★日本原子力発電㈱(「原電」)の敦賀原発2号機につき、原子力規制庁審査会合が、実質「再稼働ならぬ」との最終決断を下した。
・・・福島事故以降の全原発の見直しの中で、同原発については、前から原発の直下の断層が活断層では、との疑義が呈され、会社側が必死に活断層ではないのではとの立論を試みてきたものだ。しかし、規制庁側では活断層の可能性は否定できないとずっと反論してきたのの、その最終結論である。
(1) 原電という会社は、日本が「これから原子力」という1957年に、電力業界全体の代表選手で「原発」の開発を推進していく役割を期待され、電力業界全体により産み出された「業界共通の原発会社」である。当時から、原発は政府主導にすべきとの意見もあったが、当時の電力業界は、民営でとの考えにて、代表選手の原電を作った。
(2) 事実、東海に日本の先がけみたいな原発を作ったが、その後、原発は、どちらかというと電力各社が自分で追及する世の中になっていく。
(3) そこに2011年の福島事故で、日本中の原発が停止。そういう中で、原電としては、実質、敦賀2号だけが再稼働可能性のある原発で、これを否定されたら、会社が終了する。しかも、2011年の原発停止以来、稼働中の原発なき原電社を、電力各社がずっと運営費を負担して支えてきたが、敦賀2号の再稼働はダメ、となると、それもできなくなる。原電は事業廃止になり、電力各社の原電への過去の負担金は損金処理になる。・・・電力業界としては、大騒ぎの事態になるのだ。
◆ ということなのだが、今日の報道で各社が言ってたのは、何と、原電の敦賀2号がダメとなると、これから日本の将来の電力を原発の再稼働で担わせようとしていた日本の長期電力・エネ供給計画に狂いが出るのでは、、、とかいう、完全に的外れの話だけだ。・・・経産省の今後の原発計画の中に、敦賀2号を当てにして入れているはずがない。もう関係者は前からもう絶対ダメ、ただただ、原電社の悪あがきと分かっていたものだ。
◆ 従って、今日の敦賀二号への実質「廃炉宣言」の報道で、日本という国が考えるべきことは、むしろ以下のことであろう。
・70年近く前に、業界代表として作った原電は、いよいよ終わりになる。もしも福島事故なかりせば、原電がなくなっても別に構わなかったのではないか。もうとっくに役割を終えていたからだ。
・しかし、福島事故以降、東電のように原発再稼働全くできていない電力会社もあり、かつ、今や原発が、10社の個々の電力会社でやるべきものなのか、私のように、実質、国営化し、技術者の集中、また、バックエンド問題も含めて、国策運営をしていく時代ではないか、という意見もある。
・そういう中で、敦賀を失って、会社を畳む運命の原電を、ただただ畳むのか? それとも、むしろ、これからの日本国の「より国策運営型の原発事業」を構築するための、新しい母体として、今の原電の組織を活かしていくことは出来ないのか?・・・といった論点が求められているのだ。(単なる延命策ではダメだが。)・・・それに対して、今日の報道各社の問題意識は余りにも的外れであり、貧困過ぎる。
・・・日本の将来のエネ事情を確保するためにも、ことエネルギーについては、報道機関も、もう少しレベルを改善してほしい。 Nat