STAP細胞。

 最高に後味の悪い終わり方をした事件だったが、結局研究不正への糾弾の中で、ハーバード大学が端緒をつかんでいた「STAP現象」(細胞がストレス下で多能化の兆候を持つこと)の有無については、理研が逃げたことから謎のままとなり残念であった。

 そして、今、私としては二つの事柄を目の前にしている。

1.一つは、以下の昨年末のNatureWEB版に出た論文。http://www.nature.com/articles/srep17355
この米国の研究者の研究では、怪我のストレスでマウスの骨格筋が多能性の徴候を持つことの確認をしている。勿論、生殖細胞になった訳でないので、若山教授・小保方Nature論文が不正主張したSTAP現象から生殖細胞にまで至ったことを裏付けるものではない。又、このNatureの論文が、「小保方さんは正しかった」との過剰反応から、「がせネタ」批判まで呼び起こしヤヤコシイことだ。もっと冷静になって欲しい。

2.もう一つは小保方さんの「あの日」。醜い言い訳だとの声も聞くが、案外冷静に彼女の主張する「事実」が書かれている。実験の上工程(STAP現象の細胞塊を製作)を担当した小保方氏、下工程(生殖細胞、キメラマウス作り)を担当した若山教授の合作だが、Nature誌への投稿は全て若山教授の強引な企画に基づいており、研究不正は主に下工程を操った若山教授(小保方氏はトカゲのしっぽで切られた)という構図である。

 以上の二点から、私が当時から思っていた「STAP現象」そのものは実在するのでは?という仮説がやはりあり得る気がする。

 上記の通り、小保方氏が真に若山教授の陰謀の犠牲者なら社会的復権が模索されるべきであろうが、それよりも、まず科学的真実としての「STAP現象」を感情的に闇に葬らないよう、関連の方々の忍耐強い研究を期待したい。  Nat