★日銀が、金利体系の正常化に向けて、遂に一歩踏み出した。
1)政策金利のマイナスをプラスに:
2)長期金利をYCC(Yield Curve Control)の修正:
長期金利を1%以内に収めようとする制御方針から、多少1%超えても気にしない方針に微修正
(あと、ETF/REITの買い支え、資金放出は、もうしない)
・・・以上が今日の発表。
◆私の反応:
<1>当面、短期・長期の市場金利水準への影響は限定的であろうが、そんなことより、私がずっと主張していたこと、即ち:
「マイナス金利などという異様な金利体系は、財政・日銀の財務体系、銀行・企業の財務体系を大きく歪めてきているのだが、所詮いつか ”金利アリ"体系への正常化する必要がある事は必定にて、ならば、ならば、もう2016年の黒田日銀のマイナス金利政策という奇策をもってしてもデフレ克服にはならかった今、もう正常化・是正への切り替えにつき、時機逸することなく決意すべきだ」
・・・このことからすると、植田日銀になって1年もしない今、それを決意したことは是としたい。
<2> ただ、なぜ今かという事につき、「物価・賃上げの好循環も見えてきた」今、「時が満ちた」みたいに言っているが、内心、好循環は未だ未だと分かりつつ、もう正常化必須だから、植田日銀としては、それを兎に角もう今やる、という決断がまずあったことのほうが本質であろう。つまり経済の客観情勢の若干の好転もあるが、本質はもう意固地になっていた黒田氏の交代で初めて実現したこと、ということだろう。
<3>と言うことに関連、日銀としての政策金利アップは「17年ぶり」と盛んに報道で言っているが、どうも、植田日銀自身がそういう言い方しているのか、報道でそういう言い方することにしたのか、いまひとつ、「17年ぶり」を言いたい人が誰なのか分からない。
・・・下の日銀の政策金利(短期金利誘導目標)の推移の通り、2006~2007年に、当時の日銀は、それまでの緩和政策を改めたのは事実だ。従って、「緩和の解除」という意味では、17年ぶりではある。
私からすると、右の推移表(みずほ作成)にも不満があるが、今までの▲0.1%というマイナス政策金利などという異様な政策が、黒田日銀が、①まず2013年に量的緩和し「自分らが思い切った次元の緩和したら、デフレは直ぐ治る」と豪語したが、治らず、②2016年には、ついに、マイナス金利にまでしたが、尚、目標レベルのデフレ克服に至らず。日銀総裁の交代を得た今、漸く、黒田日銀の豪語した緩和政策は、いまは弊害の方が大きくなりつつあるとの認識で、ついに、ついに、解除の第一歩を踏み出したというのが私の位置づけである。
⇒ そのことからすると、「17年ぶりの緩和解除」などという位置づけは、黒田日銀の特に2016年マイナス金利政策からの「漸くの是正第一歩」という、私としては本質と思う位置づけを、ぼかすものでしかなく、かなり政治的な思惑を込めた解説である気もする。
・・・・ただし、安倍・黒田政策のプラス面もあったわけで(注:初期の財政出動、金融緩和の円安効果、その結果の雇用増など)、それを強調したい人とは、いつも意見がぶつかるが、マイナス面を遺憾に思ってきた私としては、以上の通り反応してしまうのだ。・・・Anyway、人が交代、植田総裁になって漸く積年の正常化願いへの第一歩、「いいね」「いいね」である。 Nat