● 消費増税時の、安倍政権のバラマキ施策であるポイント還元策に絡めて、政府が店への手数料の上限を3.25%に抑えようとして問題になっていた件。結局、還元期間だけの期間限定の上限設定という妥協で纏まりそうである。
● しかしだね、ここで今日言いたい点は、その点ではなく、日経新聞などが「手数料が高い店があること」の本質を完全にミスって一面トップ記事を書いていると思われ、その呆れたお粗末さについてである。
● クレジットカード会社が店にチャージする手数料は、業種・店の会社により差が大きく、例としては: 水商売:10〜20%、飲食店:3〜5%、量販店・百貨店:1〜2%、と言われている。この差の理由として今朝の日経は『確かに信用力の低い加盟店には5%を超える高い手数料を設定しているもののの、これは代金の回収が遅れたりするリスクを勘案しただけだ。』と書いている!!
● これは全く違う。カードで払った個人のお客から代金を後で回収するのは、お店ではなく、カード会社側である。そしてカード会社の回収リスクは、個々のカードユーザー個人の支払い能力の問題であって、個々の店の属性とは殆ど関係ない。(注:例えば水商売でクレジットカード払いする客の属性からしてその支払い能力は低め、、という業界と客の信用度の若干の相関関係はある。しかし、水商売の客の信用リスクが百貨店の客の20倍も高いというまでの差はない。しかし、日経記者はその点を書いているのではなく、カード会社がお店から資金回収するイメージで書いてしまっているのではと、私は推察するのだ。)
● では、なぜ手数料料率にこんなに差があるのか?? 例えば家電量販店では結構な金額の支払いをカードでする人が多く、また店当たりの一日の売上絶対額が巨額だから、カード会社の「対応コスト」vs 「扱い金額」の効率が非常に高く、カード会社にとり超オイシイ先なのである。だから、各カード会社が必死に競争して入ろうとし手数料は最低レベルの1%位になる。
●一方、水商売とかでは、客の現金支払い多く、カード払いは時々だし、金額絶対額も量販店の比でない。カード会社にとって対応するのが面倒なだけの、ご遠慮願いたい対応先なのである。だから、20%などの法外なチャージをカード会社が店からぼったくりしているものだ。・・・だから、これをアンマリということで今般政府が上限設定しようとしたものだ。つまり、全国の零細水商売などがカード会社に手数料を絞り取られ、その分、カード会社の量販店などへの手数料値引きの原資にされているということなのだ。
● これがカード手数料の本質である。日経は恐らく誤解している。誤解しないで、敢えて、何らかの思惑から、意図的に偽りのリスク論で書いているなら、もっと悪質である。 Nat
★追記:
更に書くと: 安倍自民政権が、この機会に何故、カード手数料に上限を設けようとしたのか? それは、特に地方の零細商業者という安倍自民の票田への人気取り政策である。カード会社は大手資本。大手資本は、経済合理性という資本主義の原理を徹底的に行使し、巨大リテール資本には格安手数料で媚び、地方の零細商業者からは徹底収奪する。しかし政治は選挙の票数だから、自民は零細商工業者を守る政治をし、野党は労組受けを狙う。零細業者へのカード手数料の行き過ぎは、むしろ、やるなら、支配的地位の濫用による公取法で是正すべきで、安倍自民のように、国家統制的に行うのは邪道である。ーー日経は、そういう本質論を書くべきなのに、入り口でつまづいている。