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ここで何度か書いてきたが、安倍政権は長期エネルギー政策を完全にパスしている。本当に日本が直面している問題は、実際には再生エネも原子力も難しい中、何で我が国のエネルギーを賄うのかだ。しかし、安倍政権はこの問題を完全に避けて、今も2030年に再生エネ2割、原発2割、残りを石油・石炭・LNGの火力でという、欺瞞でしかない「長期計画」を掲げ続けている。
● しかし、それがそのまま放置されている真の原因は、(1)安倍政権の欺瞞のエネ政策への、意味ある代案が、野党からも提案されていないということ、更には、(2)国民が「エネは何とかなるのでは?」と楽観的に思っていることにあると思う。
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小沢自由党の講演会に小泉元首相が呼ばれて「原発ゼロ」で盛り上がったらしい。そして国民レベルでも、ナイーブに、「原発はもう絶対イヤダ。今、原発ほとんど無しで国の電力は回っている。これからは太陽・風力・バイオなどを伸ばせば、石炭など無しでもやっていけそう。」といった期待感が満ち満ちている。ということで、国民は「エネは太陽などで何とかなる」と期待しており、与党も野党も、そういう甘い国民の雰囲気に乗っかり、実質、エネ問題は選挙の票にならないからパス。誰も真剣に取り組むことを避けまくっているというのが我が国の実情であろう。
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国民も政治家も皆、都合よく期待している太陽・風等の再生エネが2016年資源エネ庁統計では7%に過ぎず、石油40%、石炭25%、LNG24 %、以上3つの計で89%、そして、小泉さんがゼロと主張している原発は確かに既に0.8%でしかない。この現実を定量的にも理解している国民も政治家も少ない。
● そして、更にいうと、皆の好きな太陽・風は、日本では民主党政権時代のバカ高の買取政策が尾を引き、世界の3倍くらい高いコストで推移している。しかも、太陽・風への依存度を無理に上げるのは、送電問題、蓄電池問題などあり、更に電力コストが高くなる話ばかりだ。バイオなんてのは話は美しいが、例えば木材(セルロース)を自動車・航空機燃料にすると、石油系燃料の何倍のコストになるか考えるとぞっとする。その辺を「技術革新」で解決できると信じるのは、人の勝手だが、将来の何時のころのFSの話をしているのか、信じている本人も分かっていない。
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ということで、大問題は、再生エネを本気で増やすと庶民の電力代金が跳ね上がるといった「不都合な現実」を、野党も言わない、誰も言わないことだ。だから国民全体が幻想の期待の中でノホホンと暮らしているのである。
● 私はここで、結局は日本は消去法の結果論で、ハイテック石炭火力を例外的に認めてもらう路線になるしかないのではないかという「現実」を述べてきた。 (5月30日の本ブログご参照。) そういう本音の議論をする人が非常に少ない。しかし、このままいくと、エネルギーは、確実に庶民の生活をヒットする。皆、どうするつもりか?! Nat