★農林中金(“農中”)が苦悩中。
・・・今朝の日経の関連記事「農林中金 - 三度めの蹉跌」「無理重ねた30年」は、農中の苦悩を半分は書いている。シリーズの「上」の記事なので、「中」とか「下」で、更に本質的な農中の問題を書くのか、明日以降に見極めたい。
・・・だから、今日は一言に留めよう。
農協、JAの構造は、ちゃんと描くと複雑怪奇な絵になるが、以前掲載されていた日経のシンプルな絵を添付しておこう。
・・・要は、全国の農家等の上に農協・JAバンクが乗っかって、農家の営みを「支配」しているわけだが、その更に上に資金運用機関である農中がある。
・・・農中のHPには、農中の役割につき、以下の建前が書いてある。
【建前的な農中の役割】 「JAバンク、JFマリンバンクの安定的な資金調達基盤を背景に、会員や農林水産業者、農林水産業に関連する企業などへの貸出を行うとともに、国内外で多様な投融資を行い、資金の効率的な運用を図ることにより、会員のみなさまへの安定的な収益還元に努めています。」
・・・しかし、実態の農中は違う。
(1) 全国の農家への貸付金は、基本的に農協・JA銀行が行い、農中の貸付はそのほとんどが農業以外の一般企業に対してである。
(2) 農中は、絵の下に描いてある農協・JAバンクが農家などに貸し付けした残りの余剰資金の「運用」に特化した組織で、上記(1)の一般貸付も、運用の一環であって、建前に書いてある「農林水産業者、農林水産業に関連する企業などへの貸出」ではない。
(3) しかもだ、農協・JA銀行の末端から中間まで、諸々の団体があり、上に上に資金を吸い上げるのだが、吸い上げのたびに「下」には利息の約束をする。その約束の層の最上部に農中が居て、農中は、下の層が約束した利息の出来上がり利息を毎年、下に戻すお約束を強いられるのだ。・・・通常の投資信託では、もちろん毎年毎年の投資パーフォーマンスも問われるが、とどのつまりは長い目で見たリターンが問われる。しかしだ、農中は、下に毎年「お約束利息」を出さないといけない。その重荷は日経報道が書いている通りだ。・・・要は、農協組織全体が、農中からのお約束利息に甘えた運営をしているのが、ずっと放置されているのだ。
・・・・という苦悩の重荷の中で、いつもいつも農中は無理な資産運用をするしかない。だから、結果的にこれからも損失を出し続けるだろう。
◆もういい加減に、この農中からのお約束利息への依存の、農協全体の甘えた構造そのものにメスを入れて欲しいのだが、農中は農水省と金融省の共管で、両方で無責任体制やっている。
・・・日経が明日以降、その辺にどう切り込んでいくのか見極めたい。  Nat

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