★厚労省が、6月23日に各都道府県に、わざわざ、「公衆浴場の男女区別は身体的特徴で」「体は男性、心は女性の者が女湯に入らないように」との通達を出している。(コピー添付)・・・そして、それを今日あたりに報道が採り上げている。
◆ なぜ今こういう通達か、というと、勿論、先般可決されたLGBT理解法案の審議過程で、特に自民議員から「体は男なのに心は女と自認すると女風呂に入れるのか?」等の声が上がったからだ。
(1) 今回のLGBT理解法案よりとっくの前から、LGBT配慮の動きはあり、公衆浴場における男女判定問題は前から論点としてあったのだ。そして、前から厚労省は実質的に「身体的性徴で区別」との指導を出し、地方の条例などで、それを既に反映してきたのだ。
(2) そして、今回のLGBT法案の何処を見ても、「体が男の人が女自認と言って、それで女風呂に入れないと差別になる可能性ある」と読める条項はない。⇒ だのに、そういう議論をしてきた自民議員は、そもそも法案全体が嫌いなのであって、そのため、言いがかりをつけただけである。しかし、野党もこの法案では大人対応をし、「不当な差別をしない」「全ての国民が安心して生活できるよう留意する」との加筆修正入れて、法案を可決させた。
・・・実に低レベルの法律作りであった。
◆ 上記の一部の自民議員の場違いな言いがかりは論外だが、既に以前から厚労省・地方条例レベルでル―ル化している「公衆浴場では身体的性徴で男女区別する」ということだけでは、運営上まだまだ問題がある。現場的にはその点のほうが問題なのだ。
・・・どういうことか?というとだね:
(1) 既にLGBTで自分の体に違和感のある人は、性転換手術を受ける時代だ。戸籍上は男でも、心が女だと、男性器を切除手術する、ホルモンで胸を膨らませる。・・・しかし、生まれつきの女性のようにはなかなかならない。だから、身体的性徴で見ると、疑わしい事例が結構あるのだ。・・・そういう場合、その人も無理に強引に女湯に入る主張はしないことが多いらしいが、そういう人の「身体的性徴」からの男女判定は、公衆浴場の管理者にとって難しい問題なのだ。プライバシーとの関係で、管理者にどこまで体をチェックする権限があるか?ということもある。
(2) そこで、ここは、身体的性徴ではなく、戸籍上の男女で入れる風呂を決めるべきとの割り切り意見もあるのだ。
・・・その場合、戸籍コピーを提示して判定してもらうので、公衆浴場管理者とその顧客の間で身体チェックで揉めたりはしない。しかし、戸籍では女だが、性転換でもう男にしか見えなくなった人が、女風呂に入るのは、どうだろう?? 問題ありだよね。
(3) だから、前に書いた通り、究極的には、この問題は、トイレ同様、「ジェンダーフリー風呂」(どんな性でも互いに気にせず誰でも入れる三つ目の風呂)を設けるしかないのだ。
・・・というのが、本件の全体像である。しかし、低レベルの自民議員は、今回のLGBT理解法案へのイチャモンで、低レベルの議論をふっかけたのである。それに今、厚労省がしょうがないから、わざわざ通達を出し直している。