★参議院選挙に向けての各党の政策の話で、前には原発政策のことを書いたが、今回は、国防・安保政策について、ひと言。
・・・着眼点は、いわゆる以前の日本の純粋専守防衛の「Passive defense」対 最近の「Active defense」が、各党でどうなっているかだ。
◆ その点に関する各党の政策:
(1)自民党: 「弾道ミサイル攻撃を含むわが国への武力攻撃に対する反撃能力を保有し、これらの攻撃を抑止し対処。」(注: この4月に、「敵のミサイル拠点などをたたく“敵基地攻撃能力” のことを、自民党としては、マイルドに聞こえるよう、「反撃能力」に言い換えることとした。)
(2)立憲民主党: 「弾道ミサイルへの抑止力を重視」(ただし、専守防衛との整合性)
(3)国民民主党: 「攻撃を受けた場合の“自衛のための打撃力(反撃力)を整備」
(4)日本維新: 「積極防衛能力を構築」
※公明党には、そもそも、政策に国防の項目が実質ないので省略。
※日本共産党: 「相手国に「敵基地攻撃能力」を使って攻め込み、「指揮統制機能等」という国家中枢まで攻撃するのでは、相手国の大規模な報復を呼び、全面戦争となり、日本に戦火を呼び込むことになります。ここに日本が直面する最大の現実的な危険があります。」
・・・ご覧の通り、温度差はあるが、そもそも世の中のミサイルが高度化し、日本から迎撃するのが難しくなっていた中での、ロシアのウクライナ侵略だ。だから、何と、共産党以外の全ての党が、既に、実質、Passive defense主義を非現実とし、Active defenseを追求しているのだ。国民民主に至っては「打撃力」という表現までしている。自民タカ派も、1年前であれば、「敵基地攻撃能力」等という話はしなかったであろう。
・・・自民、民主党系が揃って、Active defenseにシフトしている日本。ある意味で、理念・原理・イデオロギーではなく、全てのことをプラグマチックに考える日本人だから、当然ではあろう。そして、この時点では、具体的に、どこまでの「敵国への打撃力保有による抑制」を追及するか、良く審議して欲しい。
◆◆◆ しかし、日本人が理念・原理・イデオロギーに囚われないのであればあるほど、Active defenseを具体化していく今、私としては、憲法9条は、今のまま、どこかで暴走しないための「理念的歯止め」として維持することを唱えている。・・・この点、9条の実務的弊害はないにしろ、もう形骸化しているから、改憲しようという合理派の皆さんとは、アプローチが違ってくるが、私としては、それで進んでいこうと思う。
Nat 

