★悪名高き日本の「技能実習生」(実習という名目でのアジア人低賃金労働者の”奴隷化”)を、長期在留への道を開く「特定技能」制度に移行するのは、まず第一歩ではある。しかし、就労1年で、転職も認める新制度案に関連、地方商工業者の懸念を受けて、どうも政府が自民政治への政治配慮で、1年経過という「転職可能時期」を、業種ごとに遅らせる方向にするらしい。・・・今朝の日経社説でも改革後退への懸念を書いている。
・・・以下は4日前の、政府有識者会議の議論の日経報道:日経記事
◆ しかし、地方の中小企業は、現実には、技能実習生名目での低賃金アジア ”奴隷" 労働者に依存、転職させずに閉じ込めることをやってきている。それでしか経営が成り立たないのだ。・・・というのは、日本の中小企業、特に地方の中小企業の構造的経営問題であって、それをアジア人就労者にしわ寄せしてしのぐのでは、中国のウイグル対応と余り変わりがない。それではイケない。
◆ 添付の国交省資料は見なくても分かることだが、日本の中小企業も大都市の会社に比べて、地方の会社は、都市の同業と比べて規模が小さく零細で、よって、安い価格を強いられ、結果として、計算上の「付加価値」(会社あたりのGDP;労働生産性という言う表現になるが・・・)が小さいのだ。
・・・私が何度も何度も言う「日本の中小企業の零細乱立、潰し合い」という日本の産業の深刻な構造問題がそこにある。
・・・しかも、特に地方のそういう会社では、オーナー経営者の高齢化、継承者不在という問題もある。
⇒ これらの問題の改善策は、ひとえに、これまた何度も何度も書いてきている通り、まだ使える企業資産と人材と顧客のある中小企業は、オーナーは引退し、同業のより大きな他社にM&Aされて統合していくしかないのである。・・・幸い、日本の中小企業の多くには商工中金が入っているから、政府は商工中金の類にうんと仲介のincentiveを与えて、業界内統合・再編を大きく進めていくのが正解だろう。
◆ という本来の改善策をしないで、構造問題は実質放置、そのしわ寄せ先であったアジア人奴隷労働者を、今後とも暫く温存して、地方の中小企業オーナーのゾンビ延命を図るのでは、国益に反する。自民党の票にはなっても、国のためにはならない。