★今朝の日経社説が、また経産省の今般の「新エネルギー基本計画」が、2014年計画の ”そらぞらしい” 部分を放置したままで全く踏み込み不足と論じている。勿論、その通りであるが、では、なぜ、政府は本気の長期エネ計画を出さないのか?ーこの本質に迫らず、社説に批判だけ書いていても、新聞の読者が「ああそうなのか」と思うだけで、何の意味もない。
● 何度も書いている通りだが、自公政権も経産省など政府機関も、現在の「2030年に新エネ2割、原発2割、残り6割がガス・石炭火力」という「虚構の計画」を掲げる以外に何もしないのは:
(1)本気の計画を出しても特に国民受けしない割には、本気の計画を出すには「原発が計画に達さない場合」の議論とか、「太陽・風力は実際には難しい」とか、ありとあらゆる「パンドラの箱」を開けて政治的に揉める覚悟が要ること、そして、もう一つ
(2)エネ・ミックスはそういう政治の ”結果”として ”消去法”で決まってくること、最後の ”消去法” として石炭火力の増設と言う手が温存され、隠されていること、以上を政府として良く良く分かっているからであろう。
● 以下の経産省資源エネ庁のサイトを見てみるといい。いかに「最後は石炭」との本音がにじみ出ているか。(資源エネ庁記事)
● 原発は稼働中・稼働したいと思っている39機で3800万KWあるが、これの大半が結局ダメな場合の穴埋めはある。温暖化問題の少ないLNG火力の増・新設計画が20機1300万KW。そして「隠れエネ源」として温存している石炭火力の増・新設計画が30機1700万KWある。
● 石炭は、先進国では温暖化問題から「お薦め」されてないが、世界的には先進国でもフランス以外は皆、現状で石炭火力3~4割だし、今後、増やさないまでも、石炭依存は世界的に当たり前である。ということから、経産省としては最後は「日本は特殊で、石炭(新・増設も)必須」で世界を押し切る腹だろう。(注:エネ効率の非常に高いハイテック石炭火力を全面に押し出す。そして、どこまで出来るかは別だが、炭酸ガス回収・固定化努力も併せ技とする。)
● だから、今、政府に「本気の長期エネ計画を」と迫る日経社説は紙面の無駄というものであろう。
Nat