認めない」とあるのに、安倍案は3項で「しかし、自衛隊を持つのを妨げない」とするものだろう。これは良く解釈すると「自衛隊は2項と矛盾しない」ともとれなくないが、「2項にも拘わらず、自衛隊は2項の制限の外、2項の例外、とにかくOK」という意味にもなり得る。

・ そういう3項が加筆されると、もう今後自衛隊がどう拡大されようが、集団的自衛権等も広がろうが、「2項に違反してないか?!」といってチェックし、歯止めをかけられなくなる。とにかく「例外」としてOKしちゃうんだから。

・ 安倍は「いえいえ、3項には、自衛上の最低限の実力組織としての自衛隊とか書き込むから大丈夫」等というかも知れないが、「最低限」というのを誰かどういう基準で判断するのか? 自衛隊への憲法上の最大の制限・歯止めは92項なのだ。それなのに、それからの「例外でお墨付き」宣言してしまったら、少なくとも憲法上は、自衛隊は制限・歯止めなき存在になってしまう恐れがある。

・つまり、自衛隊は憲法が制約を課す国の組織の一つとして、いわば憲法の「下に」位置づけられるべきものである。それでこそ、憲法92項の平和の制約の下、純粋自衛と災害対応に徹した部隊として国民に支持される存在であり続けられる。

・それなのに、憲法より「下位の存在」を、“憲法違反とか、ごちゃごちゃ言われやすい”等として、いわば「私生児」的な卑屈感をもって受け止めるのは、やはり安倍氏らが、自衛隊を憲法92項の「縛り」からもう少し自由にしたいという思惑を持っているからだ。だから、まず憲法の「下位」の存在から、なんとか憲法の「中」にまで引き上げる、あるいは92項の「例外」として、せめて憲法の「横」の地位に置きたいのだ。その思惑に対しては、私は強い警戒心をもって臨みたい。     Nat


※加筆: 更に言うと、自民党の他の人の意見では、2項を削除して、自衛隊のことを新しい項でうたうというものだが、そちらの方は狙いを正直に言ってい
る。しかし安倍案は、2項を残し、国民をまずは安心させた上で、3項で、2項が実質無視される形で自衛隊のことを書く、という一種の詐欺的なアプローチに近い。強く警戒すべきだ。 Nat

 

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