♪♪ NATの独り言 (心・ジャズ)

生きていく上で信じてること。大好きなジャズのこと等

2024年06月

★まだまだエネルギー問題での啓蒙が多いに必要な100人社長

★今朝の日経に、100人の社長アンケートの結果で、原発や石炭火力への考えが載っている。(コピー、下に。)
◆ 社長らの意見が政府施策に大きな影響力を持つのか? 結局、選挙で投票する国民の意見の方が影響力があるのか?といった問題はあり得るが、これらの社長意見に出ている傾向が、多少とも政府施策に影響し得ると想定して、ひと言コメントとしておこう。
・・・まず社長ではあるが、顔ぶれからして、日本のエネルギー・電力の実情にかなり通じている割合は2割程度で、残りは大なり小なり庶民と余り変わりない。しかし、事業継続に電力が必須であることの認識では庶民より高い問題意識を持っている母集団であろう。
◆ という前提で結果を見てみると:
(1) 既存原発の再稼働は7割が支持。これは前からこんなもんだろう。
(2) 原発新増設: 2022年の同様調査(以下の二つ目のコピー)では60%が「新増設すべき」と回答していた。
・・・ところが、今回の調査では「新増設すべき」が55%くらいに微減している。・・・しかも、今回、「新型炉で」と「新型炉でなくても」に分かれているが、「新型炉で」と限定している人が半分以上いて、新型炉でない既存原発タイプでの新増設には慎重派が多いようでもある。つまり、今回の調査からは、もしかしたら、日本の社長さんたちは、日経の表題のように「過半が支持」というよりも、「新増設には、依然よりも より慎重論が少し増えている」との解釈のほうが妥当なのかもしれない。
・・・2022年の調査の頃は、まだ「新型炉」云々の議論が少なかったが、その後、日本政府の広報でも、SMR(小型炉;色々問題あり得る)や、あるいは、夢の又夢であっても核融合にも触れるようになっているので、一般の社長さんたちの意識の中では、却って「既存タイプの原発のままの新増設ではアブナさそうだから、慎重に」、、、という考えが むしろ増したのではないか。
⇒ 【私見1】: 政府は、SMR、更には夢の核融合などに言及してしまい、却って「既存」のはアブナイという印象を醸し出した可能性がある。「既存」「既存」と言う既存軽水炉でも、新型ではかなり新しい安全設計になってきている、その既存軽水炉の進化の話をこそ、政府はもっとすべきだったのではないか?? 
◆次の、石炭火力: 「残す」は2割のみ。2022年の比較調査がないので、分らないが、恐らく、これも、そう増えてはいないのではないか?
1)まず圧倒的に言えることは、社長の多くは、自分の会社が「グリーン」イメージで見られたい、「グレー」イメージは回避したい、という思いが強く。実態はさておいても、自社が再生エネなどに積極的とのイメージ、そして「石炭火力」なる現代の魔女狩りの対象になっているモノのには「否定的」という見られ方をしたいという、かなり強いバイアスがあろう。・・・それが社長個人のアンケートでも出ると思う。
2)そして、社長と雖も、エネルギー問題への肉薄度の高くない「普通の人」も多いので、ベース電源が原発だけになる多大なるリスクへの理解も高くないのであろう。
⇒ 【私見2】: 今、日本の電力は3割が石炭火力、原発は6%程度、以上がベース電源。そして、しょうがないから、3割もを「ミドル」のLNG火力に依存している。(つまり中東・ロシアなどに依存するLNGのリスクを抱え込んでいる訳だ。)
・・・「石炭は今後止めるべき」と言う社長は、恐らく、長期的には、いま石炭が占めている3割を、原発再稼働・新増設と太陽・風の再生エネで置き換えればいいという単純・ナイーブ発想なのであろう。
・・・政府は、もっと、これらの社長さんたち(そして国民)が分かるように、以下の点を啓蒙すべきであろう。
1) ベース電源が原発だけになると、2011年の福島事故のような事態が起こった時に一旦原発ゼロにせざるを得なかった、あの「原発への一点集中リスク」になる。それを皆に想起させ、かつ、あの時は休止老朽石油火力の再稼働で埋めたが、もうそれは出来ないこと。ベース電源は、原発と石炭に分散していてこそ、安心ということ。そして石炭は低炭素型の歩みを強めており、そのうち、LNGの放出炭素より、石炭火力の方が遥かに炭素が少なくなること、以上も啓蒙すべきだ。
2)そして、何度も私が書いてきている太陽・風は、一定以上は全くダメという点の啓蒙。①日本ではもう場所なし、②発電出来ない時の補いの石油火力で却って炭素を増やす、③膨大な送電・系統投資が要る。
・・・以上の2点の啓蒙がまだまだ弱いから、今回の社長回答になるのだ。・・・私がここで幾ら啓蒙文章書いても知れている。残念だが。   Nat


nikkei.com_paper-2022年9月の日経社長100人アンケート_page-0001

★東電と関電の電気代の大きな差 ー 原発のあるなし

★最近、電気代が庶民の生活をヒットしている。・・・そのことから、日経新聞でも言及していたが、原発のあるなしで、地域別の電気代に大きな差が出ていることが認識され始めている。
◆電力料金の地域別比較は、想定モデルによって、かなり違う数字があるが、以下の最初のチャートは、最も典型的な比較であろうと思う。
・結構 原発が稼働している関西電力と九州電力が7千円台。
・一方、原発再稼働出来ていない東電や東北・中国など他電力が1万1千円台。
※ 尤も、やはり原発再稼働できていない中部電力も8千円台なので、原発だけの差ではないのも事実だ。中部の場合、水力比率が多少多め、比較的安価な石炭とLNGの火力比率が高い(注:普通7%とかの石油火力が同社ではほとんどなし)とか、山間部が多くて夏場の冷房需要がピークとなるため、夜間の電力使用量が多いという特徴があり、その特性を活かした時間帯別料金プランが奏功しているという背景もあるようだ。
◆ しかし、基本的には原発の差であろう。
・・・そこで、電力の種類別の発電コストだが、以下に資源エネ庁の2020年ベースでの比較を載せておこう。
・・・実は、石炭やLNG火力のコストは、今、燃料コストが大きく揺れ動く時代なので、何時の燃料コストで試算しているかで大きく変わってくるのだが、この2020年の試算は、石炭やLNGが急騰する2021年以降の時代の少し前だから、石炭・LNG火力の発電コストは今ではもっと高いと見るべきであろう。
・・・一方、原発は、そういう燃料コストの変動がない。
ということで、この表の原発の「11.5円~」は、やはり最安であろう。
◆ しかし、色々、異論を言いたい反原発主義者もいるだろうから、若干補足しておく。
・・・同じ、資源エネ庁の2020年ベースの試算の背景の、原発の費用試算も添付しておく。
・よく核燃処理のバックエンドのコストが入ってないのではという誤解があるが、勿論、一応見込んでいる。・・・最終投棄に係る将来の不確定性はあるが。
・あと、安全コストは、どこまで見込むかの問題はある。そこで、それによって、上ぶれがあり得るので「11.5円~」と言う書き方をしている。
・・・そしてだね、石炭火力は昨日も書いた通り、今後、CO2対策コストが加算されてくるし、LNGも、当面は石炭ほどの圧力はないがCO2排出するので、その関連のコスト(対策か炭素税的なチャージ)が掛かってくる。
・・・それに対して、原発は、安全問題とバックエンドの不確定性はあるが、炭素関連の追加コスト問題がない。(注:あと、太陽と風力も、一応表にあるが、これから膨大に要る大規模送電・系統蓄電/統合投資のコスト前の数字でしかない。)
◆ 以上の電気代観点からも、やはり、安全性を高めた原発は、日本では必須であろうと言う話になる。
・・・しかし、電気代は、前述の通り、その時々の燃料市場によっても相対関係は変わってくるので、結局「安い順に」などという発想ではなく、日本の電力の安定供給の確保のため、ベース電源として原発と低炭素石炭火力の二つを柱に、、ということになるのだ。
・・・今日は、これまでたくさん書いてきた「太陽・風だけでは、どうにもならない」との話は省略するね。

     Nat



電力代_page-0001電力コスト_page-0001

★明らかなる潮目の変化  -  Jパワーの石炭火力継続宣言

★昨日の日経新聞報道で、一般の読者は読み飛ばしたかも知れないが、以下コピーの記事、私は着目した。
・・・Jパワー社、昔の社名では”電源開発”;一般の人は全く知らないだろうが、地域電力社に電力を卸売りする、日本の電力の縁の下の力持ち役の会社である。
・・・Jパワー社の石炭火力16基のうち、古過ぎない9基について、コストはかかるが、CO2放出をうんと削減する対策を本気でとってでも、これらの石炭火力発電所は継続稼働を絶対するぞ、と宣言しているわけである。対策の中身は、従来からやっている燃焼効率を高めるIGCC以外に、①アンモニア混焼から始めて、②究極的にはそれでも一定出るCO2を回収し地下に貯留する”CCS”手法だ。
◆このJパワ-の「悲壮な決意」の如き、9基石炭火力の継続稼働宣言、その背景をどう読むか?だ。日経はそこまで解説してないが:
(1) まず、石炭火力全面撤退を強いられて場合は、同社の事業が実質半減以上に縮小してしまう危機感だ。・・・新事業としては、青森県の大間の原発計画の悲願があるが、なかなか安全審査が降りない。・・・石炭を封じられたら、同社は実質的に”終了”との危機感はあろう。
(2) しかし、同社の私的な思い詰めだけでなく、やはり、世界、日本の電力情勢の潮目の変化は背景にあろう。
・再生エネ至上主義的な意見の強かった欧州でさえ、それだけでは電力不足になる危機感から、原発の見直し、また、石炭火力に関する、より現実的な対応の動きが出てきている。
・一つには、ロシアのウクライナ戦争で電力・エネルギー安保への意識が高まったこと。もう一つは、今、欧米日でも急速に認識されている、AIという電力消費のバケモノの伸長で、省エネの正反対、電力需要急増問題が強く出てきているからだろう。
・更に、特に日本では、太陽・風力は①僻地がゆえの送電系への膨大な投資が要る、②お天気次第と、基本が直流系なので膨大な系統蓄電・統合の投資が要ること、以上の点が次第に認識されてきていること。
⇒ 以上から、日本でも、原発に対する政府のスタンスも大きく変わってきており、次は、石炭火力もコストはかかってもCO2をLNGより遥かに少なく抑えたら、何が悪い!?との方向に向かっていることだろう。
・・・潮目は、明かに変わってきている。 Nat

nikkei.com_paper

★ ロシア・北朝鮮 ー 本気の軍事同盟ではあり得ないが・・・

★一種の相互防衛の軍事同盟っぽい協定を交わしたね。
・・・しかし、何度も書いてきた通り、強権先制国家同士では、西側のNATOなどのようなほんものの相互防衛協定は成り立たないね。
・昔のソ連を中心とするワルシャワ条約機構は、建前と雖も、一応「共産主義・社会主義」のイデオロギーで結ばれた連合諸国だったし、一方のNATOは自由・民主主義のイデオロギーで結ばれている。それぞれ、共通のイデオロギーがあるから、仲間の他国のために「血を流して守り合う」協定が成り立った。
・しかし、今や、中国は中国式国家資本/社会主義であるが、世界に普遍的に流布させたい「守るべきイデオロギー」があるわけではなく、所詮中華思想と覇権エゴしかない。・・・ロシアも「ソ連ノスタルジー」でしかなく、更に、北朝鮮も自国限りの独特の思想を掲げているが、人類普遍的に広げたいイデオロギー的なものまではない。イランはイスラム革命であり、ロシア、北朝鮮、あるいは中国との共通イデオロギーは全くない。
・・・斯く斯様に、これらの先制的強権指導者国は、まったくの自国エゴを突っぱねているだけで、全くの利己的ご都合主義で部分的に、類似の跳ね上がり国家と仲のいいフリをしているだけだ。
・・・プーチンは金さんから弾をもらえば良く、金さんはプーチンからミサイルなど技術をもらればいい。もともとプーチンは北朝鮮が韓国と砲火を交える際に北の援軍派兵などするわけがない。
◆ とはいえ、今回の動きは、ロシアがいよいよ、実質国連を完全に無視するポジションを明確化した意味で、注目はしておかねばなるまい。  Nat

★日本のジェネリック薬不足問題 ー 実は厚労省の大失政

★今日の夜7時半のNHKテレビ、「クローズアップ現代」で、日本の医薬品供給が大きく不足している大問題の報道をしていた。NHK
・・・NHKならではの、特定課題に切り込む番組ではあったが、新聞では日経が御用新聞になってしまっているのと同様、NHKだから、今の医薬品の供給不足という大問題の報道で、厚労省の失政という本質的な面につき、全く切り込まないままとなっていたのが、残念だった。
・・・よって、いつも通り、その点を私が替わりに書こう。
◆ 「去たん薬や高血圧の薬でも不足、不足する数は約3,800品目」とNHKの報道では言っているが、事の本質は、去たん薬や高血圧の薬などという普及種目の薬だからこそ発生している問題なのである。
・・・即ち、NHK 報道では、ひとことも「ジェネリック」と言うことを言わなかったが、不足する薬の大半は、ジェネリック薬(後発薬)であり、供給不足は、ひとえにジェネリック薬に関する厚労省の大失政なのである。
◆ ジェネリックが始まる前の医薬品の業界は、特許・知財で独占的立場にあった大手の医薬品メーカーと厚労省の間の、密室的な、持ちつ持たれつの世界で運営されていたのだ。・・・厚労省の行政は、そういう大前提で出来ていた。
・・・しかし、厚労省は、2012年以降、特許切れの医薬品、いわゆるジェネリック薬の普及政策を採用した。ジェネリック薬の生産・販売という特許に縛られず誰でも出来ることを、多数の薬メーカーの自由競争に委ね、もって、薬の市場価格レベルの引き下げ、ひいては破綻しそうな健康保険体系の改善につなげようとしたのだ。
・・・しかし、ここで、多数のメーカーの勃興、競争などという市場原理に全く体質が付いていっていない厚労省が、以下の二つの大きなミスを犯したのだ。
(1)丁度、2016年の電力小売り自由化で経産省が市場展開に体がついていかなかったのと同様、実際の市場展開は、厚労省の想定を全く越えていたのだ。・・・170社もの零細のジェネリック薬製造メーカーが日本中に乱立したのだ。・・・しかも、納入先の医療機関(病院)あるいは医薬卸屋は、これまでの大手薬品メーカーに対すると同様の「上から目線」での要求を、斯かる零細ジェネリックメーカーにも押し付ける。ここに日本の産業における、いつもの儒教的な「お客は神様」文化の大弊害が出ているのだ。・・・だから、一つひとつの零細メーカーが、「お客様」の「上から目線の要求」に必死に応えようと、無理な多種少量生産を努めた。
(2)更に、斯かる零細メーカーが価格下げ競争をする。その結果、下がった市場実勢価格が、翌期の厚労省の薬価になってしまう。・・・ジェネリックの市場価格は、悪循環で下がり続けた。設備投資不可能なレベルにまで。しかし、厚労省は下がる価格を喜んで見ていただけなのだ。
◆ 結果として、慢性的赤字のジェネリックメーカーが充分な供給が出来ず、去たん薬や高血圧の薬でも市場から供給が消えたのだ。・・・それだけでなく、検査の誤魔化しが多発した。
・・・これらの全ての責任は厚労省にある。
・170社の乱立で市場価格が下がるのを嬉しく眺める発想しかなかった厚労省役人だ。政治力のある医師会と、大手医薬メーカーとしか話ししたこともなかった厚労省役人には、170社の乱立する零細メーカーの挙動や思惑などを思い描くマインド構造は皆無だったのだ。
・だから今、170社乱立、ジェネリックの絶対的供給不足。
・・・これを改善する術を厚労省は持ち合わせていない。検査の強化という締め付けは出来ても、供給確保の術はないのだ。
・・・170社のM&Aによる再編統合策などという、経産省っぽいことは厚労省役人には全くできない。
・・・安過ぎる薬価の改善から始めているが、市場原理という厚労省の最も苦手なことが相手だ。市場原理で、供給が回復するのは、時間がかかろう。
◆ 規制が専門の官庁が、2016年の経産省の電力自由化や、2012年の厚労省のジェネリック薬のような、市場原理を活用する施策をすると、超「市場音痴」の官僚が考える、とんでもない施策が導入されてしまう。そして、その為の大混乱の是正は、まず、経産省、厚労省などが自分の大失策を認めないから、なかなか始まってこないのだ。
・・・今晩のNHKの番組のえぐり出すべき最も本質的な問題は、そこだったのだ。  Nat
記事検索
月別アーカイブ
プロフィール

NAT

タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ