小池百合子氏が新しい東京都知事。

 早速、議会との融和が試されていると書かれているが、その前に、本日からの登庁で、まず官僚との関係に苦しむのであろう。

 アメリカでは、国でも地方でも、官僚は、ある時は官僚、ある時は会社役員になったりという具合に、出入り自由のプロ職業である。大統領が替わると3000人くらいの幹部官僚が入れ替わり、NY市の市長でも100人くらいは入れ替わるらしい。つまり、新しい首長は、自ら選任したプロ官僚チームを従えて、自分の政策実行を開始するのである。

 これに比べて、ムラ社会の日本では、官僚は閉じたムラである。都知事は、副知事4名と教育長1名を指名出来るが、それも議会承認が要るので、実質、誰一人として、自分の為のプロチーム員は自由に選べない。だから、たった一人で、ムラ官僚組織に落下傘着陸するのである。要するに、「よそ者」の新首長が、簡単には、ムラの秩序を変えられないようになっているのだ。

 NHKの大河ドラマで、中央政府を掌握した長州が、群馬県の初代知事に長州から小田村伊之助(俳優:大澤隆夫)を送り込み、たった一人の新知事が、群馬県のムラ役人に徹底的にほされる話があった。そういう構図は、明治維新の頃から現代まで全く変わっていない。新知事は、徹底的に「お飾り」にまつり上げられる強い力学の中で、孤軍奮闘するのである。

 日本が変わらない、進歩しない根本的な理由は、この「ムラ構造」にある。しかし、日本人としては、米国流の「プロチームによる改革的取り組み」では気質的に合わないから、「ムラ」が基本でずっと日本はやってきている。だから、日本が変わらないのは、日本人自らの気質の結果であるとも言えよう。

 首相に次ぐ権力を持つと言わえる東京都知事だが、実際には「孤軍奮闘」になる小池百合子氏が「ムラ」社会とどう関わるのか、良く見届け、日本人の本質を理解していこう。 Nat

●追記: それでですね、日本のムラ社会は、恐らく相当長くこのまま変われないだろう。なぜなら、日本中がムラ社会で、人材が「プロ」として別組織に自由に転職する市場が矮小だから、部分的にプロ組織を形成しようとしても、ロクな人材が集まってこないからだ。植物体の中に、突然、動物組織を培養しようとしても無理なのと同じで、悪循環になる。 だから、日本はずっと息苦しいムラ社会のままになりそうだ・・・。