★★今朝、大晦日の日経が、日本の失われた30年間を嘆く社説を書いていた。日本の停滞を株価推移で見ての話しだ。
● 私として、これをそそくさと確認してみると:
(1) 世界金融危機で株価が暴落した1990年と2019年で比較すると:
・日経株価 23,848円 ⇒ 23,294円; 0.98倍
・米国ダウ 2,634ドル ⇒ 28,651ドル: 10.9 倍
・・・これが日経の嘆く「米国株価は30年で10倍だが、日本は横ばい」の根拠である。
(2) しかし、それぞれ物価上昇率も根拠すべきだろう。
・日本CPI 91 ⇒ 102 ; 1.12倍
・米国CPI 131 ⇒ 256; 1.95倍
日本は経済の体温が下がったキリで長期デフレ、米国は普通に緩やかなインフレ、、これだけでも、嘆きの材料にはなるが、ここでは、上記(1)の株価上昇倍率を物価上昇分補正してみよう。 すると、物価補正後では、日本株価は30年で実質0.88倍に、米国株価は5.6倍になっていることになる。
(3) 株価収益率(PER)と日経・ダウの会社数が30年間で大きく変わっていないと想定すると、この(2)の実質株価の差は、日本と米国の企業全体が上げた利益の総額の伸び比率の対比にかなり近いだろう。つまり、かなりアバウトだが、米国全体の企業利益の伸びと、日本の企業利益の伸びの差は6倍くらいも米国が大きいことになる。
(4) そこで、次に30年の人口推移を見る。 日本は1.02倍で横這い。米国は1.31倍。上記の利益の伸びをこれで補正すると、国民一人あたりの企業利益の伸び率が日本を0.86倍とすると、米国では4.3倍になっている計算だ。
● 上記の暗算から分かるのは、30年で、日本の経済界の産む毎年の利益が、国民一人あたりでは減少している一方、米国では4倍くらいに増えているということだ。勿論、分配の偏り問題はあるが、分配前のパイが、米国では4倍にも増えているのに、日本では委縮してきていることになる。
● 日本は経済の体温が下がり、利益もジリ貧、人口も少子・高齢化で、元気のない貧しい国にジリジリなってきているということだろう。
● 日経も言うとおり、日本でも成長ビジネスに人・資本が流れるべく、企業間の人材・資本の流動化、企業の新陳代謝が大きく進むようにしなければならない。その為には、この際、国家・政府主導でもいいから、大きな規制緩和、人・資本の流動化や再編を阻害する要因を大胆に除去するための施策(あっと驚くくらいの促進税制や補助金等)をしないと、もう間に合わない。
● しかし、与党も野党も、超保守化し、超守りの政治しかしない。ジリ貧で沈み行く船を守るだけどうする!? 新年にあたり、おおいにモノ申しておきたい。まさに憂国憂国だ。 Nat