【身売りされる西武百貨店の労組のスト - 無理筋のアクションだろう ―その ③ 】

・・・今日、予定通り、労組は一日ストとデモをやった。会社は明日9月1日の売却事項を最終決定した。
◆ 聞いていると、私も最初は最低同情はしていたのが、労組の言うことを聞いていると、段々、労組の「いいとこ取り」の超身勝手な主張に、憤りすら感じるようになった。
(1) 「池袋西武店を守りたい」:
① 労組の本心は「自分らの雇用の地位の ”特権” を守りたい」でしかないのを、池袋を歩いている市民の「池袋西武店」を懐かしむ気持ちがありそうなのに訴えて表面を繕う、その労組の「さもしさ」が悲しい。
② 労組の意味するところは「自分らがずっと仕事してきた、あの従来の池袋西武店を永遠に続けたい」だろうが、もうその結果、会社には毎年巨額の損失を生じているのだ。だから、会社としては、もう「ちょっと違う新しい池袋西武店にするしかない」「それによってしか西武池袋店は守れない」と言っているのだ。
・・・それに対して労組の意味していることは「従来のやり方を変えず、店を守ろう。その為には会社は永遠に大赤字を負担し続けるべきだ!」と言っているのと同じことになる。
・・・労組は、自分が実質言っていることが分かっているのか???
(2) 労組は経営者責任を持つのか?
①ドイツで、一時、経営ガバナンス体制の一角に労組が入る仕組みを追求したことがあるが、なかなか上手く行かず、可成り修正されてきていると理解する。世界の資本主義の経済で、一般に、労組は顧客や住民と同様stake holdersとして、重要経営情報の共有先、何かの折に相談される先、ではあるが、経営の「運転席」に座る立場ではない。・・・だから、西武も、売却後の経営計画については既に概要は出ているのだから、それ以上の詳細を労組が未だ知らされてなくても、それで、経営に経営のストップ掛けようというのは著しく筋違いだ。・・・この労組は、どこから、そのような取り違えた思いを持ったのか??
② もし、西武労組が、別の経営計画を策定し、経営に提案、しかも、労組案の採用の場合は、従業員の報酬の3分の1とかの部分は、西武百貨店事業の営業損益に完全リンクでいいとか言って、経営結果のリスクを一緒にとるというならまだ分かる。
・・・しかし、「西武百貨店が大赤字でも、それは経営が悪いのだ。従業員は一人も解雇せず、所定の給料を払い続けろ!」というのでは、全くの「いいとこどり」である。・・・近年、ここまで我が儘な労組が他にあるだろうか??
(3) そして最後に、そういう労組を甘やかして産んでしまったのは、マスコミにも責任の一端があるのではないか?
・・・ニュースでは盛んに池袋の町行く人が、今の池袋西武を応援するようなコメントを報道するが、解説番組以外では、セブン&アイがその為、毎年巨額の損失を被ってきていることはちらっと触れなくなないが、三面記事感覚の報道内容が中心である。
・・・そして、労組の人の「被害者的コメント」を録画で見せるが、セブン側で経営に苦労している人のコメント録画は出てこない。ものすごくバイアスがある。「大企業=悪」みたいな報道スタンスまでは行かないだろうが、本件の本質を踏まえて、バランスよく報道を企画するセンスと能力がもう欠落してしまっていると思う。・・・だから、私がここで、解説文を書かないといけなくなる。
◆明日から、西武はフォートレス資本になる。労組は、新資本に噛み付かず、発想を新たに、事業の進化を一緒に担ってほしい。日本経済はこうやってしか進化しないからだ。
Nat
