本はどんどん貧しい国になりつつある。2010826日の当ブログ「日本はこのまま貧しい国に?」で、世界の中でも日本の国民所得のレベルがどんどん落ちていること、日本の貧民の比率が先進国でも高いことなどを数字を挙げて述べた。ここで改めて日本国民の可処分所得総計をもう一度見てみると、2007年度には418兆円だったのが2009年度には373億円と合計11%も減ってしまった。リーマンショック後の日本経済の2年連続マイナス成長の煽りだ。多分今年2010年には漸く1-2%程度の微増に転じるかも知れないが、そんなペースでは、一旦下がってしまった所得レベルがなかなか元に戻らない。日本の経済活動の体温が下がったままだからだ。このまま行くと、今は貯金を取り崩してやりくりしている家庭もそのうち行き詰まり、まとまな生活や子どもの保育が出来ない困窮家庭が続出するだろう。


 そのような手詰まり感を打破できないか・・・という期待をこめて、国民は民主党政権を選んだ。官僚と癒着した従来の自民党政権では、思い切った国民本位の政治が出来そうにもない一方、民主党なら出来るかも知れない・・と期待したからだ。しかし、その期待は完全に裏切られた。特に菅政権になり、参院選挙で大負けして以降がひどい。各地の市長選の連敗に続き、来年春の統一地方選挙でも大負けしそうだと、完全にビビってしまっている。だからもう怪我をしないように、各省庁の官僚から上がってくる小粒の施策を寄せ集めて、政権を運営しているフリをしているだけになってしまった。先日発表の来年度予算案がその最たるものだ。全てが超小粒の施策の羅列。どれも何のインパクトもない。そして経済を元気にする減税は、財源がないから・・との財務省に負けて全て増税との見合い、結局、実質減税もゼロ。むしろ増税感の実感の方が強い。


 今は、日本という国が大きな病気になって死につつあるような危機的状況である。このような時には、アレクサンダー大王やナポレオン的な戦時対応型の強烈リーダーシップの宰相が不可欠だ。しかし、首相公選制も馴染まない日本では、ご存知のように政権与党が党の内部論理で選挙をして選ばれる首相だ。だから菅首相のような、戦時対応には一番向かない、サラリーマン的ダメ宰相を選んでしまった。憎憎しくても、リーダーシップでは小沢さんの方がまだ10倍くらいましであったはずだ。


★ ずばり、今の日本では以下のような大施策を早くやらないといけない。でないと、本当に国が死んでしまう。

●まずここ3年間くらいは、体温が冷え切っている経済に巨額のカンフル注射を打つ必要がある。手法は、基本的に消費を大幅に喚起する個人への減税を軸にする。つまり所得税の大規模減税、更には住宅・教育などの政策的な減税をどでかい規模でやることだろう。(あとは、無駄な道路などでなければ、保育園とか林業再生とか意味のある公共事業でもいい。)財務省は「財源」がない等と平時の議論をするが、ここ3年ほどは「死に至る病」の集中治療期間中だ。癌と闘う患者のためには家族は借金をしてでも闘うだろう。同じだ。財源としてはお札を大量に刷ることを本当にやる。正確に言うと日銀の借金になるだけの日銀券ではなく、政府発行紙幣を大量に刷るのだ。これこそ最後のどでかい財源である。それではインフレになるのでは?と思う人もいようが、巨大な需給ギャップを埋めるためにやるのだから、ギャップが埋まるまではインフレにはならない。ギャップが埋まればもうお札を刷って需要を創るのは止めればいい。また、部分的には若干のインフレもあろうが、死に至るデフレより全然いい。

●同時に、中長期的な経済・財政改革が必要。一つは、一次産業(農林水産)、三次産業(医療・介護とか保育、教育)の業態改革と規制緩和・撤廃による、新しい産業形態の創出。もう一つは、勿論、年金・医療・介護保険の負担と税金とを総合した、トータルでの財政改革(勿論、消費税は不可避。)


この二つをやるしかない。それをやれば、日本は蘇る。


 しかし、こういうことは、今の民主党政権には全く無理だ。かといって自民党に戻しても、ダメだろう。一方、みんなの党などの新政党は元気のいい発言は目立つが、所詮人数が少なく力は出せない一方、大人数になろうとすると結局「自民党化」・「民主党化」する。とすると、日本は座して死を待つだけ・・ということになる。しかし、死はじわじわしか来ないせいだろうか。年末の銀座とか渋谷とかをはしゃぎながら歩く人たちを見ると、その表情には、国家の危機感は余りみちみちてない感じがする。そう思うのは私だけだろうか?     Nat