★国連本部で、核兵器禁止条約締結国だけが集まる、第二回の締約国会議が開催され、例により、日本政府はオブザーバ参加もせず。長崎被災者の高齢者(写真)の方が「日本政府の ”核抑止依存だから、参加出来ない"という考えは、紛争の解決を武力に依存するとの前提に基づくもの」と遺憾の演説をした。
◆ さて、世界の核兵器を巡る潮流は、いよいよ混迷を深めていると、今年の5月に以下の拙文を書いた。拙文
(1) 世界は一時、1991年ソ連崩壊で核軍縮に進む期待を持ったが、逆にその後の世界は核軍拡・核拡散の方向に進んでしまっている。(その詳細は上記拙文の通り。)米欧日などの参加するNPT(核拡散防止条約)では、最早、それを止められない現実もある。
(2) それに業を煮やしたのが、核の非保有国で米欧核の傘の外の国(概ね欧米日など以外の途上国中心)。彼らは核兵器禁止条約を締結、2021年に発効したが、ただただ理念的に「廃止の悲願」を叫ぶ条約でしかない。だから、1)NPT参加の先進国、2)NPT参加しないで勝手に核保有しているインド・パキスタン・イスラエル・北朝鮮・イランと、3)廃絶派との、3者の間に「亀裂」「憎悪」が深まるばかりである。3すくみの完全膠着状態。
(3) そして、拙文に書いた通り、そもそも:
①核廃絶派も、実際、どこからどう核軍縮から廃絶に繋げるかの道筋は全く見いだせてないし
②そもそも、世界全体で「いつの日か完全廃絶するのが人類のため」という点でのコンセンサスもない・・・核廃絶したら、WWII以前の通常兵器での殺し合い戦争に戻るだけとの見方が実際あり得るからだ。
◆ という世界の核兵器を巡る完全膠着状態、解決不能方程式状態の中で、日本政府としては、広島・長崎があろうが、米国の核の傘での抑止力の恩恵に服している以上、米国の後ろに隠れて、じっと黙っているしかない、との、言わば、得意の「日和見」「ズルい」立場を貫いている。
◆では、日本政府はどうすべきか?
・・・先ず、私は日本はこの問題では米国の後ろに隠れてじっとしているのではイケないと考える。広島・長崎での唯一の被爆国の日本は、人類に対して責務があると、私は考える。
・・・ただ、日本が何をしようが、何を言おうが、1)NPT派、2)勝手核保有の ならずもの、3)核廃絶悲願派、その「3すくみ」膠着状態は、当分の間、あるいはほゞ永遠に解決しないであろう。人類が陥った抜けられないジレンマであるのだから。
・・・ならば、逆に日本は、その永遠のジレンマに対して、「永遠の解決努力」をする「第4)の流れ」の代表にはなれるはずだ。
・・・即ち、1)NPT派、2)勝手核保有国、3)核廃絶悲願派が、同じ部屋の中で集まり会話をする場も、今はない。集まったところで、ののしり合いになるだけであり、何十回集まっても、膠着状態打破の最初の一歩すらも見つからないと皆思うから、集まりもしないのだ。
・例えば、その場で、核廃絶に向けての道筋の議論が出るとどうだろう? 最初保有国5か国だったのが、勝手保有5カ国が出来た。誰かが、まず廃棄・核軍縮を提案し率先するしかなかろうが、それは保有量からして、米・ロ・中が先だ。その誰かが縮小すると、他の保有国がほくそ笑むだけだ。皆で一斉に全廃棄? 勿論、皆、ちょっとづつ隠し保有するだけだろう。それが人類の「さが」である。
・という不可能方程式であるからこそ、逆に、日本が率先して、「不可能方程式を解く道筋を話し合おう」という世界全体会議の開催呼び掛けをしても、何ら日本として失うものはない。そして、「核の傘に守られていること」とは時間軸が違うから、その役割と矛盾はしない。
・・・ 広島・長崎被ばく国として、そういう役割をすることには多くの国の理解があるだろう。
・・・米国も日本を批判までは出来まい。
・・・勿論、それで日本が得るもの、世界は得るものは、殆どない。何も進展しない。
・・・しかし、日本は米国の後ろに隠れてじっとしているだけでは、やはり唯一の被爆国としてダメだろう。全く虚しいが、それでも尚、世界全体会議の永久議長国になることはあっていいと思う。
・・・日本の政党でも、それに本気で反対するのは、難しいだろう。
・・・と、私は思う。 Nat