★Facebook社のデジタル通貨リブラ構想。面白い。

● 概念としては非常に良い着眼点であると同時に、それが24億人のユーザーとそのユーザーが使えるWEBの仕組みを既に持っているFacebook社が提案しているからこそ、「アイデア」に留まらず、Facebookが実行すると、「本当に始まってしまう」から、期待する人も、恐れる人も、みな強く反応している。

● メリットや問題点は簡単に言うと、次のようなことだろう。
(1)ドル・円・ユーロ圏の国民にとっては、リブラは相対的インパクトに留まるだろうが、銀行という独占体系が高いチャージを取っている決済、特に国際決済が、超簡便、超格安コストでできるメリットは大きい。
(2)一方、問題点として言われている点については:
 ①必死に自国通貨で国を運営している弱小国では自国通貨は滅びて、皆がリブラ利用になるので、国の政府は支配力を喪失するが、それはユーロという、自国では制御できない通貨を使っている欧州各国が既に受容・経験済みのことと同様だ。
 ②次にリブラ管理体制が、裏付けとして抱える、ドル・円・ユーロなどの通貨を、どういう資産で保有するか、銀行預金か国債か??等が、何せリブラ総額が超巨額なので、各資産の市場実勢に巨大なインパクトを与える問題。これはリブラの資産運用委員会の組織化・適正ルール化の問題。EUのブラッセルの委員会を皆が何となく嫌うように、皆が疑心暗鬼になる問題はあるだろうが、まあ人類としては作れない制度ではあるまい。
 ③マネロン問題なども、人類がその気になれば、対策の制度設計は可能だろう。あと、偽リブラ問題などは、ドル・円などの偽札問題と似ていて、これも人類としては対応可能だろう。

● このように、「人類」としては、対応可能なのだが、唯一最大の本質問題は、「人類代表」でリブラを管理する組織が誰が中心か?ということに尽きよう。ユーロのEUはブラッセルのEU官僚がそれだから、英国はそれを嫌って離脱を叫んでいる。今の既存通貨を管理する各国の中銀やIMFの官僚などは、当然リブラ委員会を目の敵にする。要は、皆、あり得る問題点を一応正しく指摘はしているように見えて、実は、今の大騒ぎの本質は、人類の中での守旧勢力と新興勢力の醜い利権・ヘゲモニー争いであろう。あ~~あ。    Nat