まず、米国が日本を含めて世界各国に駐留軍を置いている目的とその思想を、米国側の観点から見ていこう。
米国は、州兵も入れると米国内に210万人もの突出した兵力を持つ。そして海外には20万人で、大体今の処、欧州とアジアに半数ずついる。全世界合計で230万人にもなる。人数でこれに匹敵するのは中国だけだ。(中国の場合は、全部中国国内にいるのだが)。しかし、米国のハイテック装備や強力な機動力・情報力・経済力を考えると、中国はまだまだ米国のライバルにはならない。米国が世界の中で圧倒的に突出した兵力を持っている。
何のため?もちろん先ず何よりも米国自身のためだろう。しかし、これが世界のためでもあるというイデオロギーを強烈に掲げており、かつ結構本気でそれを信じている。ピューリタン以来の伝統で「自由」=「Liberty」を標榜する移民国家であった米国だが、さすがに1921年の移民法以来「誰でもいらっしゃい」ではなくなった。しかし、現在でも世界の中で「一番移民したい国は米国」というステータスを保っており、「世界で最も自由な民主主義の国」の建前とプライドは維持している。(もちろん、貧富の差など、米国の暗い面はたくさんあるが。)
このような米国が今、世界に対して掲げている思想は何か?一つは「近代で、民主主義の国と民主主義の国は戦争していない」という認識。要するに戦争の相手は、独裁的だったドイツや日本、或いは独裁的共産主義国家や独裁的な中東国家ばかりだったということで、ここまでは結果的には結構正しい。しかしここから更に「だから民主主義を広めると戦争が減る」というロジックを掲げる。ここまでくると、議論が分かれるだろうが、米国、少なくとも現政権は結構本気でそう信じている。第二に、「第二次世界大戦後、ソ連崩壊の今、米国及び世界の最大の脅威は、一部の非民主主義的独裁国家と狂信的テロリズムが大量破壊兵器を使用することである」という認識だ。これも、「脅威」と名指しされる方は「逆に米国こそが最大の脅威じゃないか」と言い返すことになるが、これ又、米国は強くそのように思っている。それで、米国は、民主主義を広め、世界から独裁国家とテロリストと大量破壊兵器の流出を無くせば、まず米国が安泰、そして世界も安泰と主張し、世界の警察官役を演ずる。そして、その為に世界各国に米軍基地を置く。
これに対し、概ね「島国の温厚な農耕民族」である日本人の感覚は、他国との間で何か問題が生じた時に、個別に話し合ってうまくやって行きたいというものだ。この辺に大違いがある。「世界戦略の米国」と、「個別話し合いの日本」との大違いだ。
良い悪いは別にして、このように大違いの「世界戦略の米国」と「個別話し合いの日本」とが戦後、奇妙な同盟関係を組んだのだ。そして、米国にとって、日本との同盟の重要性はむしろ増してきている。またこれは、日本の「国際的な力」に期待して組みたいということではない。米国から見て「個別話し合いの日本」の力は余り当てにしていない。しかも所謂「平和憲法」の制約があることも知っている。米国が日本を重視するのは、一義的には日本の地理的位置だ。まず、今後の最大の脅威となり得る中国の真横に日本が位置しているから、日本に米軍基地があることは米国の生命線だ。また、欧州の脅威が遠のき、一方で、中東、インド洋からアジアの地域での独裁国家やテロリストとの戦いを重視する「世界の米軍再編」計画を進めている訳だが、その計画の中で、米軍拠点としての日本はいよいよ重要性を増す。だから米国は日本を放さない。
但し、米軍の負担を増やす気はないから、日本のお金(「おもいやり予算」など)と自衛隊による後方支援への要求もするし、日本自身の防衛は出来るだけ日本の自衛隊の責任にシフトする。ミサイル防衛などにも日本の参加を求める。要するに、米軍の世界戦略のいよいよ重要な拠点として日本列島を使うと共に、日本には日本相応の責任と負担をより多く求めるということだ。
これで米国から見た日本の位置づけは分かった。そこで問題は、「日本を放さない米国」に対して、日本としてはどう対応するかだ。ここから次回。 Nat
米国は、州兵も入れると米国内に210万人もの突出した兵力を持つ。そして海外には20万人で、大体今の処、欧州とアジアに半数ずついる。全世界合計で230万人にもなる。人数でこれに匹敵するのは中国だけだ。(中国の場合は、全部中国国内にいるのだが)。しかし、米国のハイテック装備や強力な機動力・情報力・経済力を考えると、中国はまだまだ米国のライバルにはならない。米国が世界の中で圧倒的に突出した兵力を持っている。
何のため?もちろん先ず何よりも米国自身のためだろう。しかし、これが世界のためでもあるというイデオロギーを強烈に掲げており、かつ結構本気でそれを信じている。ピューリタン以来の伝統で「自由」=「Liberty」を標榜する移民国家であった米国だが、さすがに1921年の移民法以来「誰でもいらっしゃい」ではなくなった。しかし、現在でも世界の中で「一番移民したい国は米国」というステータスを保っており、「世界で最も自由な民主主義の国」の建前とプライドは維持している。(もちろん、貧富の差など、米国の暗い面はたくさんあるが。)
このような米国が今、世界に対して掲げている思想は何か?一つは「近代で、民主主義の国と民主主義の国は戦争していない」という認識。要するに戦争の相手は、独裁的だったドイツや日本、或いは独裁的共産主義国家や独裁的な中東国家ばかりだったということで、ここまでは結果的には結構正しい。しかしここから更に「だから民主主義を広めると戦争が減る」というロジックを掲げる。ここまでくると、議論が分かれるだろうが、米国、少なくとも現政権は結構本気でそう信じている。第二に、「第二次世界大戦後、ソ連崩壊の今、米国及び世界の最大の脅威は、一部の非民主主義的独裁国家と狂信的テロリズムが大量破壊兵器を使用することである」という認識だ。これも、「脅威」と名指しされる方は「逆に米国こそが最大の脅威じゃないか」と言い返すことになるが、これ又、米国は強くそのように思っている。それで、米国は、民主主義を広め、世界から独裁国家とテロリストと大量破壊兵器の流出を無くせば、まず米国が安泰、そして世界も安泰と主張し、世界の警察官役を演ずる。そして、その為に世界各国に米軍基地を置く。
これに対し、概ね「島国の温厚な農耕民族」である日本人の感覚は、他国との間で何か問題が生じた時に、個別に話し合ってうまくやって行きたいというものだ。この辺に大違いがある。「世界戦略の米国」と、「個別話し合いの日本」との大違いだ。
良い悪いは別にして、このように大違いの「世界戦略の米国」と「個別話し合いの日本」とが戦後、奇妙な同盟関係を組んだのだ。そして、米国にとって、日本との同盟の重要性はむしろ増してきている。またこれは、日本の「国際的な力」に期待して組みたいということではない。米国から見て「個別話し合いの日本」の力は余り当てにしていない。しかも所謂「平和憲法」の制約があることも知っている。米国が日本を重視するのは、一義的には日本の地理的位置だ。まず、今後の最大の脅威となり得る中国の真横に日本が位置しているから、日本に米軍基地があることは米国の生命線だ。また、欧州の脅威が遠のき、一方で、中東、インド洋からアジアの地域での独裁国家やテロリストとの戦いを重視する「世界の米軍再編」計画を進めている訳だが、その計画の中で、米軍拠点としての日本はいよいよ重要性を増す。だから米国は日本を放さない。
但し、米軍の負担を増やす気はないから、日本のお金(「おもいやり予算」など)と自衛隊による後方支援への要求もするし、日本自身の防衛は出来るだけ日本の自衛隊の責任にシフトする。ミサイル防衛などにも日本の参加を求める。要するに、米軍の世界戦略のいよいよ重要な拠点として日本列島を使うと共に、日本には日本相応の責任と負担をより多く求めるということだ。
これで米国から見た日本の位置づけは分かった。そこで問題は、「日本を放さない米国」に対して、日本としてはどう対応するかだ。ここから次回。 Nat