★昨日、東証の大納会。岸田首相が挨拶に来るのを、“落ち目・祟り目の首相” で縁起が悪いと揶揄する向きもあったようだ。一方、岸田首相は、来年こそ「貯蓄から投資へのシフト」の年などと言っていたみたいである。

・・・しかし、今朝の日経社説では、日本株は今や日本国内でも海外からも、誰も買ってくれない、魅力の乏しさがあると述べ、ROEを高める経営をやってほしい、総花的経営を脱し事業集中等でROE引き上げを、と書いている。
◆ まず、日本株に誰も期待しないのは、過去30年で欧米他国では株式相場が普通に数倍になっている処、日本株だけは株価がずっと低迷したままだからだ。
・・・2013年からのアベノミクスで、どん底からの回復は出来てきているようにも見えるが、それは ①日銀がひたすらに日本株を買い支えてきた人工的相場であり、また、②金融緩和での円安効果が暫くあったこと、③金融緩和の金余り、が背景であって、何も日本企業・産業が大きく改善した訳ではない。
◆ 日本企業・産業が根本的にダメな構造は、何度も言うとおり、日本企業の売上高付加値率が18%位と、例えばフランスの22%、韓国の製造業の25%(日本の製造業20%)等に比べて低いことにある。
・日本の一人あたりGDPが低いのも、これだ。
・しかしこれは一人あたりが生み出す製品・サービス(財)の「量」が、日本人の生産性が低くて少ないというものでもない。⇒ 生み出す財の「量」はそこそこだが、「財」のPricing、要は市場での値段付けが、日本では超・過当競争のため低く抑えられているものだ。
・GDPに対する輸出の貢献度は限られるので、過当競争は、専ら国内での潰し合いと思っていい。
・二つ目のチャート、前にも掲載したものだが、日本は中小・零細企業の数が異様に過剰であるが、日本では企業(会社)というものが、「利益のための道具」ではなく、「生きた人間の居るムラ」という文化があるから、ライバルに会社や事業を売ったり買ったりする事での
「産業集約」が全く進まず、多過ぎる会社同士で値引き競争で潰し合っているのだ。
⇒ だから、これまでも何度も、日本の産業は「産業内での横M&A」で企業集約する、政府は「横M&A」促進のための思い切った税制などを、と主張してきているが、日本文化的には「イヤがられる施策」なので、そういう政策を主張する政党はない。
◆ しかしもし本当に企業集約され、日本の異様な過当競争・値引きが改善され、財のPricingが「正常化」してくると、たとえ経済規模が横這いでも、そのPricingの改善だけでGDPも大きく伸びるし、企業の労働分配も利益も全て伸びるのだ。
・数字で言うと、今は売上100、仕入れ82、付加価値18。これが売上の量は同じでも、Pricing改善で10%価格改善できれば、まず売上110、仕入れは未だ変わらないと82、付加価値28になる。
・しかし、仕入れ先の企業もPricingを改善してくるだろうから、そのうち仕入れPricingも10%改善すると、究極的には付加価値は110-90=20に収束するが、付加価値18が20と1割向上する。GDPが1割向上するのだ。しかも量的拡大なしにだ。