★安倍首相の「憲法9条2項を維持したまま、3項に自衛隊はOKと入れる」案。それに対し、様々な意見が呈されている。
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前に書いた通り、そもそも憲法とは何であるべきか?とか、国連憲章等国際法と憲法の関係上は云々とか、難しい議論もあるが、もっとシンプルに安倍案に対し、一国民として反応しておきたい。
・ 2項で「戦力不保持、交戦権認めない」とあるのに、安倍案は3項で「しかし、自衛隊を持つのを妨げない」とするものだろう。これは良く解釈すると「自衛隊は2項と矛盾しない」ともとれなくないが、「2項にも拘わらず、自衛隊は2項の制限の外、2項の例外、とにかくOK」という意味にもなり得る。
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そういう3項が加筆されると、もう今後自衛隊がどう拡大されようが、集団的自衛権等も広がろうが、「2項に違反してないか?!」といってチェックし、歯止めをかけられなくなる。とにかく「例外」としてOKしちゃうんだから。
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安倍は「いえいえ、3項には、自衛上の最低限の実力組織としての自衛隊とか書き込むから大丈夫」等というかも知れないが、「最低限」というのを誰かどういう基準で判断するのか? 自衛隊への憲法上の最大の制限・歯止めは9条2項なのだ。それなのに、それからの「例外でお墨付き」宣言してしまったら、少なくとも憲法上は、自衛隊は制限・歯止めなき存在になってしまう恐れがある。
・つまり、自衛隊は憲法が制約を課す国の組織の一つとして、いわば憲法の「下に」位置づけられるべきものである。それでこそ、憲法9条2項の平和の制約の下、純粋自衛と災害対応に徹した部隊として国民に支持される存在であり続けられる。
・それなのに、憲法より「下位の存在」を、“憲法違反とか、ごちゃごちゃ言われやすい”等として、いわば「私生児」的な卑屈感をもって受け止めるのは、やはり安倍氏らが、自衛隊を憲法9条2項の「縛り」からもう少し自由にしたいという思惑を持っているからだ。だから、まず憲法の「下位」の存在から、なんとか憲法の「中」にまで引き上げる、あるいは9条2項の「例外」として、せめて憲法の「横」の地位に置きたいのだ。その思惑に対しては、私は強い警戒心をもって臨みたい。 Nat
※加筆: 更に言うと、自民党の他の人の意見では、2項を削除して、自衛隊のことを新しい項でうたうというものだが、そちらの方は狙いを正直に言っている。しかし安倍案は、2項を残し、国民をまずは安心させた上で、3項で、2項が実質無視される形で自衛隊のことを書く、という一種の詐欺的なアプローチに近い。強く警戒すべきだ。 Nat