★今日の日経にもESG投資に関する4人の人のコメント記事あり。
・・・「ESG投資」という単語が、もう溢れて、やや食傷気味な気もする。皆さんも、それぞれ、色々思うところおありだろう。

◆◆ 「ESG投資をするべきか?」という問い:
・ 誰の立場で聞いている?で違ってくる。 個々人の投資家に聞いている? 投資ファンドに聞いている? 企業年金運用者に聞いている?
・また、「べき」って何? それは、「べき」の基準問題。ESG投資した方が結局は高いリターンが出ると信じるから「投資すべき」と言っているのか? それとも、リターンは別にして、社会運動として「そうすべき」と言っているのか?
・・・この辺がごっちゃごっちゃで議論されるから、もう面倒くさい。
◆◆ 更に、色々な用語が踊りヤヤコシイ。「インパクト投資」は、明らかにリターンではなく「社会を変革・改善するインパクト狙い」の “投資による社会運動”だろう。「サステーナブルファイナンス」も、どちらかというと、社会をサステーナブルに持っていくために、リターン追及中心のファイナンス行為を社会配慮行為と「両立」させようとするものだろう。
・・・しかし、「ESG投資」とだけ言うと分らん。人により「インパクト投資」をイメージしている人から、「結局、リターンが一番高くなる」という話を信じて、銭儲けの原理としてそうしようとする人まで、幅がある。
◆◆ ということで、私は、この件について、余り長々しく見解を述べようという強い意欲はない。よって、以下のクイックコメントに留める。何か、これに対して言いたい方は、コメント欄にどうぞ。
(1)ESG投資と言っても、最も消極的なNegative screening、つまり、反社的企業、環境破壊企業などには投資ししない、、、これは、多くの人がやってきているので、ESG投資の内数に入らないだろう。専らPositive screening、つまり、積極的にESG度合いの高い企業に投資するのが、ここで言う「ESG投資」。
(2)次に、ESG積極投資をすると、長期的には、そうでない投資よりリターンが高くなるはずとの仮説が問題になる。
・優良企業は結果的にESG配慮度合いが高いから、ESG積極投資すると、結果的に優良企業投資していることになり、リターンが高くなる、というのはあるだろうが、それなら最初から「優良企業投資」を目指せばいい。
・よってこの説の趣旨として、短期的にはESGのためにコストや投資負担が発生、財務リターンは抑制されるが、長期的にはそこがwinnerになるという信念があるか?だろう。それへの私のコメントは:
①長期のことゆえ、まだ統計的には全く検証できない。
②しかし、社会がESG原理を更に追及し、ESG追及企業が結果的にビジネス的に得する仕組みを増していくなら、結果的にはそうなる可能性ありかもと思う。ESGのうち、S(社会)、G(ガバナンス)は言わば当たり前のことだが、E(環境)の中でも特に「低炭素」に注目だろう。その「低炭素」だが、少なくとも短期的には企業にとり「“余計”なコストや投資負担」でしかない。しかし、将来もし高率の炭素税が広く拡がったら、早くから低炭素に投資していた企業が結果として儲かる、、とかいうことはある。・・・しかし、今は、まだ分からん。
(3)とすると、むしろ、インパクト投資的な主旨で、「リターンはさておき」「世直し一揆的に」企業にESG圧力をかける、そういう意味でのESG投資が、最後に問題になろう。
・・・これは、株主の一つの運動モードとしてはあり得る。しかし、ひたすらに財務リターンを重視する他株主との間で、コンフリクトがあり得る。そのコンフリクトの調整が問題。両派間の適切なる議論が先ずなされ、その後に多数決で方向が決まるならいい。
・・・また、企業年金の運用等においては、運用者が独善的に決めるのでは、年金の受益者である従業員は投資先を選べないのだから、その利益が歪む。だから、投資ポートフォリオ中のESG投資の割合などが、然るべき議論と多数決などのプロセスにより、慎重にバランス良く決められるものでないとイケないと思う。
・・・もうこの辺で終わりにする。このテーマは、これ以上、書く気力が湧かない。悪いけど。
Nat
