★躍進する「維新の会」について --- 続編
◆ 昨日、躍進する「維新の会」と、救いようのない「立憲民主」について書いた。その際、維新については、以下のイメージ作戦が奏功していると書いた:
①「自民党でも社会党・民主党でもない新政党」イメージ
②自民の安保政策などの「自民のいい点」は踏襲し、自民が改革っぽくないことについては、維新が大阪で実績を残した「身を切る改革」で改革はしてくれそうとのイメージ
③自民のジイサン議員とは全然違う「若若しい議員」(吉村さんが典型)で何かやってくれそうなイメージ
・・・以上のイメージ作戦が大成功中。しかし決して国政の与党を担える政党の内実はないとも書いた。
◆ 上記②(改革してくれそうなイメージ)との関係で、維新の吉村氏などが盛んに言う「大阪での改革の実績」・・・これが如何ほどのものか、案外、大阪以外の人には「イメージ」でしか伝わってないのではとも思う。しかし、ここまで全国に手を拡げつつあり、国政でも伸長してきている今、維新の「大阪改革モデル」の虚実については、我々も一とおりの認識を持っておく必要があるだろう。・・・但し、一地方のことにて、ネットなどで入る情報も限りがあるので、多少とも断片的にはなるが、専ら数字で押さえつつ、私流のザックリ記述をしたためるので、更に追加のインサイトがあれば、コメント願う。
【1】橋下・松井・吉村らの「大阪維新」による「大阪改革」は、専ら大阪市・大阪府の「行政の効率化」と言っていいのではないか? 維新前の大阪と維新による大阪を数字中心で見てみよう。
(1) よく書かれているのが「経常収支比率」(自治体が自由に使えるお金のうち、どれくらいの割合を義務的経費に充てなければならないかを示すのが「経常収支比率」)、これの改善。
・・・最初の大阪府のグラフがそれ。H10年(1998年)ごろは、それが110%以上で、非常に苦しい状況だったのが、H20(2008年)の橋下知事就任以降は100%以下になり、確かに全国平均にまで改善している数字にはなっている。固定費(行政人件費)をカットしたのだ。
(2) 次に、大阪府と大阪市の債券残高の推移。二つ目のグラフ。・・・少なくとも大阪市の債券はH16年(2004年)をピークに減り続けている。(府の債券は減ってないが。)
・橋下市長就任はH23(2011年)からで、債券の減り出したH16年は関市長、その後が平松市長の時代だ。⇒ 維新は「大阪財政を維新が改革した」というが、反・維新勢力は、それを維新の「ペテン」と言う。維新以前から財政再建をしてきたのを、維新は引き継いだだけとの反論だ。内実はワカラン。
(3) そして、維新のやった行政改革: 専ら行政職員の人減らしと、市営事業の効率化だろう。3つ目のグラフの通り、橋下知事就任の2008年、市長就任の2011年以降、市・府の職員数は3割くらい減らされている。市営の交通機関の民営化も図ったが、議会に阻止され、議会の承認の要らない手段で、合理化をしている。・・・そして、問題になったのが、公立学校の統廃合だ。大阪の廃校
比較的人口の多くない地域の人員割れ学校を閉鎖し、人口集中部の学校に統合してきている。
(4) そして、「大阪都」構想。大阪府を廃止し、都に改造、東京都みたいに変える構想。世界的にも乱暴すぎる賛否両論の構想だったが、さすがに、二回の住民投票で否決された。ひと言でいうと、かなり頭の中で考えた「効率化」だが、実現していたら、可成りの弊害があったかもしれない。
⇒以上のように、維新の改革は、上からの力で「行政効率化」を進めるものだが、「効率化」の裏腹に、学校の廃校に象徴されるように、人口の少な目の非効率地域の“切り捨て”的になりやすく、また、行政カットで最初にしわ寄せが行くのが社会的弱者である。・・・米国の共和党の「小さな政府」vs 民主党の「弱者をも配慮する政治(大きな政府)」の、前者の共和党を彷彿とさせる。・・・そして、そう批判されても、橋下・松井・吉村は、言葉巧みにかつ強引に押し切ってきた。
(5)最後に、維新の功績と言われる関空の建て直し。インバウンドの呼び込みで、関空を盛り立てたという。・・・如何ほどの効果があったのか、財務数字を見てみた。四つ目のチャート。維新以前でも、そこそこの空港だったが、維新以降の数字はそう劇的というほどのこともない。(注:この数字は(旧)関西国際空港㈱のもので、新空港部分だけの数字としては分らない点を注記させていただく。)・・・・但し、このノリで、これから夢の島(ゴミの埋め立て島)に万博開催、その後、カジノ(1兆円プロジェクト)を作り、更に観光大阪を盛り上げようとしている。
【2】 結局、維新の「大阪改革モデル」は、「効率主義偏重の行政の“上から改革”」、「興行ビジネス主義での地域経済の偏った活性化」でしかないのではないか??・・・大阪の府・市議会の内部にある多いなる「維新への疑問」にも拘わらず、大阪府民・市民が橋下・松井・吉村の弁舌に引っ張られて、選挙の投票で支えている面が可成りあるのではないか??
・・・私は、大阪のアウトサイダーであり、実態は分らない。
・・・しかし、言葉は悪いが、維新が大阪以外にも、“ウイルス”のように広がりつつある今、維新の本質には無関心ではいられない。だから、限りある情報と直感で、溝口ザックリ印象を書いてみた次第だ。・・・私とは違い、インサイダー実感のある方などからのコメントを期待する。 Nat


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