セーガン博士の「悪霊にさいなまれる世界」で、彼が大変力を入れて研究・調査しているものに、UFO体験、なかんずく、宇宙人に拉致され身体調査された体験のことがある。セーガン博士の調査では作り話のケースが多いが、中にはその人は本気でそう思い込んでいるというケースも相当ある。しかし、博士の調査で、それが実際にUFOとの遭遇の結果であることが立証されているケースはまだないと言う。それでも、どうしてもUFOの話しが流行るのは、謎があり続けるほうが人間をワクワクさせるからだろうとも言う。それはその通りだろう。しかし、私は宇宙からの使者としてのUFOが実際にあるかどうかについては、まだ権威ある研究機関からの信頼できる結論は出ていないと思っているので、現在のところ結果待ちである。従って、セーガン博士のUFOについての長い論述には、若干辟易とした感がある。 

 それにしても、不思議に思ったのは、米国人にUFO信奉者、しかも宇宙人遭遇経験を語る人が、日本より圧倒的に多そうなことだ。UFO問題に限らない。生物の進化が事実だと思う人は、日本では9割なのに、アメリカでは4割に過ぎない。神なるもの存在を信じる人は、日本で35%、アメリカは95%。この大きな違いは何なのだろうか? 勿論、セーガンの本では日米の違いは論じていない。しかし、アメリカにキリスト教の強い歴史的・文化的な背景があり、日本にはないことは間違いない事実であろう。ヨーロッパのカトリック文化の伝統を継いで、17世紀の米国では魔女裁判も多くあった。日本では考えられないことだ。このように、アメリカ人の精神構造の中に、神こそは真実であるのに、科学は人間が小ざかしく調べものをした結果の小理屈を整理しているに過ぎなく、信仰に水をさす危険なものという視点が根強くあるのであろう。だからこそ、セーガンのような科学者が、800ページにわたる書物を書いて、科学こそは・・ということを主張せねばならないことになる。この辺は、「その1」に書いたとおり、科学と信心とが必ずしも二律背反でない日本人には分らないところだ。 

 さて、次に本論に入ろう。 Nat