★今回の参議院選挙の結果への所感を、①②③と書いてきたが、「こぼれ話」としては、やはり、参政党の集めた180万票、あとN党ガ―スー当選だろう。今回、前者、参政党についてひと言。
◆ 参政党の何が受けたか?だが、報道でも言っているとおり、「オーガニック運動」(有機野菜・自然食品など、農薬や食品添加物などに依存しない運動)が、ネットで、特に若い人に受けたのだろう。
◆私の所感:
1)オーガニック運動は、ベジタリアンとかと同様、個人の生活スタイルとしては前からあったが、それを大きな政策として掲げた政党は、初めてに近いのではないか。・・・伝統的野党(民主、共産)の無力化とそれが故の今回の投票数激減の中で、どういう主張でも、新しい党が出てくるのは、民主主義としては悪いことではない。
2)ただし、参政党の「オーガニック」の打ち出し方は、参政党の他主張である「コロナは、もうマスクもワクチンもやめよう」同様、米欧などにある、「国家権力が推奨することは嫌いだから、それに反発しよう」というバイアスに通じるものも感じられる。かつ、科学的・合理的な裏付けのない「感覚的主張」である面が強そうで、そういう勢力が増えすぎるのは、やはり良くないと思う。
3)有機農業運動を例にとっても、参政党の政治家、それのサポ―タ-は、自分が何を言っているのか、何を信じているのか、分ってない面が強かろう。その点を書いてみよう。
① そもそも「自然のままは安全」「人間の手が入ったものはアブナイ」の2元法は、間違いであるばかりか、気がついてないようだが、ある意味、そういう人間の「傲慢」さを表しているとも思う。
イ)自然の植物も食べられにくいように、「自然の毒」を大なり小なり持つ。ジャガイモの芽が好例。またユーカリの葉も毒があるが、コアラはそれに負けない進化をした。無農薬の植物が、虫にたかられると、植物自身が毒を生成し、農薬植物より毒が多くなることもある。これ有名な話。
ロ)肥料も、有機肥料は、たい肥からの病原菌が植物に残るリスクがある。
・・・斯く斯様に、「自然」にも、人間へのリスクがいっぱいなのだ。
・・・それは、あたり前だ。植物だって、何も人間に食べられるために生きているのはない。自分で毒を持ち自衛する。また、そもそも自然では各種細菌とも共生しているのが当たり前だ。皆、生き物だから、そうやって生きているのだ。それなのに、人工的な農薬・肥料での植物はリスクあるが、自然の植物はリスクなく、人間がドンドン食べるべきは、後者だというのは、全く分っていない。それは自然は、人間が好き勝手に、他の生きものを食べて(殺して)も、人間には大丈夫なように出来ているべきだと思う人間の傲慢さに根ざしているのだ。人間は、自然にも人工的技術にも謙虚にならないとイケない。
②幸い、今、我々がお店で普通に買う農産物は、農薬などのリスク、自然の毒からのリスク、どちらも充分低く制御されている。
「有機」と名打った商品も、「自然イメージ」ながら、実際には自然毒は制御した「人工的産物」であるものを、マーケティング上、そういう「有機」との差別化で売り出しているものに過ぎない。但し、その場合でも、自然毒は業者の手で低リスクになっている。
一方、自分個人で栽培したものは、ちょっとリスクが高めであろう。ノーチェックだからね。知らんよ。
・・・よって、日本の農産物は、普通のものでも、一部、人間が制御した「有機」看板の農産物 でも、どちらも実質問題ない。
・・・という構造なのだ。オーガニックが好きな人が、自分でオーガニックの商品を買うのはいい。しかし、政党が、国の政策としてオーガニックを農業・商品に対して推してくるとなると、日本の農業を歪めるし、国民の食のリスク構造を歪める恐れもある。
⇒ それでも、参政党の政治家と支持者は、「自分たちこそが、オーガニックの良さを一番分っている」みたいな顔をして、それを叫ぶ。しかし、彼ら・彼女らこそが、上記の論点を(恐らく)理解していないばかりか、自然に対する傲慢さも秘めるのである。
・・・・こういう運動が広がり過ぎないうちに、私としては、しっかり指摘しておく。 Nat

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★追記★

 政策集を見ると、3つの重点政策の2番目の「食と健康、環境保全」とあり、その中身で、有機農業が出てくる。特に、神谷氏の演説で強調。選挙直前では、ネットの雰囲気で「参政党=オーガニック」イメージが広がったと思われる。

◆  参政党の言う有機農業・農法は、要は①有機肥料、②農薬利用以外の方法での害虫駆除、だ。

ということは :

①肥料は化学肥料使わず有機肥料(たい肥)を使う

②虫よけの農薬は使わないで、牛乳・お酢のスプレーしたり、LED照射などで害虫駆除するのが普通だろう。

・・・自然の中と同じ状態で育てて、たい肥も、LEDなどもしないのが「自然農法」だが、これは大変な労力が要る。

・・・一方「有機=オ-ガニック」は、別に出来上がった作物の毒性や栄養などで、通常の農法と有意差がある訳ではないが、「何となく良さそう」という「オーガニック信仰」なのだ。つまり:

・たい肥は、自然にはある訳でなく、著しく「人為的」なものだ。本文に書いた通り細菌の巣だし、場合によって化学肥料よりも、植物を歪める。

・虫よけも、LED照射までするが、農薬同様、自然な昆虫などを遮断し、これが日本中に拡がると、生態系を歪める点では、農薬と変わらない。

・・・要は、化学肥料、農薬という人工的な物質を使わず、雰囲気的に「より自然っぽい」やり方でやるだけで、却って欺瞞的な手法ですらある。

・・・その結果、出来たものがより安全なわけでもない。まさに「オーガニック」な宗教信仰でしかない。

・・・そういうものを、日本中の農業に国家政策として強要していくと、日本の農業の歪み、あるいは生態系の歪みが起こる。参政党が超マイナーで自己満足で言ってる段階ではいいが、政治的勢力を増すと、社会に実害をもたらすだろう。 〆

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