★セブンイレブンがNTTから太陽エネ電力100%の供給を受ける20年の契約をしたとの報道。
●一昨年には、イオンが、自社設備に太陽光発電を設置してもらい新電力から供給受ける、いわゆるオンサイトPPAを手配した。今回のセブン/NTTのは、NTTがセブンのために別の場所に大型太陽光発電プラントを建て、セブンに供給する、いわゆるオフサイトPPAであるが、オンかオフサイトかは本質的差はなく、イオンに続き、一見、100%をグリーンな太陽発電で賄う体制を始めるように見えるものである。時流に乗り、いい恰好する典型である。
● しかし、毎度、ここに書いてきている通り、それは、半分は「虚構」、もう半分は、大きなリスクがあるのだ。
● そもそも太陽は昼にしか照らないし、長い梅雨だと3週間くらい晴れない時期もある。一義的にはNTTが太陽電力を蓄電して備えるのであろうが、それだけでは全く無理で、この種のPPAには、「常時バックアップ」と言われる、旧来の電力会社(東電など)から、いざというと電力供給を受けるアレンジが必須なのだ。
・旧電力が、NTT/セブンに常時バックアップを、一定の価格で20年提供できる約束をしていることは、先ずあり得ない。
・現在の政府の制度では、旧電力が常時バックアップを断らず高い値段をふっかけないようにとのガイダンスはあるが、今も、旧電力にそうする法的義務はない。
・しかも、政府方針は、卸売り市場を発達させ、将来は、PPAが旧電力からバックアップを受けなくても、自力で市場から調達できる体制を目指すという。
● 現実はどうだろう?
(1)常時バックアップが量的に限定されている今の段階だから、旧電力も、そこそこの価格でバックアップを約束させられて黙っている。しかし、そもそもPPAとは「いいとこ取り」の極致である。通常はグリーンな太陽電力でやっていることにして、長梅雨などでは突然、旧電力に、従来火力等をベースとする旧電力で補うことを約束させるものだ。そういうユーザーばかりになると、まず旧電力は、そういう約束が出来なくなる。曇り・雨が全国で続くと、全国のPPAが、みな旧電力に殺到する。もし、約束出来るとすれば、大変高額な約束料を払えるユーザーに対してのみとなる。・・・今回、NTTのセブンへの電気代は、従来のより少しだけ高いだけと書いてあるが、将来は、高価なバックアップが、高価な太陽電気に上乗せされ、ええ恰好したいだけの企業には、とても耐えられない総コストになるのは必須だ。
(2)では経産省の目論む、卸売り市場からのバックアップはどうか? 昨年12月の卸し市場の破綻から分かる通り、いざという時には全く当てにならない公算が高い。
● 以上で、いい恰好しのグリーン太陽PPAは、今のうちにのみ、成立したように見える「うたかた」のような虚構でしかないと私は考える。 日経などは、そういう本当のことは書かない。
Nat
※4月1日加筆: ★あと若干補足すると、私の自宅でも電気は、新電力の一種の東京ガスからのものだ。しかし、その中身は、東京ガスのLNG発電所の電気が主になっていて、基本的には安定供給体制である。止まるとしても、万が一の、LNG発電所の事故などのケースだろう。当然、東電からの常時バックアップ契約はしているだろうが、それは万一の「保険」みたいなもので、東電とのアレンジも無理なく出来る。しかしだ、NTTの太陽光発電は夜間は蓄電池で誤魔化すとしても、3週間とかの長い梅雨などでの長期的大幅電力ダウン、それが、全国の太陽光発電に一斉に起きる。そんなもんのバックアップは、保険でも何でもない。東電にとり、太陽光発電のバックアップは「ふざけるな!!」という代物なのである。

※4月1日加筆: ★あと若干補足すると、私の自宅でも電気は、新電力の一種の東京ガスからのものだ。しかし、その中身は、東京ガスのLNG発電所の電気が主になっていて、基本的には安定供給体制である。止まるとしても、万が一の、LNG発電所の事故などのケースだろう。当然、東電からの常時バックアップ契約はしているだろうが、それは万一の「保険」みたいなもので、東電とのアレンジも無理なく出来る。しかしだ、NTTの太陽光発電は夜間は蓄電池で誤魔化すとしても、3週間とかの長い梅雨などでの長期的大幅電力ダウン、それが、全国の太陽光発電に一斉に起きる。そんなもんのバックアップは、保険でも何でもない。東電にとり、太陽光発電のバックアップは「ふざけるな!!」という代物なのである。