★沖縄名護市の市長選挙。4日の選挙で自公維推薦の渡具知氏が勝利してから5日経った。

● 渡具知氏の勝利の要因は、既に4日にここに書いた通り、誰が見ても明らか:
(1)そもそも沖縄の人にも「基地反対疲れ;”どうせ出来てしまう”との諦め感」があった中、「基地はなるようにしかならない。そろそろ生活・経済を」との渡具知氏の呼びかけは当然多くの人を惹きつけた。
(2)そして渡具知氏陣営は、今回は公明党も含め、自公の組織を上げた運動、そして必勝のプロの選挙戦略・戦術。一方の稲嶺氏陣営は超ナイーブの「基地絶対阻止」だけ。
だから、戦う前から勝負あったのだろう。

● これで、沖縄基地問題は勝負あり。翁長知事を筆頭とする「辺野古移転絶対阻止、基地撤去」はもう後退していくのみだろう。

● という今だから、その分もっと、我々日本国民は、沖縄の人たちの「心」を理解する必要があると思う。今回の選挙でも、基地問題を出口調査で聞かれると避けて逃げ去る人が多く、また、当日の投票のプレシャーを避けるため、44%もの人が避けるように期前投票、その多くが基地問題のことはもう聞かれたくないという人が多かったという。

● 沖縄の人は、ずっと基地と共に生きてきたというか、ネット右翼が「基地のたかり」と揶揄するように、基地で生きてきた面も強い。それでも尚、普天間の移転先が県外でなく辺野古であるという事実には、本当は絶対阻止くらい言いたい。しかし基地依存経済という現実もある。沖縄県民が反対しても、本土と米国で決めてしまい、所詮、押し切られる。 ーーー 沖縄の人々には、そういう悲しい諦めがあるのである。今回、渡具知氏に投票した多くの名護市民の投票の裏に、そういう悲しい思いがしみ込んでいるのである。

● 本土の自民政権は、早速、名護市にお金を上げると反応している。しかし、沖縄の人の「悲しい諦め」は、そうやってずっとお金で懐柔されてきたことに対する屈折した思いでもある。

● 安倍首相は、2日にいみじくも言い放った。「基地が本土に移設出来ないのは、本土の政治的了解が得られないから」。

● 私は一時、仕事で随分沖縄に出入りし、歴史を改めて知った。平和的な琉球民族は、薩摩に征服され、太平洋戦争では本土の盾となり米軍の犠牲になり、戦後、米国支配下・基地化、本土返還後も、日本の米軍基地の7割以上を集中して引き受けている。そして確かに自ら卑屈にもなる通り、経済の基地依存度も高い。

● だから、今回の選挙のように「悲しい諦め感」で生きるしかない人たちである。本土の為政者は、ただただお金でそれに応えるのみならず、沖縄県民が「我々の悲しい諦めを理解してくれたのか!」と分かる施策をしてほしい。私はそう願う。       Nat