★またあ~~~、日経新聞が、不適切な論説を書いている!!!
・・・添付の、今朝の日経一面論説記事。
・・・最近、よくある「円安は日本の国力の低下の表れ」説に通じるものだが、要は、円安の背景には、日本の投信ファンドが外国株を買うのが多く、それが円売り・ドル買いになっている、逆に日本は魅力がないから、外人は日本に投資しない、その結果、投資は外向けになり、円売り、ドル買いになっている、だから、円安是正のためには、日本への投資の魅力を上げないといけない、、、、という、もう、はっきり言って単純バ●的な、低レベル文章である。
◆それへの根本的な反論を書く前に、表面的な反論:
(1) 米国株など外国株のほうが、これまでの実績としてリターンが高く、日本株は、最近でこそ、世界の資金の中国離れと、バフェット効果などの雰囲気的「日本株見直し」気分もあって外人がちょっと資金を日本株に回しているものの、日本株は大したもんじゃないというのは、残念ながら、その通りだろう。
(2) 但し、日本人が米株や米国債などの方に資金を向ける背景の一つには、米日金利差が余りにも大きいので、当分、大幅なドル安への戻しはなかろう、つまり、米国株や米国債への投資していても、当面、為替ロスのリスクは限定的、という安心感がある。だから、米国株などに資金が向かう背景には、やはり、米日金利差問題という根本があるのだ。
◆しかし、それより、根本的に日経が不適切なのは、自分が着眼した特定の「海外への投資」の話だけをして、恰も、もう日本から資金が海外に漏出して止まらないみたいな、全く事実に反するイメージで書いていることだ。
・・・日本の国際収支構造が頭に入っていないか、あるいは、今回の記事のために意図的に無視しているか、だ。
(1)日本の国際収支を添付する。
・・・まず経常収支だが、2023年、25兆円の黒で、前年比16兆円も拡大している。その主原因は、貿易収支が22年にはエネコストの急騰もあって悪化したのが大分元に戻っているからだ。
・・・しかし、経常収支の最大のポイントは、二つ目のチャート。黄色い棒グラフ、一次所得収支が巨額で毎年の日本の経常収支を大きく支えていることだ。
・・・一次所得収支って何?というと、日本が海外に投資している投資資産(日本企業の海外拠点を含む)から、日本に還流してくる利子・配当なのだ!!
・・・2023年にもそれが35兆円あって、基本的には、日本の経常収支は、この海外からの利子・配当が支えているのだ!!
(2)一方、新規に海外に投資を積み増すための、海外への元本資金の流出だが、これは経常収支の外の金融収支になる。
・・・まだ23年度のは出てないので、22年度のを見てもらおう。三つ目の表。
・・・金融収支でも、21年も22年も、出るより入るほうが大きく、差し引きプラスの16.8兆円、6.5兆円だ。
・・・要は、新たな元本の出入りでも、日本は全くネット流出になっていないし、(1)で書いた通り、既存の投資からの利子・配当は巨額の金額が毎年日本に還流してきているのだ。
・・・つまり、日本は、既に、巨大な海外資産からの巨額の利子・配当の受け取り体質なのだ。(それが日本の対外純資産を潤沢に保ち、誤った日本の財政パンク論を吹っ飛ばしてもいるのだ。)・・・そして、それは、基本的なフローでは、ドル売り・円買いの方がまだ多いはずということを意味する。しかし、今の円安を生んでいるのは、それと次元の違う、短期の金利差金融投機のマネーの動きなのだ。
◆◆日経は、このような日本経済のイロハを全く無視して、不適切な論旨で「日本はダメ」論を煽っている。
・・・日本は産業構造的にダメな面が多く、常づね、私もそう書いてきている。しかし、こと国際収支に関しては、しっかりしているのだ。・・・それでも円安になるのは、ひとえに日米の異様な金利差問題なのである。    Nat


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