前回書いた、意識とは何かに関連した、小噺。
人間に「意識」があるのは、誰でも実感があるはずだ。でも、ミミズには「自意識」があるようには見えない。しかし、犬くらいになると、散歩に連れていってもらえそうだと感じた瞬間からの飛び跳ねる喜びようを見ると、明らかに「意識」がありそうだ。
前回、「科学と信仰 その4」で書いた、『ソウルダスト-意識という魅惑の幻想』の著者ニコラス・ハンフリー博士によると、高等生物が進化の過程で「自分は生きている。生きている感覚っていいな。」と実感する「自意識」をもったことで、生きる力が増し加わり、自然淘汰上優利になったのであろうという。
先日、ハワイの水族館の屋外施設で、一匹のオットセイが大きなプールの真ん中の一ヶ所にずっと留まり、じっと目をつむり、満足そうに、垂直に浮いたまま、少しづつ回転しているのを見ていた。陽の光、水と風の感触、「ああ、私は生きている」と、そのオットセイが言っているように思えた。やっぱり、生物学の原理を越えて、ここに神さまの創られた「NATの命」も「オットセイの命」もあるんだ! そう思った時、変に、そのオットセイとNATは友だちだった。 Nat