★ Facebookなどが進めようとしている、新しいデジタル通貨のリブラ。
● G20で先進国首脳が、今のままのリブラは「不正対策などをしない限り発行を認めない」と一致して確認した。
● 確かに、先進各国、仮想通貨に関しては、概ね各国とも発行への「法的規制手段」を持つに至っており、日本も新しい発行業者は登録して受理される必要がある。よって、法的には一定の「阻止手段」を、各国政府が有していなくはない。
● しかし、今ひとつスッキリしないのは、ビットコインに始まる、極端な投棄の対象にもなり、社会的な問題も生んだ、これまでの仮想通貨発行業者には、結局、さほどガチガチに規制することまでしなかったし、G20でも犯罪防止の話し合いはしてきたが、リブラにはG20で「認めない」とまで真っ向から「阻止」を打ち出していることだ。
● G20が、なぜ、ここまで「阻止」路線を出しているかというと、
(1)リブラは米ドルなどの国際通貨資産で裏付けをもった初のデジタル通貨であるので、既に「仮想」を越え、米ドルなどの実際の通貨と同等の「通貨としての利用価値・資産価値」を持つ一方、インタネットがあっという間に世界中に広がったごとく、世界中にあっという間に実用通貨として広がる巨大な可能性を持っている一方、
(2)各国の財政当局、各国の銀行システムの全く手の届かないものになるからだ。
● つまり、ビットコインなどは、所詮「投機の対象の世のあだ花」であったので、犯罪さえ予防出来る規制を入れたら、あとは、国家も銀行システムも、動揺することなく見てられたのである。しかし、リブラは、遂に国家も銀行システムにも依存しない、革新的な新通貨の世界を形成する大きなポテンシャルがある、だからこそ、国家も銀行システムも強い危機感を抱いたのである。各国の通貨発行量(マネーサプライ)の管理一つとっても、リブラの管理組織に政府がガチガチに入りこまない限り、全く無管理状態になってしまう。経済の制御権を失う。だから政府の危機感は強い。
● しかし、私はここでそれに一定以上の警戒心を抱く:
イ) リブラが実用に入ると、世界中の一般ユーザーは個人・企業ともに、これまでの国家管理・銀行の儲け対象であった通貨取引から「解放」され、かなり便利で低コストの通貨取引の可能な、新人類時代に突入し得る。銀行口座が持てない人達、途上国で国家発行の通貨は無意味な国家の国民、また銀行システム経由の外国為替という超非近代的仕組みにイライラしてきた全世界の企業ユーザー。皆が新時代を享受できる。つまり、石器時代的通貨制度から、誰でも使えるデジタル通貨時代への飛躍的な人類進化が実現するポテンシャルがあるのだ。
⇒ しかし、それを先進国の財務当局や銀行業界が阻止せんとするとき、犯罪防止や経済制御を表面的理由にし、実は、自分たちの単なる保身、利権死守の為に阻止している面が、かなりないだろうか??・・・これが私の疑問だ。
ロ)あるいは、中国が何故、リブラに反対しているかというと、これから世界を席巻し得るリブラの裏付け通貨として米ドル、ユーロ、日本円までで、中国人民元が入りそうもない、という、全くの自国エゴ理由からだ。これが象徴的なように、リブラが本当に広がりそうであればあるほど、エゴ的思惑が皆を支配する。
ハ)各国の規制当局は、日本の金融庁を含めて、ビットコインなどの発行者を登録しておいて、それよりも、はるかに、本格的なデジタル通貨となり得るリブラを、眼の敵にして登録を受理しない、というのは、行政のフェアネスから本当に適当なのであろうか。
● 以上の疑問を禁じ得ない。しかし、今のところ、大新聞などの報道は、下手にFacebookなどの肩をもって、「反乱軍」の一味扱いされるのを避けているようだ。しかし、もっと、冷静に①世界の革命のポテンシャルと、②犯罪の懸念、経済制御との両立を、総合的に論じるべきであろう。 Nat