【悪魔プーチンを絞め殺す「SWIFT技」】
★これまで書いてきた通り、私の意見では:
(1)プーチンは悪魔ではあるが、結局はこの場は力で押し通すだろうから、ゼレンスキー大統領には、この局面では敢えて「和平」(無念だが実質は「降伏」)に持ち込んででも、国民の命を守ってほしい。ゼレンスキー自身は亡命になるかも。ウクライナは一旦、プーチンのものになる。
(2)しかし、ここから米・欧・日(世界)がプーチン・ロシアに徹底制裁を加え、時間をかけてでも、必ず悪魔プーチン政権は崩壊させるべき。 ・・・・ということだ。
★徹底制裁は、ロシアの全銀行のSWIFTからの全面的締め出しが、もし出来れば、それをこそ、先ず絶対やるべきである。ロシアがSWIFTを使えないと、貿易と資本取引における国際通貨決済手段の大半をロシアから奪うこととなり、比喩的だが、ロシアには血流が流れなくなる。悪魔の締め殺しだ。
★処が、今日現在の報道・論評では、SWIFT止めたら、どれくらいロシアに痛手かにつき、まだ網羅的・包括的な情報が少ないように思う。そこで、私、銀行マンではないが、長らく国際ビジネスに携わった直感も動員して、以下に当座の理解を書く。異論とかあれば正していただき、皆で、より的確な理解に到達したい。
(1)まずSWIFTとは何か?:
・下の私の描いたチャートでも出て来るが、世界の銀行同士が顧客の事業体の為に国際通貨で決済をする場合、銀行同士で持ち合っている「コルレス口座」(下のチャートの左の。小さい箱だが「ロシア銀A/Bの口座」が例)の金額を増減し合って、結果的にお金を国際的に送金したと同等の効果を醸し出す。
・銀行が、コルレス口座の増減する操作をするための「決済請求の情報」が、SWIFTなる「情報連絡のITシステム」でなされる。お金が行きかうのではなく、お金の「情報」が行きかう。
・次に、ここが大事なところだが、SWIFTは、世界の多数の銀行が構成する「協会」であるのだが、国際決済の主軸であるドルを発行している米国が ”実質的”にSWIFTを牛耳っており、この辺は、我々の分からぬ不透明な部分がある。・・・中国政府のデジタル元の動きは、このような米国/SWIFT体制への挑戦である。
⇒ 逆に言うと、今回のような異常有事では、これが効く。米国が欧州の賛同を得て、SWIFTからロシア銀行を締め出すと決めれば、システム運営上は、一晩にして出来てしまうのだ!! これがロシアとの通商・貿易禁止などでは、各国の貿易管理法上の手続き等も要り時間ばかりかかるが、SWIFT禁止は米国が実質、即時発動できるのだ。だから、ロシアのSWIFT全面締め出し、即時効果あり、かつ、ロシアの首を絞めて血液循環を止める効果が大きいのだ。
(2) 次に、SWIFTから締め出されたロシア銀行は、SWIFTのIT情報連絡に依らず、ファックスとかTELEXでやることになると、米国筋も冗談めいて言っていたが、ファックスなどではダメなのか?
・・・下のチャートは、ロシア企業の欧州からの輸入の代金決済のケースだ。
・SWIFT使えるロシア銀Aなら、欧州銀にSWIFTで代金金額の連絡すると、欧州銀は自社の中にあるロシア銀Aの口座から輸入代金を”降ろして”、欧州の輸出者に払えばいい。SWIFTは「公的システム」だから、ロシア銀AがSWIFTに入れた代金決済指示情報は取り消しもウソもあり得ない。だから、欧州銀は安心して直ぐ輸出者に払える。
・しかし、SWIFTが使えぬロシア銀Bなら、ファックスとかで、欧州銀に「頼む、欧州輸出者に私の口座から払っておいて」と言うことになるが、そう言われても、後で「そんなファックスは入れてない。口座から勝手に引いた金返せ」と言われるかも知れない。欧州銀とロシア銀Bの間に強い信頼関係がないと成立しない。
・逆に、ロシアのガスの輸出の場合は、今度は、ロシア銀Bの方で「立て替え」リスクが心配になる。
・・・・以上から、SWIFTに依らないが、余り知らない銀行間の決済情報をファックスとかだけでやるのでは、実質、決済実行に無理があるのだ。・・・と私は思う。
(3) 欧州でもロシアでも大銀行は、皆、SWIFTに入っている。入ってない小地方銀は大銀行経由SWIFTを使う。SWIFTを一切通らないモグリ的な国際決済の比率%は??--この数字は見かけない。私の直感的には、その世界は、ロシアがやっていけるほどの大きさははない筈だ。・・・中国が人民元経由の抜け道を話しているみたいだが、直ぐには円滑に回らないかもと思う。
★しかし、しかしだ。上記のSWIFT締め殺しは、SWIFTからロシアを、中銀以下、もう全ての銀行を完全に締め出す場合の話だ。だのに、今回の発表では「全部でないが、かなりの・・」という話だ。この「SWIFT外しから逃れるロシア銀」、これがどの程度、ロシアの抜け道になるのか??ーーこれが大問題である。恐らく、ドイツなどが、ガス輸入決済の為の抜け道を残しておくように主張したのであろう。・・・これでは、ロシアの何本かの大動脈のうち、一部を締めているだけになる。