★「農政の憲法」と言われる食料・農業・農村基本法の20年ぶりの見直し --- 昨日、農林水産相の諮問機関である食料・農業・農村政策審議会が開かれ、見直しの「中間とりまとめ」が報告された。
・・・世界的な食料安全保障問題への意識の高まりなどを背景にした見直しであるが、我々の基本的な「食」に関することであるにも拘らず、その内容、問題意識に関する報道・解説は非常に弱いと思う。・・・このままでは、結局、国民の分からぬまま、農林省・JAなどの既存農林勢力の思う方向に、日本の農政が進んでいくのではないか?と危惧される。
・・・・まず、中間とりまとめのサマリーの2枚のパワポ資料を添付する。
・・・・そしてこのパワポを見て、要約前の「中間とりまとめ」本文で内容チェックすべきと思ったものにつき、本文からの抜粋を、私の2枚の添付メモにコピーする。
◆ 私の問題意識:
・・・最初のあたりで「国民一人ひとりの食の確保」という観点が書かれており、従来の100%生産者観点でしかなかった日本の農政にも、ついに消費者観点のフレーズが入ったか、と思った次第であるが、最初に掲げる看板だけかもしれない。
・・・施策論議を見ていくと、私の二枚の本文抜粋メモを参照願いたいが:
(1)「生産資材価格の高騰」という項に、輸入化学肥料の価格高騰の問題が出てくるが、なんと、この「中間とりまとめ」全体で、日本の食料安保最大のアキレス腱である肥料問題がここ以外に出て来ないのだ!! つまり、肥料がほぼ全量輸入で、しかも中国依存度が高い・・・という問題、即ち、いざ有事には中国に肥料を止められ、日本国内で幾ら農業継続しようとしてもそれが不能になるという最大の安保問題が議論されていないのだ。
・・・「国内資源の有効活用や備蓄の活用」の一言で終わり。
・・・ この一点だけでも、今回の中間とりまとめは、欠陥商品であると思う。
(2) 零細農家の個人経営から法人化という話があるが、書かれていることを読むと、どうも「大企業法人の参入も多いに促して・・・」などという雰囲気は(予想通りだが)なく、二枚目の段落の最後にあるとおり「集落営農組織の法人化を進める」とあり、結局、ヨソモノの企業を排斥し、地元のJA等が組織する営農組織なるものを寡占的に強化する構想かのようにも見える。
(3) 最後の食料自給率論は、恐らく、多くの利害関係者委員は「食料自給、国内生産の強化、その為の保護行政の拡充」みたいなことを言いたいのだろうが、他方、割り切った「輸入依存でもいいではないか?」論(そもそも小麦・大豆などは米・加・豪という同盟国からである)もあったのだろうか? どっちともつかぬ言い方をして逃げている。今年後半に決まる最終案では国産主体・保護行政充実が表面化するのではないだろうか???