★★菅首相の就任演説。2050年の温室ガス排出ゼロ宣言、かなり驚いた。
●所詮、自民党総裁任期の意味でも、次期衆議院選挙の意味でも「あと1年」の短期政権だし、高邁なビジョンは苦手な菅氏だから、判子廃止、不妊治療保険化、携帯電話料金下げ、といった、大衆受けのする超各論だけを掲げて、1年で成果を見せて人気を維持、「総裁・首相の継続」に持ち込む。この作戦は、よくよく分かった。
●しかし、そういう超各論の1億倍くらいインパクトのどでかい、「排出ガスゼロ」を「本気でやる」という、その手のアドバルーンまで上げると思わなかった。
●ここでは、詳しい論説は避けるが、温室ガス実質ゼロは、単純に「地球を守れ」みたいな層には受けるスローガンであるが、これまで経産省・多くの政治家が逃げてきたのは、これ本気で実現しようとすると、日本経済がひっくり返るくらい、負担が甚大だからである。
● 原発再稼働・新設を通そうとすると、今以上に安全・地元対策が必要で可成りの対策費が要る。石炭火力を許容する為の炭素回収・固定化も可成りの対策費が要る。太陽・風力も無理に伸ばすには、かなりの対策費が要る。
● 菅政権は、それが新しいビジネスを生む成長機会にもなる等と美しく言うが、とどのつまりは、日本の電力コストの急上昇になる。EUには、地場のライン・ガスがあり、仏の原発もあり、域内調達・融通があるが、日本はそれらが何もない。日本では、急上昇する電力コストで、産業の競争力が大きく阻害されるので、韓国みたいに、日本政府が、産業用の電力コストは大きく補助金出して下げるしかない。そうすると、国際的に政府補助による不当国際競争などという国際紛争も惹起する。庶民にも電気代がのしかかる。
●「本気の温暖化ガス実質ゼロ」は、国がひっくりかえるほどスゴいテーマである。それを菅政権が、十二分に熟慮し政治的根回しもする時間もなかったのに、ドーンとアドバルーン。
⇒ でも、アッハッハ!! 温暖化ガスゼロは後30年後のことだ。一方、菅政権は、取りあえずはあと一年以内の繋ぎ政権状態。だから、超長期テーマ関係では、何をアドバルーンで掲げようが、掲げてないのと全く同じなのだろう。それでいて、一部の人には受ける。だから、言った奴の勝ち!
・・・というだけのことなんだろうが、それにしても、はっきり言って驚いたわ・・。ホンマに。 Nat