沖縄の音楽の話の前に、沖縄の文化の話し。沖縄はもともと日本の一部ではなく琉球王国。17世紀に薩摩藩が侵略し、更に明治政府が台湾出兵に絡めて無理やり日本に併合してしまった。文化的には直ぐ近くの南中国(福建のあたり)に近いし、また中国、東南アジアとの交易の中心地だったので、日本本土よりも中国・アジアの文化との共通点が多い。亀甲墓と呼ばれるお墓も、ジャワ島でそっくりのを見たことがある。沖縄のろうけつ染めの紅型(びんがた)とインドネシアのバティックは技術的にそっくりだ。どちらも南中国の文化が伝わったものに違いない。ただ、沖縄の言葉は古くから日本語系である。「東風」(こち)など日本では古語になっている単語が沖縄には地名などで残っている。しかし、これは日本語が沖縄にも伝わったのか、大昔に南方あたりの言葉が日本にも沖縄にも伝わって日本・沖縄共通の言葉になったのか分からない。日本語の起源そのものが分からないのだから。ただし、文字は中国から来た漢字に加えて、意外にも相当昔から日本が生んだ平仮名を多用している。とすると、言葉自体も日本からもたらされたものだろうか。
さて、いよいよ本題の沖縄音階。ドミファソシドの5音音階。しかも、音の動きのパターンが極く限られていて、だいたい、ドミミファ、ソシシド、レドドソ、ファミミド~~~シド~~~。という風に単純に上がっていって降りてくるパターンだ。歌詞は様々なのだろうが、メロディーはどれもほぼ同じワンパターンに近い。しかしそのワンパターンが非常にユニークなのである。特に上記の例で言うと、ソシシドの部分、こんな動きをする音階は他の文化にはない。ソファファミドなんて動きもだ。ジャワ島のベロッグという音階が多少近い感覚を生むようだが、同じではなさそうだ。沖縄のは沖縄独自なものだ。どこから来たのだろう。南の方から? あるいは沖縄オリジナル? 興味が尽きないが、ここでポイントは、この音階のパターンは西洋音楽のアレンジを寄せ付けないということだ。ここに「ラ」でも入っていたら、急に西洋音楽の付け入る余地を与えるが、「ラ」とか「レ」がなく、「ファ」「シ」の使い方がどこにもないので、西洋音楽はお手上げだ。
昔、グループサウンズが流行ったころ、沢田研二のタイガーズが「シーサイド・バウンド」という沖縄音階を採り入れた曲を歌った。悪くはなかったが、やはり沖縄音楽は西洋音楽とは馴染まないと思う。
だから、沖縄民謡は、今でも西洋音楽アレンジを寄せつけず、沖縄三味線による古典的アレンジのまま堂々と生きている。観光者向けということはあろうが、今でも沖縄中で普通に鳴っているのがすごい。西洋音楽に半ば同化されてしまった本土の伝統音楽とは大違いである。薩摩や明治政府により、無理やり日本に併合された沖縄ではあるが、私としては、世界に誇れるユニークな音楽を持った沖縄が日本の一部であることを嬉しく思う。(本項了) Nat
さて、いよいよ本題の沖縄音階。ドミファソシドの5音音階。しかも、音の動きのパターンが極く限られていて、だいたい、ドミミファ、ソシシド、レドドソ、ファミミド~~~シド~~~。という風に単純に上がっていって降りてくるパターンだ。歌詞は様々なのだろうが、メロディーはどれもほぼ同じワンパターンに近い。しかしそのワンパターンが非常にユニークなのである。特に上記の例で言うと、ソシシドの部分、こんな動きをする音階は他の文化にはない。ソファファミドなんて動きもだ。ジャワ島のベロッグという音階が多少近い感覚を生むようだが、同じではなさそうだ。沖縄のは沖縄独自なものだ。どこから来たのだろう。南の方から? あるいは沖縄オリジナル? 興味が尽きないが、ここでポイントは、この音階のパターンは西洋音楽のアレンジを寄せ付けないということだ。ここに「ラ」でも入っていたら、急に西洋音楽の付け入る余地を与えるが、「ラ」とか「レ」がなく、「ファ」「シ」の使い方がどこにもないので、西洋音楽はお手上げだ。
昔、グループサウンズが流行ったころ、沢田研二のタイガーズが「シーサイド・バウンド」という沖縄音階を採り入れた曲を歌った。悪くはなかったが、やはり沖縄音楽は西洋音楽とは馴染まないと思う。
だから、沖縄民謡は、今でも西洋音楽アレンジを寄せつけず、沖縄三味線による古典的アレンジのまま堂々と生きている。観光者向けということはあろうが、今でも沖縄中で普通に鳴っているのがすごい。西洋音楽に半ば同化されてしまった本土の伝統音楽とは大違いである。薩摩や明治政府により、無理やり日本に併合された沖縄ではあるが、私としては、世界に誇れるユニークな音楽を持った沖縄が日本の一部であることを嬉しく思う。(本項了) Nat